このサイトはJavaScriptがオンになっていないと正常に表示されません

『横山健の別に危なくないコラム』

Vol.100

「Ken Yokoyama VS NAMBA69」

表題の通り「Ken Yokoyama VS NAMBA69」という音源を、6月6日にピザオブデスよりリリースする。

ぜひ聴いてもらいたい。

両バンドとも3曲ずつ(うちカバーソングを1曲ずつ)持ち寄り、合計6曲の合同音源。こういう特定の2バンドによる合同音源を「スプリット」と呼んだりする(バンド数が多くなると「オムニバス」と呼ぶ)。

オレ達は考えて、気持ちを持って、想いを持ってこの音源をリリースする。受け取る皆さんにもいろいろな考え、想い、きっとあると思う。中には思わず構えてしまう方もいるだろう。

でも一度聴いてみて欲しい。

特に昔からのファンの方々には、これにたどり着くまでの「ハイスタンダード」というバンドの存在、特にその「歩んできた山と谷」を無視して捉えることはできないであろう。

でも一度聴いてみて欲しい。

山と谷を越えて、オレ達がいまどこにいるか、どんなことを考えているか、どういった仲なのか、ハイスタンダードの将来も含め見えるはずだ。見えないとしても、散りばめられているヒントはきっとみつけられるはずだ。

無粋ではあるが、Ken Band の3曲を紹介したい。

1曲目は「Support Your Local」。前回のコラムに書いたような気持ちを込めた。「We Are Fuckin’ One」と並んで、オレの心のスローガンになりそうだ。

2曲目は Hanoi Rocks のカバー、「Malibu Beach Nightmare」。曲が猛烈にカッコいいので、そのまんま「コピー」した。それでも Ken Band の色は出ていると思う。

3曲目、おそらく今回一番の異色であり、目玉の曲「Come On, Let’s Do The Pogo」。直訳すると「ポゴしようぜ」ということになる。ポゴというのは70年代にイギリスでパンクロックが鳴り始めた頃、その登場とともに発生した踊り方だ。ピョンピョン跳ねるというかピクピク痙攣するというか、そんな踊りとも呼べないような踊り方だ。きっと正しいやり方なんかないのだ。

その「ポゴ」を曲のテーマに取り上げたことが、実は肝だったりする。いまやライブハウスでもポゴダンスをする人など誰もいない。しかしポゴして欲しくてテーマとして取り上げたのではない。ポゴという「誰もしなくなった踊り方」をテーマに取り上げることを通じて、「踊りなんて好きにやりゃいいんだよ」と伝えたかった。
  近年ライブやフェスの場で「この曲ではこういう踊りや動き」「こういう振り付け」という場面を目にすることが多くなった。微笑ましく思うこともある。みんなが同じ動きをしているシーンは、壮観の一言に尽きるほど素晴らしいものに見える時もある。

ただそれが自然発生的ではなく、「ここではこうしなきゃいけないんだ」という強迫観念になってしまうと、どうしようもなくつまらないものになっていく。「そんな楽しみ方すんなら、別にロックじゃなくていいじゃん」ということになる。他人様はどうか知らん。それで楽しんでいる人もいるだろう。でもオレは「それしたいなら別にロックじゃなくていいじゃん」と思う。

ロックを浴びるなら、好きにやってもらいたいのだ。突然変な踊りや動きをし始めたくなったらもちろんそうして欲しい。体が動かないのならもちろんそうしてて欲しい。周りの顔色なんか伺う必要ないのだ。

この曲の曲調はスカ、オレは気持ちの中ではソウルシンガー、ポゴという言葉は70年代のパンクシーンのもの、やってるオレ達もいろんなものを混ぜているので、みんなにもいろんなものを混ぜて、思うがままに、感じるがままに、好きに楽しんでもらいたい。そういう気持ちを込めた。

 

 

