Review 01 / フリーライター:奥村明裕
痛烈にして、目の覚めるような一撃だ。
PIZZA OF DEATH RECORDSが送る新たなる刺客、THE INRUN PUBLICS(インラン パブリックス)の1stアルバム『PUBLIC CORE』――この熱病に浮かされたようなビート・パンク集には、例えばThe RoostersやTHE BACILLUS BRAINS (THE 日本脳炎)、THE MICHELLE GUN ELEPHANTなどこの国のロック史に名を刻んだ偉大な先人に通ずる苛烈さがあり、また、Rocket from the CryptやThe Bronxなど海外の尖った連中ともシンクロする狂気とダイナミズムを感じさせる。未曾有の危機に見舞われてなお平和ボケと思考停止状態に陥っている世の中を覚醒するに余りある、まさに劇薬としてのロックンロール。無性に魂が熱くなる。
このTHE INRUN PUBLICS、結成は2003年というから、既に10年近いキャリアの持ち主で、地元・長野のアンダーグラウンド・シーンにおいては一目置かれる存在となっている。これまでにKen YokoyamaやBBQ CHICKENSとライブ共演を果たし、その縁で2011年末の「PIZZA OF DEATH暴年会」@新宿LOFTへ出演。そういった経緯から晴れてPIZZA OF DEATHからデビュー作をリリースすることとなった。これまでのレーベル・カラーとは少々異なれど、腹の決まった4人の“PUNK”なアティテュードが、PIZZA OF DEATHの連中にある種のシンパシーを呼び起こしたことは想像に難くない。実際、M②「踊るメディア」の、狂犬のようなギター・ストロークとビートは衝動性に満ちているし、ライブではフロアに壮絶なデッドヒートを生むM③「プレイステーション」の荒ぶる4つ打ちも鮮烈。無上にスリリングかつ無心に踊り狂えるロックンロール・ナンバーM⑩「ダンスオンリアシート」などは、このバンドの真骨頂だろう(個人的にはM⑤「enn」の、螺旋を描いて絶頂へと上り詰めるカタルシスに昇天!)。もう一点特筆すべきは、批評性とロマンチシズムに溢れた、極めてロックンロールな詞世界。<嘘で固めた答えなんて俺はいらない / 孤独 空腹 疎外感 睨まれて睨まれて>(M①「リアルワールドコンプレックス」)、<見えないモノはいらない 触れられる不安が欲しい 現実全て握られて 脳味噌インチキマスターベーション 平気な顔してんな 近未来はグダグダ>(M⑧「JET LOVE DOLL」)といった具合に、ストリートと若者のリアルを描くコトバたちは文学的とも言えるほどで、多くのリスナーの共感を呼ぶに違いない。
いささか近寄りがたい強面ルックスの4人だが、騙されたと思ってその胸ぐらに飛び込んでみてほしい。くすぶった鬱憤と引き換えに、煮え滾るような
奥村明裕 推し曲 M⑤「enn」