-- 無理をしなくても楽に。
そうそう。「俺は俺らしくいればいいんだ」って開き直れた気がする。「盛り上がる曲を書こう」とか、「お客さんが喜ぶMCをしよう」って頭で考えたものは、まあ、ダメなのよ。その場で思いついたMCほど自分の本当に言いたいことが言えてるんだよね。曲も同じで、素直に出てきたものをやるのが一番レイザーズらしいなと思って。今までも好きな曲を書いてきたつもりなんだけど、今回はそれがより強くなってる気がする。
-- 今までの作品って、よくも悪くもケンジコの中で設定したコンセプトが強すぎたと思うんだよね。極端に歌モノに寄ってた時もあれば、オルタナティブ魂が爆発してた時もあったり。だけど今回はそういうものを一切感じなくて、作りたいものを素直に作ってる感じがした。
そうだね。ずっと一緒にやってきたメンバーが得意なことをやってもらった部分はある。今まではオルタナティブなものでも歌モノでも、メンバーに出来ないことがあると「チャレンジしようぜ!」ってケツを叩かなあかんかった部分もあんねんけど、そのためにはまず音楽性を理解してもらうところから始まるから大変じゃん? だから、今回はそういうストレスが無いようにしたところはある。
-- ケンジコのそういう狙いは全部音に現れてると思う。こういう作品になったのは、きっちゃん(KRASH)がPANGEA(大阪アメ村にあるライブハウス。2011年4月オープン)を始めたり、ストーミー(STORMY DUDES FESTA。レイザーズが2013年から始めたサーキットイベント。大阪アメ村にある複数のライブハウスで行われる)を始めたりしたことによって、バンドの土台がレイザーズ史上最も強固になってることも影響してるのかなって思ったんだけど。
影響がないってことは絶対ないよね。きっちゃんは今までレイザーズの一番後ろにいる隠れキャラみたいな存在だったけど、今ではライブハウスの店長として最前線でいろんなバンドと話をしてるっていう。そういうメンタルな部分で強さは出てきてるのかもね。
-- ストーミーを始めたこともバンドのモチベーションを保つのに一役買ったよね。
今回の作品はストーミーを3年やってきたことがものすごく反映されてる。あのイベントに誘ったバンドのエッセンスが曲の中にもちょこちょこあると思うのよ。Slight Slappersとか、Slangとか、Edge of Spiritとか、自分達が持ってない要素を持ったいろんなハードコアバンドの面白さや楽しさに負けちゃいらんねぇっていう感じを出せたと思う。あとはTHRASH ON LIFE(KENJI RAZORSの主宰レーベル)から出してるバンドの連中がありがたいことに俺のことを慕ってくれて、格好良い作品を出してくれて。そうなると「この子らに面白くないと思われるような作品は出されへんやないか!」と。そういういろんな思いをストーミーを始めた3年で整理できて、それによって新たな目標ができたし、バンドの血となり肉となった部分はあったかな。でも、こんなにストーミーが自分たちを助けてくれるとは思わなかったけどね。これがあるかないかで今回の作品は全く違ってたと思う。
KENJI RAZORS Interview Part.02 へ続く
Interview By 阿刀大志