--でも諦めてないですよね? 表向きはネタにしつつ『いやいや、やってやるでしょう』って気持ちが裏にはあるはずで。
「うん。やるよ? それはもう、やれるチャンスがあるならとことんやるし。やってやるよ。やれること全部、思いついたこと全部やってやろうって思う。だから実は、昔よりもモチベーション高いかもしんない。特に自分は若いうちにいい時期を過ごしたわけだから、こうやって40半ばにもなって……鳴らす音楽スタイルも感性も凝り固まってしまったと思う。今の10代20代の子が新しく鳴らすような音は、俺にはまず鳴らせない。で、それを甘んじて受け入れるのが普通なのかもしれないけど、俺はどうやったらそいつらの視界に入ってやろうか考えてる(笑)。どうやったら若い子たちの隙間に、自分のこのキャラのまま入っていけるかなぁって」
--入りたいですか、10代20代の隙間に。
「入りたい入りたい! 入りたいよ(笑)。入りたいと思わなかったら、少なくとも人前に出ていかないと思う。音楽はやってるかもしれないけど、こんなにツアーしたりフェスに出たり、インタビュー受けて自分の考えを発信してもらうなんてこと、やってないと思う。もっと細々と作品出して横山健アーカイヴみたいなものを作ってるかもしれない」
--そういうアーティストも実際いますよね。ファンクラブ限定に近い活動だけど、そこでお互いが満足できる。たとえば氷室京介さんは、今更フェスに出ないし雑誌のプロモーションも必要ない。でもコンサートは毎回ファンで満員になるし、高い物販も売れるから興業として立派に成立すると。これはまったく不幸ではない話だから。
「あぁー……それはまだやりたくないな。まだ、じゃなくて、俺のやりたいことじゃない。もちろんコアファンに向けての発信って、受け取るアイテムとしてはすごくいいと思うんだけど。でもまだ、広げる作業はしたいな。そこの熱は衰えないし、むしろ昔よりも必要とされてないぶん……っていうとまた自虐的だけとも。旬じゃない……っていうのも自虐ネタっぽいけど(爆笑)。でもね、たとえばSEKAI NO OWARIだとか、どう考えても存在感で負けてるわけでしょう。俺は負けてるなんてこれっぽっちも思わないけど(笑)、一般的にね。明らかに彼らのほうが若い子の感性に引っかかる。そんな中で、2つも3つも上の世代である俺が何をするのかって、それはここからやり甲斐になっていく気がする。それはメロディとかサウンドの話じゃなくて、どんな人間であるかっていうことが重要なんだろうし」