-- 嫌だけど文句言っても仕方ないものって、たぶん誰にでもあって。普通はもういいやって放っちゃうけど、Makotoさんはそうしないんですね。とにかく嫌なものを徹底的に攻め続けるし、ぶっ潰そうとする。
Makoto もしかすると、かまってちゃんなんですかね、俺たち(爆笑)。でも、そう言われると矛盾もありますね。嫌いなら放っときゃいいのに。「うっとうしすぎて放っとけねぇな!」みたいな。
Ishi でも、だからずっとやってるのかもしれないです。たとえば何か理想があって、「こうだろ、お前ら!」って言ったとき、全員が「うん、そうですね!」って言ってきたら……逆にドン引きすると思います(笑)。
Makoto ははは。でも僕は誰かに伝えたくて書いてるわけじゃないし、まったく理解されないこともある。それでいいと思います。
-- まずは「こういうのが嫌いだ」と表明するだけ。だけどその言葉はライブハウスでは、自分たちと観客の総意みたいなものにもなりますよね。
Makoto ……どういうことですか?
-- 強烈な怒りの感情でも、何かを確認しあう言葉になり得るというか。今回の「The March of Cruelty」に“てめぇはどっちだ?/もう始まってるぜ”って言葉があって。こんなこと突きつけられたら、客はもう自分がどっち側なのかその場で覚悟せざるを得ない。
Makoto あー、なるほど。確か……メタリカかな、そういうの多くないですか? オーディエンスを鼓舞したり、煽るようなリリックが多かったと思う。
-- 多いですね。音と言葉で「覚悟決めろ」って迫ってくるような。
Makoto うん。そういう影響もあるのかな。「Show me what you got?」的なニュアンスも、そのへんのリリックにはあるかなと思います。
-- あとは覚悟決めないまま、流行ってるものをただ追いかけている人たちへのディスもあって。
Makoto うん。アイドル好きのオタクとかクソ、と言い切ってみたり(笑)。
-- あえて書くと。嫌われるのも上等ですか。
Makoto うん。まぁ、むっちゃ嫌われたいぜ! って思ってるわけではないんですけど(笑)。大多数が歌うようなことを言うくらいなら、全然、正反対のことを言うくらいのバンドがいても面白いでしょ。それだけなんですけどね。「お前らみんな人間なんだから、そういうとこも絶対持ってるでしょ? 怒ったりムカついたりもするでしょ?」って思うし、そこをあえて歌ってる。
-- それを続けることのキツさって、感じることはありますか。
Makoto キツいなぁっていうのはないですけど。なんだろ? でも、すげぇリアルなことで言えば、たとえば日本のフェスに関して言うと、ある一定の規模からは、実売数が多くないとセレクトさえしてもらえない。「俺たちヤバいから出してくれよ」って言っても、出してくれないフェスが実際あるわけで。そういう時、やっぱしょうがねぇな、とは思いますね。やってる音が音だし、歌詞も歌詞だし、そうやってツッパってきたんだから。でもそこでね、俺らみたいなもんに一生懸命やってくれてるピザオブデスのスタッフさんのことや、ずっと俺らのライブで遊んでくれてる皆のこと考えたりすると、そういうとこにこそ食い込んでいきたいし、応援してくれてるぶん、もっとカマしてやりたいって思うんだけど。でも選考で弾かれると、しょうがねぇな、自分のせいだ、って思います。俺も普段は仕事してるんで、ある程度わかるんですよ。バランスとか、需要と供給みたいなところ。そこは、まぁしょうがないね、と思う。悔しいなとも思いますけど。
-- はい。
Makoto 何千何万のステージに立ちたいとか、テレビ出たいとか、そういう目的で始めたバンドじゃないのは事実だけど。でも、なんとか頑張りたいっていう気持ちはすごいある。何倍にも返したいって思うんですね。でもそこで足を引っ張るのが俺らのバンドのスタンスっていう(笑)。
--そういう自分たちのポジションも、楽しんでますか。
Makoto もしかしたら楽しんでるかもしれないですね。状況にムカつくなぁ、と思いながら(笑)
Interview by 石井恵梨子