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Ken Yokoyama 3rd EP [I Won’t Turn Off My Radio]



さぁ、どこまで存在意義はあるんでしょうか----

--曲調の変化については納得ですけど、歌いたいこと、伝えたい主張っていう意味ではどうでしょう。たとえば一曲目の「Dance, Sing, Then Think」は、昨年の取材でも話していたことですよね。

「そうそう。だいたい歌詞って物事の本質がどこにあるかわからないまま書いて、後から気づくことが多いんだけど。でもまず今回は、自分が今まで取材やステージで言ってきたことをそのまま書きゃいいんじゃないかと。それはひとつあったかな」

--ただ、鋭い主張もなるべくユーモラスに伝える、っていうことは意識したんじゃないかと。

「確かに。伝わり方もあるし自分でも残したい形はあるから、お説教みたいな曲にはしたくなくて。一曲目は確かにそうかもしれない。すっごい真面目に考えてることをちょっとユーモラスに書いた曲。やっぱり『Best Wishes』はヘヴィだったし、そういう明るさを俺自身が欲していたんだと思う。別にそこまでポップに見られたいとも思わないんだけど。でもまあ、シリアスの一歩手前で、まだジョーク言える余裕もあるぐらいの精神状態で」

--次の「~Radio」は、さっき言ったロックンロールの歴史と、自分の現在と、最初に話したロックシーンの現状がいろいろ詰まっている歌詞で。

「そう。ここには自分のノスタルジーがすごく入ってる。僕、ラジオっ子で、AMもFMもよく聴いたし、毎週ヒットチャート記録してたぐらい。そういう自分の風景と、あとは自分とラジオという存在を重ねあわせて、さぁ、どこまで存在意義はあるんでしょうか、っていうことを擬人化して書いてみたり」

--はっきりと“ずいぶんボロボロになったな”とか“いつまでも人に必要とされるのは難しい”って書いてますけど。

「はい(苦笑)。それもね、この2年半のライブで感じたことのひとつ。日の丸を掲げてギョッとされるのと同じくらい、自分の年齢を考えた。世の中では本当に責任ある世代だけども、音楽家としてはだいぶ古くなってきてるんだなっていう。実際ね、必要とされるかどうかは結果論で、意外と必要とされてないんじゃないかって思うこともあるし」

--コラムでも最近は自虐的に書いてますよね。それは、今までずっと一線を走り続けてこれたから感じることだとも思いますが。

「うーん……でも振り返ってみると一線じゃない。二線かもよ? 一線っていうのは、北野武さんとかのライン。俺はあくまでもライブハウスとか、パンク/ラウド系の一線であって。それってすごく小さなことなの。そこを最近は考えてるのかもしれない。これはさっきの、ロック自体がすごく小さいものになったっていう話にも繋がるんだけど。だから自虐になるのかな」