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Ken Yokoyama 6th Album [SENTIMENTAL TRASH]



--ただ……これ、要らなかったんじゃないかって思います。

「(爆笑)……ほんとに?」

--いや、「A Beautiful Song」の余韻がすごくいいから。せめて一分くらい無音の空白を作って、ボーナストラックとして「Pressure Drop」のカバーが来るという設定ならいいんだけど。

「ははははは! まさかの、オフィシャル・インタビューでダメ出し! 甘んじて受けます! 順番が逆だったら良かったのかな?」

--うーん、「Pressure Drop」は置き場所が難しい曲ですよね。

「確かに。スカだし」

--これをカバーしようと思ったのは?

「やっぱね、もともと曲が好きだったのもあるし、あと、ロックンロールを自分の中で掘り返してるうちに、スカもいいんじゃないかって思い始めて。それで突然メンバーに『あの、僕、スカやりたいんですけど』ってメールしたの。したらミナミちゃんは『……モノによりますかね』って(笑)。もちろん僕以上に、あの人も勇気がいったと思う。KEMURIが今は復活してて、これだけ元気にやってる中で。俺たちは関係ないって言えちゃうけども、ミナミちゃんはそこに目を背けるわけにはいかなくて。こうやって自分がスカを弾くことになるのは、相当の勇気が必要だったはずだし」

--ですね。リスナーとして好きなのはクラッシュ・バージョンですか。

「いや、俺は実はスペシャルズ・バージョン。そっちのイメージなの。でもジュンちゃんとミナミちゃんはクラッシュ・バージョンを想像してて、その2つを合わせた感じ。でもこの曲、聴きどころいっぱいあるんだよ?」

--要らないとか言ってすいません(笑)。ただ、全員が絶賛するわけじゃない、賛否両論は避けられないアルバムだというのも事実だと思うんです。

「うん。でもそれで上等。今までの作品もそうだったし。今回は特に、まず自分が興奮することが第一だし、ほんと大変だったけど、すごく楽しいチャレンジだったし、いい糧になったと思う」

--求められることに応えるより、冒険して挑戦することのほうが大変ですよね。それができるのは、実は今までより攻めているからで。

「うん。そう。まさか『FOUR』作ってた頃の自分がのちのちこんなアルバム作るとは、夢にも思ってなかったから」

--しかも、たった5年で。だから本当は音楽性や嗜好が変わったというより、横山健という人間があの頃からずいぶん遠い場所に居るんだろうなと。

「うん。そうだね。『Best Wishes』出してからの動きも大きかったと思う。映画作ってもらって、本も出さしてもらって、あとは写真集も出してもらって。横山健という人間の、音楽以外のところ、人間そのものっていうところを露出させてもらって。それがあったから考えられたし、挑戦できた。今回の音楽的なチャレンジはもちろん、Mステに出たことも含めて、全部がひとつの流れになってるなぁって自分で思えるから」

--3月には武道館も決まっていると聞きました。これもMステほどではないにせよ、大きな話題になりそうですね。

「うん。まぁ武道館はね、俺らが最初にやった(2008年の)後に、オールスタンディングが事実上できなくなってたの。消防法の担当が変わったらしくて、それがまた変わるのを待つしかなかった。で、ようやくできるタイミングが来たから、なるべく早く日程取ってやろうって。それで決まったのがちょうど今回のツアーが終わる頃のタイミングだったのかな」

--2008年の「DEAD AT BUDOKAN」でも、ついに横山健が武道館だって騒ぐ元キッズの熱はあったけど。今の健さんは、もっと違う意味での熱量や期待を背負って立つことになるでしょうね。

「………今はまだそこ考えたくないかなぁ(苦笑)。そっかぁ。でも……それを望んでたはずだし、自分でやりたくてやってることだし。こうなったらほんと、背負う勇気を持っていかないとね。Mステ出るって決めた時点でそれは覚悟したはずなんだけど、あらためて今、そういう勇気が必要だなって自分に言い聞かせてる。で、武道館の頃にはね、もしそういった期待があるんだったら、それも全部背負えるぐらいの気持ちになってないとね」

INTERVIEW BY 石井恵梨子