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Ken Yokoyama 6th Album [SENTIMENTAL TRASH]



『Sentimental Trash』全曲解説・後編‐‐
「大変だったけど、楽しいチャレンジ。いい糧になった」

--7曲目の「One Last Time」。音は迷いのないメロディック・パンクで、歌詞がすごく強烈です。

「うん。これはシングルの「Never Walk Alone」の世界観に、もうちょっとの辛辣さ、あとはパンクロックのアティテュードを混ぜて書いてみた。子供たちに言ってやりたいことだし、同世代にも向けてるし。これもたぶん、今回のアルバムのキーになる曲じゃないかな」

--ここでサビに“Last Time”っていう言葉を持ってきたのは?

「……そうだなぁ。TOSHI-LOWじゃないけど、今日が最後なんだっていう想いは、俺にもあるの。いつでも。これで80歳まで生きたら笑いもんだけれど(笑)。でも、毎回これが最後だっていう想い、その切迫感はいつでも持ってる。恥ずかしいけれども、けっこう本気で思ってる」

--そこを歌にするのは初のことで。いくらでも深読みできるんですよ。新境地の「Roll The Dice」を楽しそうに鳴らした直後だから、もうこういうパンクロックをやるのは最後だよ、っていう解釈もできちゃう。

「あぁ! なるほど。………そうかも(ニヤリ)」

--もっと言うと、このスタイルが好きで、ハイスタからずっと付いてきてくれるファンに向けて『これが君たちに託せる最後のメッセージだ』って言っているようにも思える。考えすぎかな?

「いや、そんなことない。今のそれ、格好良かったから採用してください(笑)。 この年になってくるとね、今まで言わなかったことも、ちゃんと言っとかなきゃいけないって思えてくるの。行動もそう。今までやらなかったこともやるべきだろって。45歳……今年46歳で、いつまでできるんだろうなって考えることもある。周りでも若くして亡くなる人が多いし、自分だっていつ来るかわかんない。もう出し惜しみしてられない。そういった意味では、前のインタビューで石井さんが言ったように、最終章なのかもしれない。すんごい長い、まだまだ続くのか、みたいな最終章になるかもしれないけど(爆笑)」

--次の「Mama, Let Me Come Home」もメロディックですね。勢いと流れに乗って、すごい歌詞をぶっ込んできたなぁと。

「そう。俺、戦争映画が好きで。さっきの『フルメタル・ジャケット』しかり、いろんな映画を見るんだけど。やっぱ今まで見てきた戦争映画って20世紀の戦争でしょ。今の戦争はもっと機械化されてるから時代錯誤なのかもしれないけど、あえて文字に、歌詞にしてみた。もちろん、ISとかのニュース見てると今もこういう風景を想っちゃうんだけど」

--第二次世界大戦の日本兵のイメージもありますね。今の日本の国会を見て、よけいそう思うのかもしれないけど。

「うーん、特に日本兵だっていうことではないんだけども。でも今、それこそ日本は安保法制で揺れていて、そこは俺、ステージでもよく言うの。『安保がいいか悪いか、それは人それぞれ考えるところ。でも俺が言いたいのは、もし戦争に舵を切ることになったら死ぬのは俺じゃなくてキミたちの子供なんだよ』って。ライヴの場所ではまず楽しんでくれればいい。その後も美味しいもの食べて、笑顔で帰ってくれればいいんだけど。でも今この国で何が審議されているのか、どういうことが起こっているのか、そこにも目を向けて考えなきゃいけないよと。そういうことを考えなかった成れの果て、っていう曲かな」

--テーマは「Dance,Sing,then think」と同じだけど、伝え方は一番強烈な手法ですね。“たとえば俺はこう思う”っていう歌詞では全然ない。

「そうそう。自分でも、ゲッ、って思うもんね。そうね、この7〜8曲目あたりはすごくメッセージ性が強いと思う」