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SAND アルバムレビュー


Review.01 Toshiya Ohno (FLJ)


SANDの新作、本当、最高だ。間違いない。音楽なんて、良いか悪いかのどちらかしかないし、細かなことは、実はどうでもいい。ハードコアならなおさらそうだと思う。

破壊するための音楽。それはモノを破壊するのではなく、価値観の破壊。価値観と言ったって、奇抜なものじゃなく、本当に当たり前の、カッコいいかダサいかという価値。目線はストリート。その辺にいるんだけどわかってるヤツらの目線。と同時に、自分自身を解放するための音楽でもある。不器用だったり、周りから浮いてたり、怒っていたり、社会にやっつけられてたり……とにかく、何か違うぞと思ってる人間にとっての解放。人それぞれにモチベーションは違うだろうけど、そこに惹きつけられるのには理由がある。

普通が嫌いなヤツにはピッタリの音楽だと思う。群れることのダサさ。盲信することのダサさ。SANDはそこをハッキリ言う。ポエムみたいな歌なんて歌わない。群れるのはダサいけど、ユニティはある。全国のハードコアの現場。カッコいいバンドはたくさんいるし、いろんなライヴやイベントで協力し合っている。僕個人もずっとハードコアのシーンにいるわけではないのに、いつ戻ってきても受け止めてくれる温かさがある。そして、その全く同じ目線で世界にもつながっている。SANDは苦労を当然覚悟した上で、海外のハードコア最前線にも出ていく。そして海外のライヴでも日本と同じくらいガンガンカマす。媚びないし、文句だって言う。そして海外の仲間を日本に招聘して、一緒にライヴを回る。MAKOTOが前に言ってたけど、「最高に面白い音遊び」なのだ。ハードコアを通して、世界中の似たようなヤツらと仲間になれるし、音楽を共有できるし、何しろ、日本人だって海外でもカマせられる。他の音楽ジャンルに比べて、日本のバンドがちゃんと高い評価で認められているのも事実だ。SANDは身を持ってそれを形にしているから素晴らしい。

怖そうなイメージはもちろんあるだろうけれど、見た目だけで判断してはいけない。暴力は許さないし、ライヴ中に倒れても誰かが助けてくれる。基本は楽しむこと。みんなで楽しむこと。それをダサい言葉で表現したくないから、ハードな音楽を体で受け止める。目の前にガツンと迫って、魂をつかまれるような思いは、他の音楽ではあまり体験できないはずだ。生身の人間が面と向かって言ってくるような音楽。嘘のない音楽。だけど魂に響く音楽。そして、これは単なる音楽じゃない。ハードコアの良さはいろんなところにあるし、すでにいくつか書いた。言ってしまえば、カルチャー。

そして何よりも、これは究極のダンス・ミュージックだと思う。一番激しいダンスをフロアで展開しているのはハードコアだ。日本でもっとハードコアが広まればいいなとずっと思っている。だけど、日本にはSANDがいる。そしてこの新作は最高だ。

Review By Toshiya Ohno (FLJ)