--「いいから」はエロカッコイイを目指した曲ですが、「TRACE」はまったく対局にあるナンバーですよね。
松本健太(以下、M)そうですね。「TRACE」はWANIMAが考えている大切なことを歌っています。
--「TRACE」のPVを見たのですが、どこかの山の上で撮影していますよね。あれはどこなんですか?
藤原弘樹(以下、F)あれは長野県の白馬ですね。
M 機材やカメラなどを1時間くらいかけて山の頂上まで持っていったんですよ。
F 山の途中まで車で行って、そこからロープウェイで登るんですけど、最後の1時間くらいの道は自分らの足で登らなければいけなかったんです。
M もう道なき道を行くんですよ。藤くんは登る前にカツカレーをたらふく食べて、行くぞと気合いを入れていたんです。
F でも登り始めて10分で全部吐きました(笑)。ただただしんどかったです。
M 雲の上まで行くんですよ。すごい山のてっぺんで撮ったんです。
F 標高が2800mくらいだったよね。
--前作『Can Not Behaved』に収録されていた「1106」のPVに続いて、今回も自然の中で撮ろうと考えていたのですか?
F 監督さんに曲を聴いてもらい、イメージを膨らませてもらった結果、山がいいんじゃないかと。
M 「TRACE」には足跡や痕跡を残す、みたいな意味があるので、一歩一歩という気持ちで。山を登っているときは、これは無理やろうと思っちゃって。でも一歩、一歩やるしかなくて。山頂に到着したときの達成感はすごかったですね。もうアスファルトの上を歩くのが平気ですよ、どれだけでも歩ける気がする。すごかったんです、本当に。
F それを2往復くらいして。
M 睡眠時間もなくて。朝から夜暗くなるまで撮って。また朝日を目指して、夜中に出て。スタッフみんなそんな状況でした。
--たしか「1106」のPV撮影のときも強行軍でしたよね。なぜ毎回そんな苦行みたいな感じに(笑)。
F そこが謎なんですよ(笑)。
--光真さんは山登りは辛くなかったんですか?
西田光真(以下、N)僕は前職が自衛官なので、大丈夫でしたね。途中からドラムセットも持って登っていましたよ。
F 最初は俺が持っていたんですけど、きつすぎて。もう無理だと言ったら、光真がスっと担いでテクテク歩き始めたので。さすがだなと。
N 自衛官のときは山2つとか普通に越えていたので。でも今回、山頂付近は空気が薄かったので頭がおかしくなってきて。
M 幻覚が見えたのか、俺らに敬語を使い始めて(笑)。
F 「景色が綺麗ですね」とか言い出したし(笑)。
--酸素が足りなくなって、おかしくなっちゃった(笑)。それと頂上に着いてから何テークも撮るって、かなりきつかったでしょう?
M 何十回も撮りましたけど、その間もスタッフさんが荷物を運んでいたり、水を持ってきてくれたりしていたので。それを考えると中途半端に気を抜けないな、というのはありましたね。チームとしてみんなでやっているので。
F 全部で20人くらいいましたから。
M 精神的にも肉体的にもいろいろと思い知らされましたね。
F そういうのを踏まえて、もう一度PVを見てもらえば、感想が変わると思います。
M PVを見てくれた人たちが、コメント欄にいろいろな思いを書いてくれていて。自分の中に残っている人、大切だった人、家族や会いたいけど会えない人とか、そういうことを思っている人に響くと思います。