オレが NAMBA69 の曲を解説するわけにはいかないが、彼らの曲達は素晴らしい出来だと思う。めちゃめちゃ「今のNAMBA69」らしい曲をブチ込んできてくれた。

今の NAMBA69……NAMBA69 が今のラインナップになってからまだ日は浅いが、長い長い時間をかけてナンちゃんを中心にここまできている。その足取りと「今、この瞬間」が音に閉じ込められているような気がする。その両方が「今の NAMBA69」なのだと、オレは感じた。

ツアーも発表された。6箇所7公演。とても楽しみだ。

音源のタイトルが「Ken Yokoyama VS NAMBA69」だからそれなりの解釈があると思う。「これはバチバチの対決なんだ!」と思われることも多かろう。

ただ、音源にもツアータイトルにもこのタイトルをつけた理由は一点のみ「わかりやすいから」であって、オレ個人的には対決のつもりはない。ゼロかというとそんなわけない、そんなにガッツがないわけはないけど、別に「これはモロに対決なんです!」という気持ちでは全くない。どう受け止めてもらっても構わないし、他のメンバー、NAMBA69 含めてオレ以外のみんなはどう考えてるかは知らないが、オレはそんな気持ちじゃないですとだけ吐露しておく。

ライブは NAMBA69 先攻、Ken Band 後攻でやるが、東京は2日間あるので、東京初日は順番を逆にしようと思う。このツアー、順番は先と後あるが、それはバンドの優劣を表すものではなく、あくまでも便宜上のものだと考えたい。オレ企画だし、Ken Band の方がバンドとしての活動キャリアが長くて持ち曲も多いから後攻でやろっか、くらいのもんだ。

オレは五分五分のつもりでやる。

さて、おそらく皆さん、これを一番聞きたいのであろう……どういった経緯で今回のスプリット音源が実現したかを話そう。

2017年の Hi-Standard のツアー前からすでに、オレは Ken Band の2018年のことを考えていた。あれだけしっかりしたツアーをハイスタでするのだから、Ken Band の次の動きは「Ken Band の存在意義」をしっかりと示すものにしたいと感じていたようだ。

皆さんに「ハイスタやるんだったらハイスタだけでいいじゃないですか?」と思われたくない。自分もそうは思いたくない。それに見合うことをしなければならない、ということだ。

しかし……なんとなく、普通に曲作りして次のアルバムに向かっていくのはイヤだった。理由はない。なんとなくイヤだった。なにか違うことをしたかった。

なにをすれば刺激的か、皆さんにとっても、なによりも自分自身にとって刺激的か……よく自分に聞いてみた。ハイスタのツアー前にそれを見出そうとするのはフライングであり……いや、フライングではない。オレはそういう人間なんだ。しかし間違いなく気忙しいことであり、プレッシャーでもあった。

めちゃめちゃ考えた。己がやっているハイスタのプレッシャーに押しつぶされそうになりながら、つまりテメェでテメェの首を絞めながら、めちゃめちゃ考えた。

「プレッシャーを感じているのはオレだけではないはず。ハイスタの3人ともそうだ。ツアーを終えて、ハイスタを離れたら次に何をするか……すごく大事だと思うけど、そんなのオレの考えすぎかなぁ?でも漫然とやると漫然とした手応えしか得られない状況で……それは3人とも同じはず。同じはずではあるが……そんな考え方するのはオレだけ?ナンちゃんもツネちゃんもなにか具体的に予定あんのかな?それともツアーに集中しててそんなこと考えてないだろうか?……ナンちゃん!?NAMBA69 はなにすんのかなぁ!?」

こんな思考だったはずだ。こうして NAMBA69 とのスプリットを考えついた。

なんとなく次の単独アルバムに向かうのがイヤだったから、どこかのバンドとスプリットをしたかったわけではない。NAMBA69 と一緒にやることに意義を見出したのだ。

ハイスタはせっかく新しいアルバムを作ったのだからツアーが終わってもまた動く。動きは遅いがもう畳むことはない。しかしそのたびにハイスタに話題を持って行かれる……自分でやっているのにそういう感覚になるのもおかしな話だが、実はそれが正直なオレの感覚だ。ハイスタの自分としては嬉しいことだが、Ken Band の自分としては悔しい。普通はそんな感覚と闘おうとはしないと思うが、オレは闘いたい。男の子ですから。

