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Ken Yokoyama 3rd EP [I Won’t Turn Off My Radio]

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背を向けるんじゃなく、ブチ壊したい----

--まずは前作『Best Wishes』以降の2年半が、健さんにとってどういう季節だったのかを教えてもらえますか。

「うん。遡って話をすると、2011年3月11日に起こった東日本大震災を受けて、自分はどうするか、俺たちもっとこうすべきじゃないか、こういう考え方があるんだよっていうのを伝えたのが『Best Wishes』で。その曲を持ってライブを回るうちに、また別のことに気づき始めたの。たとえば日の丸を掲げてライブをすることへの反応だったり。敢えてこの言い方をするけど……アウェイになっちゃうことが時々あって」

--アウェイ。どういう意味で、でしょうか。

「もちろん自分たちのツアーなら、僕たちを観たい人が集まってくれるからお互いに盛り上がれる。僕も毎晩を一夜限りのものにしようと思うから、ほんとに充実感のあるライブができるけど。でも何かの企画だったりフェスの場に出ると、ギョッとされてるなっていう感触がすごくあった」

--まぁ初めての人は「え? なんで国旗?」って思うかもしれない。

「そう。『こいつウヨクだろ!』って思うでしょ(笑)。で、それについて毎回説明をしなきゃいけない。なんで日の丸を掲げてるのか。『日の丸掲げたらウヨクって言われて脱原発って言ったらサヨクって言われて、右でも左でもねぇんだ、そんな簡単じゃねぇぞ!』と。そこで俺のこと知ってくれる人はワーッてなるけど、初めての人は『なにこのオッサン……面倒くさいわぁ』みたいな(笑)。どうでもいいからもっと踊りたいんだけどって、そういう人も実際いるわけ。でもね、そういうところを俺は見逃すべきではないと思うし、ウケてくれる人だけでいいんだって言うつもりもなくて。そういう人の存在が逆に手応えを感じさせてもくれるし」

--毎回ファンが一杯で常に順風満帆だったら、気づけないこと。

「そう。そこで、ロックを人前でやるっていう、その根本的なところを考えるよね。特にフェスとかイベントでは。たとえば今、マイク持って暴れるようになったのもそういう理由で。ヴォーカルっていつも真ん中で動かないもんじゃないぞ、ギター持ってたって動けるんだよって言いたくなったり。やっぱりね、こういうイベントが催されます、ラインナップの中にKen Yokoyamaがいます、他にもこういうバンドがいます、当日はバンドが順番にステージ出ます、どのバンドもだいたいここで盛り上がります、ちゃんちゃん♪……っていうのがもう嫌で! 嫌だって背を向けるんじゃなく、ブチ壊したいって気持ちがある」

--その違和感は、4枚目の「Your Safe Rock」でも歌っていたものですよね。その安全なロックと一緒にすんじゃねぇぞ、っていう。当時の感覚と今の気持ちは、また違うものなんですか。

「基本的には実は変わってないけども、日によって違うかな。「Your Safe Rock」そのままのマインドの時もあるし、もうちょっとマイルドに、もっとこっちに来いよって言いたい時もある。だって現状がこうなってるのはしょうがないもんね。『4つ打ちがあって、照明パーンと当たって、ここで火柱が上がって盛り上がります……っていうのばっかりあんたたち見てるでしょ?』って思うもん(笑)。今、日本の8〜9割の子どもたちは、それがロックのライブだと思ってる」