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Ken Yokoyama 6th Album [SENTIMENTAL TRASH]



--そこから、これまたびっくりのナンバー「Yellow Trash Blues」です。これも、箱モノギターから自然に生まれたことが想像できますが。

「そう。「I Don’t Care」ができたから調子に乗ってもう一曲作った(笑)。イメージは、ストレイ・キャッツの「ストレイ・キャット・ストラット」っていうブルージーな曲。KEN BANDでも時々遊びでやってたの。こういう雰囲気の曲があったらいいよなっていうのがスタートで」

--健さんとブルースって、あんまり結びつかないんですけど。リスナーとしてはさほど遠いものじゃない?

「……あー、そうか。でも俺、自分ではブルース・ギタリストだと思ってるから。特にギターソロ弾いてる時は、ほんとブルース・ギタリストなのね。ギターの世界の話だけど、ブルースの音使いっていうのがあって。基本的に俺はそれなの。だから、ブルースって自分にとっては当たり前すぎることで。たぶん、すべてのギタリストってブルース弾けないと使いもんになんないと思う。それくらいブルースって基本的なこと」

--なるほど。

「で、これは自分のことをすごく自虐的に歌った曲でもあって。黄色いゴミのブルース、だからね。自分のことを黄色って言い切ってる、ゴミって言っちゃってるところにも何かしらの意味があるんだろうし。でもこの曲は、自然と自分のこと歌いたいなぁと思ってた。自分自身のことを」

--両方ありますよね。負け犬の自虐であり、一匹狼の誇りであり。なんとなくトム・ウェイツっぽさもあったり。

「うんうん。ね、曲調は全然違うけどトム・ウェイツとか、ポーグスのシェーンだったり、あとブライアン・セッツァーもそうだけど、みんなやっぱ詩人だよね。それこそサイモン&ガーファンクルの頃のポール・サイモンとかも、すごくいい詩を書くし。そういうのを見てきて、いつか自分でもこういうことを歌いたいって思った。言い当てることと、含みを持たせること。たとえば20年後に違う文化圏で暮らしてる人がこの歌詞を見ても、ゲッ、って思えるものにしたい。そんな気分もあったな」

--なるほど。シングル曲の「〜Radio」はコラム参照で十分だと思うので、「A Beautiful Song」に行きましょう。びっくりしました。バラードでストリングス!

「ははは。先に言っちゃった! でもこれは、実は一番最初にできた曲で。(DVD化された『横山健〜疾風勁草編』収録の)「Stop The World」よりも実はこっちのほうが先にあった」

--時間軸で考えると『Best Wishes』の世界観に近い? あのアルバムは「If You Love Me」のカバーで終わったけど、もしオリジナル曲を当てはめるのであればこういう感じだった……みたいなイメージですかね。

「うんうん、かもしれない。で、この曲をレコーディングするんだって思い始めた段階で、ストリングスを入れたいって思った。絶対いいものになると思ったし、自分でゾワゾワくるのもわかってた。実際レコーディングも素晴らしくて。ほんとやって良かったな。いつものアルバムだったら、この曲はアコギで歌ってたと思うんだけど、やっぱり新しいことがしたかったから」

--歌詞も興味深いです。今、『Best Wishes』の直後だって聞けば納得できるんだけど。

「うん。でも歌詞はレコーディングの一番最後に書いたものなの。で、これもやっぱり詩的に書きたくて。だから……実話も入ってるんだけど、歌詞は説明すると無粋になっちゃうな。ふふふ」

--震災がどう、愛がどうと一口に言えないストーリーですし。

「そうそう。ほんとはね、これ「even though it isn’t true」っていうタイトルだったの。歌詞にもあるけど、“ウソでもいいから”っていう意味の曲だった。でもジュンちゃんから(モノマネで)『そんなんお前、日本人にわかんねぇよ。まず言いづらいよ』ってダメ出しされて(笑)。でも、この言葉はこの部分に上手くハマってるから、じゃあどうしようかと。それで最後の一文にある“a beautiful song”っていう言葉を曲のタイトルにして、こういうふうなストーリーで締めたら、すごく自分も納得いくなぁと思って。その時に口ずさんだのがこの曲だった……っていうような」

--余韻もあって、いよいよエンディングっていう雰囲気なんだけど。でもこれがラストではないんですね。

「そう。これもジュンちゃんとミナミちゃんが言ってたな。これがラストだと、ラストらしくなりすぎるからって。それで次の曲が来るんだけど」