それならば、「ハイスタだけじゃないよ、Ken Band も NAMBA69 も良いバンドだから聴いてみてよ」って行動するのがおもしろいと思ったのだ。こんな時期だからこそ逆に、ナンちゃんと一緒くたになって活動するのがおもしろいと考えたのだ。

なのでどこのバンドとスプリットをやっても大した刺激にはならない、NAMBA69 とだから刺激的なのだ。やる意味が出てくるのだ。

リスナーの皆さんの音楽的な趣味はこちら側ではどうすることもできないが、ただ活動面や立ち位置に於いて「オレ達は分断されていないよ」と証明する絶好の場になるとも考えた。

こうしてまたハイスタとして一緒に活動できるようになって、オレとナンちゃんは休止以前よりもしっかりと「お互いが大事な人なんだ」という認識を持った強固な関係になった。

現状では……誤解を恐れずに言うと、Ken Band は NAMBA69 より音源も売れてるしライブの動員もある。そこで Ken Band のお客さんに NAMBA69 も聴いて、観てもらいたくなったのだ。 そしたら必ず彼らを好きになってくれる人はいるはずだ。しかし、もちろん逆も然り。NAMBA69 のお客さんに Ken Band を聴いて、観てもらいたい。そしてできれば、趣味が合う方がいたら好きになってもらいたい。

ツアーだけじゃダメなのだ。音源を作るという行為は時間と手間を要する。しかし CD だろうと mp3 だろうと、世の中に残っていく。そこから得られるものは、時間と手間をかけてこその対価なのだ。

考えれば考えるほど良いことばかりじゃないか。

一緒くたに活動すれば個々のバンドの色もハッキリ出るし存在感もアピールできる。ハイスタがツアーやレコーディングをしていたら、これはさすがにやりたくてもできない。この時期がチャンスだ。

そしてこれをすることで、「一度壊れた仲がこんな素敵な形にもなり得るんだよ!」って表せる。「こんなことって起こるんだぜ!?」って明言できる。ハイスタだけで繋がってるわけではないと証明できる。

そしてお互いのお客さんにお互いのパフォーマンスをじっくり観てもらえて両方好きになってもらえたら……考えれば考えるほど良いことばかりじゃないか。

ナンちゃんに話すと快諾してくれた。ナンちゃんはもちろんのこと、他の3人のメンバーに対して、「NAMBA69」というバンドに対して、この話を受けてくれたことに感謝の気持ちを表したい。実は彼らはもう予定を決めていたらしいが、それをずらして今回のオレの呼びかけに応えてくれた。心から敬意を払う。

ナンちゃんはこれをチャンスと捉えてくれてるっぽい。オレは刺激が欲しかった。そういう面でもタイミングが良かったのだが……結局考えれば考えるほど良いことばかりじゃないか。

発想自体もおもしろかったが、出来上がった作品を聴いてこれがまた最高におもしろい。

Ken Band はオールドスクールでロック的なアプローチに思えるし、NAMBA69 はKen Band が持ってないようなナウさを感じる。そういった音像の対比に留まらず、バンドが持つ世界観、つまりバンドがどこを向いているか。そういった「透けて見えてくるアティチュードの違い」もおもしろい。ナンちゃんがハイスタでの時と少し歌い方が違うのも実におもしろい。つまり、なにからなにまで実におもしろい。

繰り返すが、それらは当たり前のことなのだが、それが今作を成立させるにあたりハイスタという大きなファクターを無視できないので、実におもしろい。「なんでこの2バンドのメンバーが合わさってハイスタをやるとああなるんだろう?」って、オレは個人的に思う。当たり前なことなんだけど、それがおもしろい。2バンド合わせてメンバーは8人。オレとナンちゃん以外に6つの個性があるわけだから当たり前のことなのだが、しかもツネちゃんはいないのだから当然なのだが、実におもしろい。

