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Ken Yokoyama 3rd EP [I Won’t Turn Off My Radio]

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どんな客層であろうと、生身の人間として訴えかけていく----

--ロック好き=フェスを楽しむ人たち、みたいな風潮は定着しちゃいましたね。しかも、そのロックファン自体がものすごくマイノリティになってしまったのが現状。

「そうそう、パンクはおろかロック自体がほんとに小さいものになってる。いらない人が圧倒的に多いんだろうなぁ。で、必要な人たちがせいぜい集まるのがフェスになってる」

--そのフェスに「なんだよ」って背を向けてライブハウスにいる我々、ほとんど居場所ないですよね(笑)。

「首くくりもんですよ、みんな(爆笑)」

--私もこうやって笑ってるけど、打開策が見つからないっていうのが本音で。ここからシーンが劇的に変わるイメージも正直なかったりします。

「うん……確かに。でも変えようって気がないと。俺は変えたいな。少しでも。徒労に終わるかもしれないけども。やっぱり自分たちのいるライブハウスってすごい文化でしょう? それは3・11の時に実感したの。何を頼りにするかって、俺は日本全国に散らばるライブハウス仲間を頼りにした。それが形になったのがライブハウス大作戦だし、気が付かせてくれたのもライブハウス大作戦の人だった。西片(明人/SPC代表)だったりTOSHI-LOWだったり、あとは宮古のオオタキン(太田昭彦/カウンターアクション宮古代表)であったり、ずっと西のほうのライブハウスの店長であったり。日本全国のライブハウスのネットワークって本当に凄くて、小さいけども確かな力だなと思った。こんな素晴らしい文化があるんだったら、もっと広めないとなぁと思うし」

--しかもフェスとライブハウス文化は相容れないものじゃない。ライブハウス同士が協力しあってフェスを作ることも今はあって。

「そうそう。俺、そういうのは大好き。やっぱりフェスに出演するときの基準ってすごくあって。たとえば盛岡の、いしがきミュージックフェスティバル。あれはフリーライブなんだけど、ライブハウスの店長が行政と一緒になってスポンサーを募ってやってるもので。店長はもともとパンクスだから、頭下げたり、苦い想いもしてると思う。ていうか『なーんで俺がこんなことしなきゃいけないんだよ』ってブツクサ言いながらやってるんだけど(笑)。でも素晴らしい光景を作ってくれる。毎年ね。だからこそ毎年呼ばれなくても出たいと思うし、もうやらないって言うなら『やれよ!』って言うと思う。そうやって地域に根ざしたフェスとか、作り手の想いが感じられるフェスにはなるべく俺も出ようとしたかな」

--なるほど。ただ一方で「商業的なフェスにだってKEN BANDは出てたじゃないか」って言われると、その通りでもあり。

「それはね、やっぱり自分たちを望んで観に来てくれる人たちだけを相手にしててもしょうがないから。進んでアウェイに突っ込んでいかないと」

--フェスも、必要なマーケットとして考えていますか。

「うん。ドライに言うとマーケットだし、なきゃないでいいのね。他のこと考えるから。でもあるんなら、そして声を掛けてくれるんだったら、俺たちも出ていきたい。Ken Yokoyamaを見たことない人に見せる絶好の機会だし。で、俺も毎回『俺は何にもぶら下がってないよ』っていう気持ちを持って、それがどんな客層であろうと、ひとりの生身の人間として訴えかけていく。それが響くかどうか、毎回けっこう真剣にやってきたかな」