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RAZORS EDGE 6th Album [RAW CARD]

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-- ところで、20年もリーダーとしてバンドを引っ張ってきて疲れることはなかったの?

いやぁ、もう疲れたよ(笑)! 2008年から2009年辺り、割りとバンドの調子が良かった時期があったじゃない? CDも売れて、グッズもたくさん売れて。でも、その後急にグッズの売り上げが落ちて「デザインが良くないのかな?」とか、「バンドが良くないからだ」とか、「年取ってきたからだ」とか(笑)、そういうことを考えるのが一時期すごく嫌になって、レイザーズのTシャツをデザインしたくなくなったんだよね。だって、一週間ぐらい頑張って描いた絵のTシャツが全然売れないんだよ? ……でも、調子いい時はツアー中にホテルでちょちょっと書いたやつを入稿してそれがすげぇ売れたりして、まあ、そういう手抜きをしてたから売れなくなったんだと思うけど(苦笑)。でも、あの頃はあの頃でバンドの事務仕事から曲作りから、デザインまで忙しくて。自分一人で全部やるのはいかんなと。事務関係は今は分担でやるようにしたんだけど結局、未だにデザインだけは一人でやってるんだけどね(笑)。

-- でも、一時期ケンジコは大阪を離れて東京に住んでる時もあったけど、一人でやってるのと周りにメンバーがいるのとでは違うんじゃない?

うん、今は全然違う。前はメンバーが何考えてんのか分からない時もあったからね。メールとか電話だけじゃ分からないし。

-- ケンジコって「俺についてこい!」って感じのリーダーではないじゃない? それでこれだけ長くバンドが続いてるのは面白いよね。

俺は本当に良い曲を書いて、「この人と一緒に音楽やりてぇ!」って思わせなくちゃダメだっていう強迫観念をもってバンドをしてるから。俺は別に人間的に大したヤツでもないし、そうするとバンドとして物を創るのが楽しくないと一緒にバンドをやってる意味はないわけじゃない? ミサイルなんか、前は一緒に酒飲んでるだけですげぇ楽しかったけど今は全く一緒に飲まないし(笑)、あいつと俺が今、何でつながってるかって言ったら、俺が書く曲だからね。それがないといつまでもつながってくれないだろうから、そういう恐怖感はある。

-- へー! その恐怖感がこれまでケンジコを駆り立ててきたの?

バンドを結成した時からそういう思いはずっとあるかも。もし俺が自分で曲を書かないメンバーだとしたら、曲を書くやつがどんなに良い奴でも、どんなにいいMCしてても、書く曲がダサくなったら絶対に一緒にいるの嫌だもんね(笑)。自分でもそう思うからこそ、そんな気持ちでバンドをやってるのかも。

-- だとすると、リリースがなかった期間のストレスは大きかったんじゃない?

でも、「俺はこれで鍛えられてるな」って思いながら続けてた。「音源を出せないなら何をしなきゃいけないのか」とか考えてさ。たぶん、「SONIC」を出してから2年、後の2012年とかにレーベルから「アルバム出せ!」って言われてたら出せたとは思うけど、そんなに良い作品にはならなかったと思う。

-- それはなんで?

今回のアルバムのクオリティが高いっていうのもあるんだけど、何がしたいのか分からないようなものができてた気がする。

-- その感覚ってなんだろう。当時は自信を失ってた?

曲はずっと作ってたんだけど、さっきも話したように震災後はそれを出せるほど自分の中で整理がついてなかった。歌詞が全く書けなかった。どんな歌詞を書いても誰かがいい感じにツイートしたような歌詞になりそうだったし、自分でもしょうもないと思うような歌詞になりそうな感じもあったし。でも、今はそんな風に思わないんだよね。自分が作った歌詞にストレスがない。

-- 震災後の状態からどうやって「よしやるか!」っていうモードに切り替わったの?

伝えたいことが出てきたことと、今回のアルバムの1曲目と2曲目が出来たことが大きいかな。メンバーからも「キタんちゃいます? この2曲を推していくしかないでしょ!」って言われて、曲に押されていった感じはあった。そこから、これまでにプリプロしてきた曲の中からどれを入れて何曲のアルバムにしようかっていう風に組み立てていったんだよね。

-- 起爆剤になったのはあの2曲だったんだね。

そんなにめちゃくちゃ良い曲ってわけじゃないんだけどね(笑)! でも、誰が聴いても「クソレイザーズじゃん!」って言わせる自信はあった。