「やって良かったなぁ」と我ながら思えるほど、おもしろい。

別の視点で見ても……これが実現したことは画期的なことだと思う。大きなバンドのメンバーのそれぞれの活動で、スプリット音源を作り上げてリリースする、そしてツアーを行う。いままでこんな動きをした人達の話など聞いたことない。オレが知らないだけかもしれないが、聞いたことがない。

「◯◯というバンドの誰さんと誰さんがスプリットを出したら…….」とか「◯◯の誰と誰がそれぞれのバンドで一緒にツアーしたら……」

意外とありそうでない話が実現したのである。

皆さん、やる必要がないからやらないんであろう。

確かに必要はないのだろうが……そこをやるのがオレがオレたる所以なのだ。

この動きを通じて一番伝わったらいいなと思うことをライトに書いておく。

「良いバンドが1つだけじゃなくて3つに増えるんだから、これって楽しくないですか?」

最後に、もちろんこれはツネちゃんにも「オレ、ナンちゃんとこういうことしたいんだ」って全て話してある。ツネちゃんは「素敵じゃん!」って背中を押してくれた。

そう言ってくれたツネちゃんにも感謝したい。

 

「ザ・クロマニヨンズ × The Birthday × Ken Yokoyama」

この3バンドによる「アオッサの乱 特別編」ツアーも発表された。

ライブの詳細は(https://www.pizzaofdeath.com)で確認してもらいたい。3公演あるのだが、出演順も3公演持ち回りで毎日変わるので、そのあたりも確認してもらいたい。

うわぁ……これはどんな光景なんだろう、どんなことになってしまうんだろう……想像するだけで心拍数があがる。

説明しておきたいのが、この「乱シリーズ」というライブ。

北陸地方を中心に活動する「キョードー北陸」というイベンターさんがある。そこの廣瀬という人が苦労しながらやっているシリーズギグなのだ。

「アオッサ」というのは福井駅に隣接している商業/地域施設ビルの名称で、「アオッサの中に入ってる県民ホールを使って、5月5日のこどもの日に、大きなバンドの対バンライブを年1回開催する」のが「アオッサの乱」だ。

始まったのは2014年。廣瀬から最初にオファーを受けた Ken Band はイベントの趣旨を説明された後で「対バンがどこだったらやりたいとかって、そういうのあります?」って聞かれたので「クロマニヨンズが出てくれるんならやる!」と返事をした。……まぁ無理っしょと思っていたら、なんとクロマニヨンズが対バンを受けてくれた。やることになったのだ!

そして「アオッサの乱」初回は「ザ・クロマニヨンズ VS Ken Yokoyama」で2014年5月5日に開催された。

この時のライブの様子は以前当コラムにも書いたことがあるので今回は割愛するが、素晴らしい時間だった。オレがヒロトさん&マーシーさんに特別な憧れがあるから素晴らしく感じるのは当然といえば当然なのだが……理由はそれだけではなかった。

東京、大阪、名古屋といったいわゆる「大都市」ではない土地で特別なことをやる醍醐味も感じたし、お客さんも温かかった上に興奮度合いも凄まじかった。つまりオレは直感的に「この乱シリーズにはなにかある!」と感じたのだ。

その一日、廣瀬に「来年もやるっしょ?これ続けたほうがいいよ!」と何度言ったかわからない。廣瀬はテンパってたのか、オレが言うことをイマイチ理解しきれなかったのかはわからないが、終始苦笑いしていた。

翌2015年、同じく5月5日のアオッサにて2回目が開催され、それに The Birthday が出演した。オレは「よしよし、こうやって続いていけばいいんずらよ……」って思ってた。客観的に見て、名物シリーズギグになれる可能性を感じた。

