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THE INRUN PUBLICS コウキョウノカク TOUR

  • 1/5(sat)長野CLUB JUNK BOX
    "THE INRUNPUBLICS presents 新春フラストレーションGIG"
  • 1/6(sun)新潟 WOODY
  • 1/12(sat)初台 WALL
  • 1/13(sun)和歌山 GATE
  • 1/14(mon)心斎橋 火影
  • 1/20(sun)浜松 G-SIDE
  • 1/27(sun)福井 VELVET
  • 2/3(sun)仙台 BIRD LAND
  • 2/9(sat)四日市 VORTEX
  • 2/10(sun)名古屋 Tiny7
  • 2/11(mon)神戸 BLUEPORT
  • 2/16(sat)北浦和 KYARA
  • 2/17(sun)中野 MOON STEP
  • - Final -
    2/24(sun)横須賀かぼちゃ屋
    "THE INRUN PUBLICS presents 絶倫フラストレーションGIG vol.23"

各ライブ詳細はこちら »


review

Review 04 / MUSICA編集長:有泉 智子

THE INRUN PUBLICSのインランって、淫乱だと思うでしょ? アルバム冒頭で歌ってる通り実際そうなんだろうけど、でもこの言葉自体にはもうひとつ意味がある。スキーのシャンプ台の、あの長ーい助走路のことをINRUNって言うのだ(本人達が知ってるかどうかはわかんないけど)。ギャグみたいな急坂を狂気の沙汰みたいなスピードで突っ込んで、足にくっ付けた2枚の細長い板だけでイカロスの時代から人類の夢であり続ける「空を飛びたい」ってヤツを叶えちゃう、アレ。誰もが「空なんて飛べるわけねーじゃん」ってわかってるのに、少しでも長く、少しでも遠くまで飛ぶために大の大人が必死になって「板をもう少し細く」とか「もう少し体を傾けて」とか考えて、しかもオリンピックの花形にまでなってるあのくだらない競技が大好きなんだけど、このTHE INRUN PUBLICSの音楽は、まさにアレみたいだなと思う。

「孤独 空腹 疎外感」で窒息しそうなリアルワールドから飛び出すために、ロックンロールをひたすら加速させる。「空なんて飛べねーよ、何も変わらねーよ」と諦め顔して淡々と日々を消費する奴らを横目に、その目を爛々とギラつかせながらバカみたいな猛スピードで突っ込む。で、挙げ句に実際に飛んじまう。それは一瞬かもしれないし、着地も失敗して地面に転がるかもしれない。でも、曲がクライマックスを迎えるその瞬間、確かにTHE INRUN PUBLICSは空を飛ぶ。誰よりも高く、誰よりも勢いよく、誰よりも堂々と、くだらない世界を飛び越える。私達がロックンロールなんていう腹の足しにもならないものを焦がれるほど求めるのは、こういうバンドがいるからだ。

一聴した瞬間に全身の血液が沸騰するような、衝動をエッジに変えて爆走するストレートなビートパンク/ガレージロックだが、実は虎視眈々と磨き抜かれたモノであることが楽曲の随所から伝わってくる。メロディにしてもリフにしてもリズムにしても、粗野なようでいてひとつひとつがめちゃくちゃ洗練されているし、マシンガンのようにガナり立てる歌も、直接的かつ大胆な物言いでありながらその裏に繊細な詩情を感じさせる、文学性の高い秀逸なリリックが並ぶ。タガが外れたような獰猛な衝動性を振り回しながらも、頭の芯の部分は常に覚醒し、鋭く冴えている。つまり、一番ヤバいタイプ。

結成9年目にして初のフルアルバム? アンダーグラウンド・シーンでカルト的な人気? いやいや、アルバムのクオリティとバイオグラフィが全然合ってないんですけど。歴史を引っくり返すなんて大層なことは言えないけど、でも間違いなく君の世界は引っくり返す。引っくり返ったその先に広がる景色を、観に行こう。

推し曲 M⑪「お前の部屋」
MUSICA編集長 有泉 智子


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