-- これはおじいさんに向けて作った?
M そうです。じいちゃんは漁師だったんですよ。トントンじいちゃんと呼んでいた。だからこの曲は、じいちゃんが漁師をしていた天草の海でPVを撮りたいとお願いして。無理やりPVを撮らせてもらったんです。
-- 「1106」は健太くんのノスタルジーな部分が色濃く出ている曲だったんですね。
M そうなんですよ。千葉の海や東京湾で撮るのもありかなと思ったけど、やっぱり地元の海で撮りたかった。
-- その時にみんなで久しぶりに地元へ帰ってどうでしたか?
M 俺と光真にとって地元はパワースポットなので。
F 結構、引っ張り回されたよね。
M 旅館に着いて、滞在が1時間で。朝方からの撮影だったので。天気が悪くて、海が荒れまくっていて。睡眠時間も1時間とかでしたね、結構過酷だったんですよ。
-- 撮り直しが多かったから?
F いや、天候待ちで。
M 自然が相手なので、どうしようもなかったんです。
-- 天気待ちなんて、黒澤明監督の現場ですよ!
M でも全部撮れたんですよ。歌詞に「晴れの日も、雨の日も、曇りの日も」とあるんですけど、最初は雨で、曇ってから晴れたので、歌詞どおりに全部撮れて。最高でしたね。じいちゃんのおかげかなって。
-- 完成したPVを観て、どんな気持ちになりましたか?
M やっぱり嬉しかったですよ。3人の初PVを地元の天草で撮れた、ということがもう感無量でしたね。
-- なんか素晴らしいエピソードです(笑)。そしてメロディもこのバンド特有のキャッチーさがありますが、自分たちで持ち味はどこらへんだと思いますか?
M メロディはポンと出てくるんですよ。あの人のあそこをとって、あの曲のあのコードをとってとかではなく、ポンと出るので。
-- 耳に入ってきやすいメロディ、このバンドの強力な武器だと思いますよ。
M ありがとうございます!
-- そしてバンドっていろいろなバンドからの影響が見えるものですが、WANIMAはその影響が見えてこないですよね。
M 何をやってもWANIMAっぽくなる、それが自分たちの強みだと思っています。ジャンルは意識せずに、自分たちがいいと思ったものを出しているので。
-- 例えばHi-STANDARD登場以降に日本でメロディックなパンクバンドをやるとなると、必ずと言っていいほど影響を受けているはずじゃないですか?でもそういう部分が見えてこないのもこのバンドの面白いところだなと。よく言われません?
M よく言われますね。でも俺らにジャンルは関係ないし、どのシーンでもやっていけそうな気がしているので。
-- 自分たちのフィルターに一度通しているから、オリジナリティが出るんでしょうね。そして今作でWANIMAの存在がリスナーに幅広く伝わると思います。聴いてくれるみんなへ、どのように届いてほしいですか?
M いろいろな人に等身大だとよく言われるんですけど、やっぱりリスナーと一緒になっていろいろな物事と戦っていきたいですね。まだ抗っている途中なので、こうやって乗り越えるんだよ、というのは模索中だけど、一緒になって共感して進んでいければ。やっぱり誰かに向かって歌っているので。
F まず歌詞を見てほしいですね。今はネットでやりとりや聴くだけの人がいますけど、じっくりと歌詞を見ながら聴いてほしい。
N とにかく聴いて、うちらと一緒に上がってもらえたら。気持ちが上がってくれれば嬉しいですね
Interview by 中沢純