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Ken Yokoyama 6th Album [SENTIMENTAL TRASH]



新作『Sentimental Trash』に至る道‐‐
「変わった、突破したかった。でも繋がってる」

--この取材は7月の20日。まだ10日しか経ってないので、まずはMステの感想からお願いします。

「うん。ほんとに一番最初に来るのは……やって良かったなってこと。出させてもらえて良かった。ただ、思いのほかリアクションが大きすぎて、ちょっと困惑してる自分もいる。俺ってもうちょっと悪役じゃなかったっけ? みたいな(笑)」

--今のところポジティヴな反応ばかりってことですよね。その中でも、健さんが想像していなかった声というのは?

「共演した3代目J Soul Brothers、NMB48のお客さんたちにも届いてたことかな。Mステと、あとコラムの文章も併せて。コラムは後日談も含めて自分の心境を書いたでしょ。ただの事実の羅列なんだけども、それがほんとに面白いドキュメントになったんだろうな、とは思う。『初めて知りました』っていうメールがたくさん届いて……否定的な人がいないことにびっくりしてる。もちろん実際はいると思うの。『お前に言われたかねぇ』とか『何言ってんの? ロック全然死んでねぇよ、細分化しただけでしょ』って言いたいロック好きな人たち。過去の発言とか存在とか、俺にもツッコミどころは多々あるわけで。でも今のところはそういうのもなくて。そこにも驚いてるかな」

--今後の健さんには、ロックシーンを背負うというイメージが付いて回りますよね。ただ、シーンっていう言葉は漠然としたもので。健さんが代弁したい、守りたいシーンとはどういうものなんでしょう。

「それはね、実際に(Mステに)出てみて認識が変わったところかな。出る前はほんとに身近なバンドのことしか考えてなかった。でもこれだけリアクションが大きかったら、それこそ直接面識がなくても、ライブハウスに出てるバンドのことは応援したくなるし、代弁……代弁じゃないな、同じ世界の住民だと思いたい。だから、やっぱライブハウスで地道に活動してるバンドってことになるのかな」

--そこにはどんな価値観、共通認識があるんですか。

「あぁ……なんだろうね? フィーリングでしかないけど、一口にバンドと言っても、言葉悪いけど、メジャーの事務所が組ませたバンドってあるでしょう? それは明らかに匂いが違う。善し悪しは別だし、すぐにホールツアーができるのはミュージシャンとして幸せなことなんだけど。でも最初から大人の仕掛け人がいるバンドには、すでに進むべき道があるし、そのバンドが終わった時に彼らもライブハウスには戻ってこないと思う。そこは俺の範疇じゃない。僕が背負いたいのはライブハウスで地道にやってる連中だから」

--なるほど。ただ、考えてみればライブハウス自体は減ってないし、むしろ増えてるかもしれない。でも今、そこにいるバンドがどんどん弱体化しているのはなぜだと思いますか。

「うーん! やっぱり………そこに突破口がないと元気がなくなっていくのは当然で。いくら月一回同じところに出ていても、それだけなら同じことの繰り返しになっちゃう。この先に何かがあるよっていう夢を、バンドも、お客さんも、あと場所を提供するライブハウス側も持ってないと。カネの問題じゃなくてね、みんな人前に出る以上は、まず有名になりたいの。その有名のなり方にもいくつか種類があるんだけど。そういった意味では、いつかテレビにも出れるんだよっていうのも夢のひとつ。横山健みたくなりたいじゃねぇかって思ってくれる人がいてくれてもいい。『あの人一応Mステで、EXILE TRIBEともAKBグループともタメ張ったぜ?』って。それはひとつ、わかりやすい目標にしてくれたら嬉しいと思うし」

--はい。で……今さらな話ですけども、そこに価値なんかないよって言ってたのはハイ・スタンダードなんですよね(笑)。

「うん(笑)。もちろんね、俺が今でも20代半ばのメンタリティで、ハイスタと同じような受け入れられ方をしてたら、きっと今も同じこと言ってると思う。でも現に違うから。しかも今はレコード会社を経営してて、ほんとにロックバンドが弱体化していく様を目の当たりにしてるわけ。どうしようか、どうやったら君たちをミュージシャンとして長持ちさせてあげられるのかっていうことを、ここ5〜6年のピザオブデスではすごく考えていて」