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WANIMA 1st Album [Are You Coming?]

WANIMA 1st Album [Are You Coming?] 発売記念インタビュー

- Interview Vol.01 -



● 押し付けがましくは言ってないですよね。自分自身の思いを歌っているだけであって。

松本 うん。「これこれこうなんだよ」って言わなくても、たぶんみんな分かってると思うんですよね。大人も子供も感覚として分かっている気がするんですよ。だけど何とかして乗り越えたいとか。乗り越えていかないと、もうどうしようもないとか、絶対にあると思うので。自分にもあるので。そういうのが音になってると思うんですよね。それが本来の音楽の姿というか。さかのぼること3千年前の話になるんですけど。

藤原 「さかのぼること3千年前」の話はちゃんと説明した方がいいね(笑)。

松本 もともと音楽って、楽器も何もない時代から「獲物が捕れた!」って集まって宴をしたり、雨乞いのお祈りをしたり、たぶんみんなで歌っていたと思うんですよ。その感じってすごく純粋だし、いろいろ加わってないじゃないですか。音には目には見えないものがあると思うし。だからこそ音楽には正直に向き合わなければいけないと思ってるんですよね。

● つまり、「苦しいんだ、でもやるんだ!」っていうのも──。

藤原 素のまんまを出すっていうことですね。

● たとえばWANIMAを通して何かを克服しようとか、自己実現するとか、そういう意識ってありますか?

松本 もし自分が音楽をやっていなかったら、こんなふうに歌うことも歌詞を書くこともなかったので。もっと早い段階で心が折れていたと思うんですよ。歌うことで、それをお客さんが求めていることを知ることもできましたし。WANIMAのおかげで助かってますね、おれは。救われています。

● 自分の素のまんまの叫びが多くの人に受け入れられる、それは苦しい叫びほど感動的なことかもしれないですね。

松本 おれはそれがすごくうれしくて。でもまだまだ、もっと多くの人に、っていう気持ちはあります。言ってもまだごく一部じゃないですか。

藤原 もっと多くの人に響かせたいですね。

松本 「一億人の健ちゃん」になりたいですね (笑) 。

● バンドをやり始めたのは高校生の時ですよね。

松本 高校1年からやり始めました。

● 今回の歌詞ってたぶん、バンドをやり始める前の状況、それこそ子供のころのことも書かれていますよね。もし音楽をやっていなかったらとっくに心が折れていたということですが、以前はどんな状況だったんでしょうか。

松本 いわゆる普通の家庭ではなかったですね、おれと光真は。自分たちでどうこうできる問題でもなくて。でも、いろいろなタイミングでいろいろな人に助けられたので。周りの人たちに助けられた感じですね。

● 以前のインタビューでは、二人ともおじいちゃん子で、光真さんはよく松本さんの家に遊びに来ていて、松本さんよりも先にお風呂に入って晩ご飯を食べていた、ということを話してましたね。

松本 あまり裕福ではなかったですね。

● その頃、どんなことを感じながら生きていたか。

松本 なんて言えばいいんだろうな……。でもやっぱ、寂しさは常にあったような気がします。あとは、世の中のいろんな種類の人を幼い時から見てきたかもしれないです。なんていうか、幼い時には分からなかったことも、大きくなるにつれて分かったことも多くて。うまく言えないんですけど、一般的な家庭ではなかったから、周りが羨ましかったです。

● 西田さんも似た環境だった?

西田 ぼくも裕福ではなかったというか。やりたいことが何もできなかったですね。動ける範囲も決まっているし。ぼくの場合は小学校の時から複雑な事情が始まったんですけど、最初は周りの目がすごく嫌で、家の外に出たくなかったですね。そしたら、おじいちゃんとおばあちゃんが、そんなぼくを見て悲しんでて。その悲しんでいる様子を見て、自分は何をやっているんだろう、ぼくは長男なんだから支えていかないと、という気持ちに変わっていって。それからは自分から自分の環境をオープンにするようになりました。そしたら周りの人たちが手を差し伸べてくれるようになって。その有り難みに触れていくうちに、自分も周りに対して何かをしたいという気持ちが芽生えてきて。それで、自分がいちばん好きなものは音楽だから、音楽で家庭や周りを支えられたら、それほど幸せなことはないなと思って。そして思いきって東京に出てきました。まだ全然、途中なんですけど、どんどん目標に近づけていけたらと思っています。

● おそらくお二人はお互いの気持ちを共有していたと思いますが。松本さんが音楽をやり始めた経緯は?

松本 ずっと一緒にいたので、聴いてきた音楽もほぼ一緒だし。仲間内でそういう寂しさや苦しみを音楽にぶつけていた感じはありましたね。みんなで溜まり場に集まって音楽を聴いたり、真似て歌ったり。音楽をやってるときはそういう寂しさや悲しさを忘れられていた気がするんですけど。小さい街ならではの、みんなで溜まってワーワー言って、その間はすごく幸せな気分で。でもどこかには寂しさは残っていたりして。ただ、みんなと一緒におれば何とかなるんやないかなって気はしてましたね。

● 松本さんが先に一人で東京に出て、西田さんはその2年後に自衛隊を辞めて上京するわけですが。松本さんが上京しようと思ったのは?

松本 音楽をやるためですね。もともと熊本でやっていたHANIMAというバンドをずっとやりたかったんですけど、光真は自衛隊に入ることになったので。

● 熊本では寂しさを紛らわすために音楽をやっていたということですが、東京に出てきてからは?

松本 知り合いもいないし、電車の乗り方すら分からなかったくらいで。まずは環境に慣れることに必死でしたね。

● 西田さんが上京するまでずっと一人だった?

松本 そうですね。でも2年間ずっと光真を待っていたわけではなくて。新しくメンバーを探してバンドを作ろうと思っていましたから。でも、できず。で、どこかのタイミングで光真と「東京に出てくれば?」という話になって。それで音を合わせていたら──という流れなんですけど。まぁ、その2年間はつらかったですね。

Vol.02 へ続く...
Interview by indies issue 岩崎 一敬
Photo by Yuji Honda



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