-- 自分でも思いますか(笑)。
Makoto うん。普段は普通にやってるんで。社会人として。だから……なんだろうなぁ? やっぱり田舎で育って、Ishiちゃんの兄ちゃんの友達がツッパリやって、BOOWYとか聴いてて、バンドやってて。そういうの見てたから、バンドなんて不良がやるもんだろって認識があって。
-- 昔は確かにそうでしたね。不良と切り離せなかった。
Makoto たぶん、そのイメージでそのまま来てる。もともとバンドは好きで、レコードとか聴くのも好きでしたけど、特にハードコア・パンクが好きになったのは「おぉ、曲悪いなぁ!」「けっこう悪いこと言ってるらしいぞ?」みたいなところで。俺もそんなリリックだったら腐るほど文句あるしムカついてることだらけだし負けねぇなと思って。そのまんまやってるだけですね。だから「どういうところから生まれたのか」って言われても……なんですかね? これが俺らにとって普通やった。俺らにとってはこれが正常で、今はもはや、世間でいうバンドってものが逆にみんなおかしくなっていった感じで。
-- 正常……ではないと思いますけどね(苦笑)。
Makoto 今ね、生徒会長みたいなバンドが多い。ものすごく良いこと言うし、みんな素晴らしいし、人間として絶対間違ってない。でも、だったら本当に政治家とかに立候補すりゃいいのに。逆に僕はそこでびっくりしてます。バンドやんなくてもいいのになぁって思うし、自分の中でずっと違和感がある。最近のライブハウス行ってもね、ステージに生徒会長でフロアの客が学校の従順な生徒たちみたいに見える。「気をつけ」って言われてビシッとしてるような。そういうふうに見えるし、感じちゃうんですね。生徒指導の先生の言うことをよく聞く、真面目で立派な生徒みたい。本来、そういうのが大嫌いな人たちがバンドやったり、お客でライブハウスに来てた。
Ishi うん。それは思うな。
Makoto あと、最近のバンドは演劇っぽい。PVでも、なんかヒーローものの最後の爆発シーンで使うみたいな、すごい崖でウワーッて歌ってて。ものすごい詩的で壮大、荘厳なリリックで。なんなん? あの大袈裟な感じ。「お前そんな壮大な生き方してねぇだろ!」って思う。「お前はなんだ、ギリシャ神話の神か!」みたいな(爆笑)。僕はああいうのが滑稽で仕方ない。でね、10代とか20代そこそこのガキがそんな壮大なことになってるなら、ちゃんと自分たちで「ショービズだから」って最初から言えばいい。なのに「これこそがバンドだ! 音楽だ!」みたいに言われると……。いやいや、学芸会でしょ。ジャニタレと一緒だろってなる。
-- であれば、SANDはとにかくリアルを歌っていたいと。
Makoto はい。
-- ただ、Makotoさんの言う“リアル”って、“等身大”とは別のものですよね。この暴力性は完全に常軌を逸したものですし。
Makoto はははは。そうですねぇ。
-- もちろん自覚的にやっているんだと思いますが。
Makoto はい。でも単純ですよ、ほんとに。テレビとか見てて、歯が浮くような歌ばっかりじゃないですか。歌謡曲の方々。それは別にいいんですけど、でもアンダーグラウンドのみんなも、今はそっち側に寄せていってる人が多い気がする。生徒会長みたいなMCとか、そいつら(ポップスター等)が書くような歌詞とか、それ、いるんかな? せっかくアンダーグラウンドで自由にやってるんだから。だったら、いいこと一個も言わないバンドがいても面白い。
-- 私も、「お母さんありがとう」みたいなこと歌うパンクバンドとか、なんじゃそれって思いますけどね。
Makoto いや、自分も感謝してますよ(笑)ほんとに。なんですけど、それ歌詞やMCで言う必要あんのかっていう。んなことは腹ん中で思っとけよって。いつも思うんですけど、いいこと言ってるな〜、MCも上手だな、って思うバンド見ても、心になーんも来ない。そんなものより、頬を引っ叩かれるようなライヴを観るほうが百倍「うわっ!」ってなる。そういうものが昔から好きだった。