ところが翌2016年は開催されなかった。廣瀬とは日本中のあちこちで会うので、会うたびに「なんでやんなかったのー!続けたほうがいいっしょー!」とクレームを入れた。

廣瀬は苦笑いしながら「ブッキングの難しさ」を挙げた。

横山「なんで?いいバンドいっぱいいるじゃん?」

廣瀬「それがみんな春フェスで埋まってて……」

そうなのだ、ここ数年で大規模化してきた「春フェス」にバンドが出るので、わざわざ福井に春フェスを蹴ってまで来るバンドがいなかったのだそうだ。うーん、なんとも難しいというか、嘆かわしい事態である。

今後春フェスは加速していくだろうから、この事態は今後も続くと考えられ、ともするとこのまま終わってしまうことも予想される。

部外者であるオレは思いついた。そしてこう進言した。

「日にち変えればいいじゃん?」

廣瀬としては5月5日にやることに意味を持たせてやっていきたかったようだが、肝心のその日のバンドのブッキングができないのなら、そこにこだわりを持っていても何も進まない。

廣瀬は「えー!?www」みたいな感じだったが、オレはこう続けて説得した。

「せっかく『乱シリーズ』っていう名前があるわけでさ、あれにはインパクトもあるし、続けていけば絶対に名シリーズ化していくはずでさ。だからぶっちゃけ、日にちも場所もこだわらずに、名前だけ大切にして続ければいいんだよ!」

……我ながら廣瀬のこだわりをぶち壊す提案だなとは思いつつ、部外者なんてそんなもんだ。しかしオレは愛のある部外者であり、出演バンドとしては当事者でもある。提案するのはオレの自由、受け止めるも流すも廣瀬の自由。

しかしその場で「じゃあ来年時期をずらしてオレとやろう!対バンは The Birthday !!」もうほぼ勝手に決めてしまった。

そして2017年は8月にアオッサ公演と、さらに新潟公演まで実現してしまった。「The Birthday VS Ken Yokoyama」2デイズ。「2017.8.28 新潟ロッツの乱」と「2017.8.30 福井アオッサの乱 夏の変」だ。

いやー、素晴らしかった。楽しかった。大好きな The Birthday と2デイズもできて、しっかり「乱シリーズ」という流れの中でこれをできたことが嬉しかった。

やればできるじゃないかー、廣瀬!w

2日目のアオッサの乱が終わった後、 The Birthday チバくんと喫煙所で話してた。

横山「いやー、最高だったね」

チバ「楽しかったね」

横山「次、どうしよっか?どこで一緒にやる?」

チバ「どこでもいいよ。健、考えてよ」

オレは即座にアイデアを思いついた。

横山「……チバくんさぁ、クロマニヨンズとはライブしたりすんの?」

チバ「フェスとかで一緒になるくらいで、そりゃ挨拶くらいはするけど、案外絡みはないんだよね」

横山「そうなんだ(キラーーーーーン!www)」

決定した。

横山「じゃあ来年の乱は3バンドでやろうよ!」

チバ「へ!?」

横山「クロマニヨンズの都合があるからわかんないけど……当たってみようよ!まぁここは健に任せて(キリッ!)」

喫煙所を出たところに廣瀬がいたのでそのアイデアをそのまんままくし立てた。廣瀬は「まぁちょっと落ち着いてください!(汗)」な感じだったけど構わずまくし立てた。

「次の乱はクロマニヨンズ呼んでくれ!そんで The Birthday とうちの3バンドでやりたいよ!もしできるんだったらもったいないから3デイズやろう!そんでトリは各公演持ち回りにすんのよ!やるよ!」

チバくんはすっかり酔っ払って上機嫌になって「健!次考えろー!次ー!」と言って帰って行った。

それからしばらく時間はかかったが、クロマニヨンズからも参加の意向が届き、なんと実現してしまうわけだ。

廣瀬、めちゃめちゃ情熱を持って、実現に向けて動いてくれた。グッジョブにも程がある!

