-- 次は「Vicious“Nuclear Fuel”Cycle」。先ほども話が出ましたけど、これは今伝えるべきことを演説しているような曲ですね。
「うん。今、っていう意味で大事だったのは、次の9曲目のほうなんだけど。でもこの曲はKIYOさんがすごい気に入ってて」
-- ここで出ててくる“レイジ・アゲインスト・ザ・マシーン”って、あのバンドのことなんですか。
「っていうより、あのバンドの、バンド名の意味かな。歌詞はさっき言ったようにアジっぽいものを意識してるけど、このレイジ・アゲインスト・ザ・マシーンが出てくる箇所、カギ括弧でくくってるところは詩になっている、というか。そういう曲ですね」
-- 9曲目「The End Of The Nuclear Era」も反原発つながりの一曲ですね。
「うん。こっちこそ、今の歌詞、今出すべきって思った歌詞かな。作ったのはだいぶ前で、去年の夏とか秋くらい。で、これを出すなら今かなと」
-- 中盤のギターソロ、凄いですよね。まぁソロは全曲そうなんだけど、今回は全体を通してギターの存在感がことさら強い。
「うん……ロックだしね。ロックの定義って考えたことあります?」
-- え? うーん……考えて、だいたい袋小路に入りますね。
「ね? 意味とか精神とかそういうこと考えだすとそうなんだけど。でも、ビートルズとかキンクス、ストーンズとか、あとジューダスも60年代に始まってるバンドだけど、そういう60年代のバンド聽いていけば思うんだよね。ロックってギターでかいよな、って(笑)。ガーン!っていう歪んだギターの音。結局ロックってこれだよなぁ、みたいな。そういう話はKIYOさんとよくしてるの。ロックの意味とか精神性を考えだすとうまく答えられないけど、ロックってとりあえずギターがでかい。『ギターでかくないとロックじゃないよね』ってKIYOさんも言ってて。俺もなんか、そう思うな」
-- では、10曲目「Cursed Dawn」に行きましょうか。
「これはKIYOさんの曲ですね。なんか速い曲ねぇかな、って言ったらKIYOさんがパッと持ってきてくれた」
-- “着々と進む戦争の準備”っていう歌詞は、怖いくらいタイムリーですね。
「これまさに今だね。“見ざる 聞かざる 言わざるのテレビ”とか。ここはディスチャージの『ヒア・ナッシング~』だと思われそうだけど、日光東照宮の猿のことでもあって。日光のほうはね、いろいろ諸説あるんだけど、あんまり人のことグダグダ言ってもいいことないですよ、余計なことに関心を向けず、自分のことをちゃんと見なさい、っていう意味があるらしくて。その意味で捉えてくれてもいいし、単純にこの言葉のまま捉えてくれてもいいし。まぁ今、意味的にマスコミがそれじゃマズイだろ、っていうのは特にありますよね」
-- そして最後は「162 Graves」。これもシングルに入っていましたね。
「うん。シングルで切ったからアルバムではカットでいいかなって思ってたんだけど、復活しちゃいましたね。なんか並べていくうちに、この流れがいいんじゃないかって。メンバー間でいろいろアイディアを練っているうちに、これはやっぱ外せないから、っていうことになって」
-- このタイトルの、162の墓っていうのは?
「これは、チェルノブイリの事故で住めなくなった町と村の数。それが162個あるんですよ。チェルノブイリの資料館みたいなのがあって、その、モニュメントみたいなのが置いてあるところに、住めなくなった町の名前を書いた墓標みたいなやつがズラッと並んでる細道があるんですね。それが、162個」
Vol.03 へ続く
Interview by 石井恵梨子