- Interview Vol.02 -
● WANIMAはどんな方向を向いているんでしょうか。
藤原 上しか向いてないですね。もっといろんな人に自分たちの音楽を聴かせたい、聴いてほしいっていう。どのバンドもみんなそう思っているかもしれないですけど、それをいざ、どれだけ強く思っているかというのは負けないんじゃないかなって。
● 相当、思ってますか。
松本 いやもう、一生に一度のチャンスだと思ってますよ。ずっと音楽をやりたくてもやれんかったですから。
西田 ぼくもその気持ちだけですね。
松本 それプラス、お客さんが求めてくれてる、一緒に歌えとるというのがすごく、同じ時代に生まれてよかったなって思います。
● 3千年前じゃなくて(笑)。
松本 3千年前でも楽器がないだけで、たぶん同じことをやっとったと思いますけど(笑)。
● 上に上がるために必要なのは思いを強くもつことだけですか。
松本 いや、人と人とのつながりがすごく大切だと思います。特にぼくらはインディーズで。ピザはDIY精神がすごくあって、やっぱり人と人のつながりで、一人ではできんこともできていると思うんですよ。伝染していく、じゃないですけど、しっかり目を見て話して、伝わって、一緒になって、一人が二人にっていうふうに増えていけば、それがすごく力になると思うんですよね。そしてそれが音楽に宿っていくと思うんですよ。それはなんでもそうだと思いますけど。いいフェスやったり、いいライブハウスやったり、そういうのはやっぱり人と人とのつながりやったり、真剣に音楽と向き合っている人がいるからやと思うんですよ。
● 今回の「Japanese Pride」という曲でも、今言われたようなことを歌っていますよね。

松本 はい。
● 合ってます?(笑)
松本 そうですね。でも、どう思いましたか?
● いや、人と人とのつながりを大切にするのが日本人らしさだと……。
松本 そうそう、そうです!
● ちなみにサビの《SHAKE SHAKE Japanese》というフレーズは「フレーフレーニッポン」ということですよね?
松本 ま、そういうこともあるんですけど……。まぁ、「混ぜる」とか「振る」とか、いろんな意味がありますし、そこは自分のなかだけの裏テーマという感じですかね。
● 確かに曲全体としてはいろんな話が混じっていますしね。
藤原 聴き手によってたぶん、受け取り方が違って。そういう曲が多いですね。
松本 おれとしては日本人本来の、っていうことを思ってて。あとは、日本に来た外国人が普通に英語で話しかけてきたことがあって。自分たちが海外に言ったら英語で話すじゃないですか。だから「違うやろ、日本語で質問してよ」みたいな。ちょうどその時、自分の占いが12位で機嫌が悪かったんで、「なんでやねん!」と思っちゃったんですよ。この曲ではそういう皮肉も歌ってます。
● 「SPEAK JAPANESE」みたいな。
松本 あとは、ちょうどそのころ出会った女の子が海外好きのハーフの女の子で、《ヤダニッポンジンキライ… ダッテNOモイエナイ…》って言ったんですよ。いやいや、それも日本人のいいとこやんけ!と思って。イエスとノーの間にはすごくいろんな思いがあるんやと。何を言うとんねん!というのもあったんですよ。そういう思いを歌にしました。あとは自分の願望ですね。《海外に行ってみたい… 野外であんなことしたい…》という部分も聴き手によっていろんな受け取り方ができると思うんですけど、「野外であんな娘としたい…」としなかったのがおれらしいなと。歌詞からはそこまで汲み取ってほしいですね(笑)。
藤原 むっちゃしゃべっとる(笑)。なんで関西弁やねん(笑)
● さっきの過去の話のくだりでは言葉は、少なかったですが(笑)。
松本 それを前提にして聴かれたくないというか。本当に精神的につらい人は「つらい」という言葉も出ないものだとずっと思ってきたし。「頑張れ」ってよく言いますけど、本当に向き合って闘っている人にはそういう言葉はいらないじゃないですか。まぁ、おれ以上に光真がぶっ壊れた家庭だったんで。それを見ていたら、おれよりもっとすごい環境のやつがおるんだから、おれなんかこんなところで甘えてたらダメだ、っていうのがあったんですよね。そういうことをなんとかインタビューでうまく言えたらいいんですけど……。そういうのを面白がってネタにするバンドもいるかもしれないですけど、そういうことは言わなくても伝わると思うんですよ。だからこうやって歌詞にして──ぼくは言霊があると信じてます。
Vol.03 へ続く...
Interview by indies issue 岩崎 一敬
Photo by Yuji Honda