ここで冒頭に戻るわけだが……このツアーが行われる時のことを考えるとドキドキと心拍数があがる。なんならやってしまったら終わってしまうから、その日が来て欲しくないくらいだ。いや、来て欲しいが。

これも繰り返しになるが、オレ個人的にこのツアーの良いところは「大都市でやらないところ」だと思う。今回ライブが行われる3箇所は、新潟県西川、富山県小矢部、長野県松本。東京、名古屋、大阪とかではないところが良い。あくまでも結果的にこうなったってだけだが、それが良いと思う。

なぜそうなったかというと、言わずもがな、「キョードー北陸」が手がけているからだ。キョードー北陸が、廣瀬が一生懸命やってて、そこに出演させてもらったオレは気持ちの良いライブが出来て、話をしているうちにインスピレーションを得て、ぶつけたら応えてくれたからだ。

他の地域にも、ものすごく良い仕事をしてくれる、一緒に仕事して気持ちの良い人たち、イベンターさんはいっぱいいる。いっぱいではないか……数社あって、数人いる。そういった人達も独自のおもしろいアイデアを情熱を持って持ち込んだりしてくれたことは何度もあった。だがタイミングというものもあって、実現しなかったりした。単独公演ならまだしも、バンドの組み合わせの妙を求めるなら、各方面のタイミングが合わなければいけない。それが今回は結実したという話なのだが。

しかしこのツアーは間違いなく盛り上がると思う。誰が盛り上がらなくてもオレが盛り上がる。

密かに大事件だと思う。誰がそう思わなくても、オレにとっては大事件だ。

 


「またこんな楽しそうな顔になっちゃうのかなぁー Photo By 石井麻木」

 

こうなってつくづく思うのは、「街は人」なのだ。北陸を中心に仕事している「キョードー北陸」の廣瀬という男がいて、彼が「なんとかしたい!」「なんとか北陸を盛り上げたい!」って思ったのだろう。

オレ個人的には、別に北陸に観光に行くわけじゃないし、名産物を食べに行くわけでもない(ソースカツ丼は好き)。廣瀬が北陸の人間だから行くのだ。

「街は人」なのだ。

話はこのツアーから逸れるが、5月に Ken Band は鹿児島の「WALK INN FES! 2018」に出演する。4年前に始まったこのフェス、オレ達は第1回目に参加した。その時にオレは「日本一小さなフェス」と形容した。だってフェスなのに1000人程度しか集まらなかったのだ。そして、その日の雰囲気、ステージ上から眺めた風景は最高だった。素晴らしかった。

このフェスは鹿児島で「WALK INN STUDIO」を経営するタイチという男が中心になって、それから毎年開催されている。タイチとはずいぶん古い付き合いで、すごく話のできる情熱のある男だ。東京に住んで仕事していたが、数年前に地元鹿児島に帰り「WALK INN STUDIO」をオープンした。彼は戻って鹿児島をなんとかしようともがいて、いまも絶賛もがき中である。オレはその姿を見てきている。

そんな彼が5回目の節目に、と Ken Band を呼んでくれた。「なんで毎年呼んでくんないんだよ」というと、「毎年健さんに声をかけるのは違うと思う。頼ってしまうのはイヤだ」というのだ。しかし今年は「5回目を迎えて、どう変わったか見て欲しい」と呼んでくれた。そりゃー行く。

別に鹿児島を観光したいわけじゃないし、名産物を食べに行くわけでもない(鹿児島の女の人はキレイで好き)。タイチが想いを持って呼んでくれたから、世話になりに行くのだ。

「街は人」なのだ。

「うーん……」

なんだか話が逸れたまま終わってしまったが、伝わっていることを願います。

今回のコラム、どうシメに持って行こうかな……。

……閃いた!この閃きが伊達に100回コラムを続けてない実力ずらぁ!

じゃあその実力をフルに発揮したシメ方を、節目の100回目のシメとさせていただきますね。

つまりね……Ken Band も NAMBA69 も The Birthday も ザ・クロマニヨンズも……北陸も、鹿児島も……全部「Support Your Local」ってことでいいんじゃないですかね(以下危険なので割愛)

 


「これも Support Your Local の一つの形 Photo by Teppei Kishida」

 


「これも Support Your Local」

 

2018.04.27

  • 感想文
  • バックナンバー