-- 素朴な疑問なんですけど、まずは曲があって、それを聴いてから歌詞を決めるわけですよね。
「うん。聴きながら書く。あとは歌詞のストックの中から、なんとなくのリズムで合わせて、それを足したり削ったりすることもあるし。あと、最初の一行目をポンと思いつくこともあるし。まずはとにかく聴くんですよね。完全に暗記するまで聴くところから始める」
-- たとえば3曲目は、ロックンロールやハードロックがベースにあるし、オケだけ聴けばけっこうポップとも言えますよね。たぶんノリノリの歌詞が乗っても成り立つ曲で。
「そうですね」
-- そこでイスラエルの話、ガザ地区の紛争が自然とテーマに出てくるのは、KOさんにとって自然なんですか。
「うん……そういうことしか考えてないんじゃないですか(笑)? 普段もそうだもんね。友達のバーとかに飲みに行って、ムキになって『ISIS(イラクとシリアのイスラム国)がさぁ、サウジアラビアがさぁ!』とか言っても、みんな『うん……うん』ぐらいで、マスターのほうが困ってるみたいな(笑)。まぁそうだよね、来ていきなりテロリストの話をしだすんだから(笑)」
-- もういいや、って思うことは一回もないですか。俺には関係ねぇし、みたいな気分になること。
「いや、それがない。たぶんその切り替えができないから、けっこう参ってくるの。もちろん丸くはなったと思うけどね。ちゃんと話すようになったもん。とりあえず、その人の意見はちゃんと聞く。相手がちゃんと話せるぶんにはね」
-- ネットだと、ちゃんと話せない、話にもならないことがありますよね。たとえば放射能の被害について訴えると「放射脳だ、出ました陰謀論!」とか揶揄する人たちが絶対に出てくる。それについては?
「……バカなんじゃないかなぁって。それぐらいしか思わない(笑)。だって、そういうタイプって完全ブーメラン野郎だもん。チェルノブイリのデータなんかたくさんあるわけで、そこで医療従事した人も支援者も日本には多いから。WHOのデータとか、もちろんどれを見てもバラつきはあるんだけど、あそこまで大きな事故だと正確な数字なんて出せるわけがないじゃない。被曝してなくても、黙ってても病気になる人はいるんだし。ただ、そういうことを見もしないで頭から否定してる奴らには、何言っても無駄……っていうかブッ飛ばすくらいしか方法ねぇんじゃないかと思ってる(笑)。だいたいグダグダ言ってる奴らって、一発どつけば『あぁ、すいません』だから(笑)」
-- はははは。KOさんらしい。
「で、そうじゃない奴だったら、ちゃんと議論もできると思うの」
-- KOさんは、発言と表現を分けていますよね。たとえば「原発の是非ついてもいろんな考え方があるよね」っていう議論をここですることはできる。でも歌にするなら「即時廃炉!」と叫ぶ。そこは意識的にやっているんですか。
「一時期はわざとそうやってた。その極論を言った先に矛盾があることもわかったうえで、あえて極論を投げかける。そうやってたけど、今は、まぁ話してもいいよ、とは思ってるかな。ただ、話してもいいけど、話になんないからね。霞ヶ関政策総研の奴ですら逃げたもん。国防とか安全対策で言うなら、こんな手だってあんな手だってあるわけで、なんでその試算を出さないのか。その先を言ってみろって言うと誰も答えられない。じゃあ俺は『この足りねぇ頭で言わせてもらうけど、即時廃炉でいいじゃん?』って言うわけ。お前らが金儲けすることをちょっと我慢すればいいじゃん、と」