DISC 1Goodbye My Roots
- Intermission #1
- Stray God
- SUNBURST
- Velvet Poison Pie
- Syntax
- What’s the Move
- Intermission #2
- Prince “Skyline” S54B
- Windows ’98
- Lost in Tokyo
- Floating Cow Farm
- BORDERLESS
- Intermission #3
- Pocketful Songs
DISC 2Goodbye My Roots (Instrumental)
- Intermission #1
(Instrumental) - Stray God
(Instrumental) - SUNBURST
(Instrumental) - Velvet Poison Pie
(Instrumental) - Syntax
(Instrumental) - What’s the Move
(Instrumental) - Intermission #2
(Instrumental) - Prince “Skyline” S54B
(Instrumental) - Windows ’98
(Instrumental) - Lost in Tokyo
(Instrumental) - Floating Cow Farm
(Instrumental) - BORDERLESS
(Instrumental) - Intermission #3
(Instrumental) - Pocketful Songs
(Instrumental)

熊本 B.9 V2
福岡 DRUM SON
札幌 KLUB COUNTER ACTION
新潟 GOLDEN PIGS RED
松本 ALECX
埼玉 HEAVEN'S ROCK Utsunomiya VJ-2
仙台 LIVE HOUSE enn 2nd
松山 W studio RED
広島 SECOND CRUTCH
FINAL SERIES
梅田 Shangri-La
新栄 Shangri-La
東京 キネマ倶楽部
TICKET
オールスタンディング
(税込・入場時別途ドリンク代・整理番号付き)4,500yen
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(税込・入場時別途ドリンク代・整理番号付き)2,800yen
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■ 全公演共通
- ※お一人様2枚まで ※6歳以上有料
- ※チケットは全て電子チケットとなります。
Interview Vol.01
―― 『Goodbye My Roots』、めちゃくちゃいいアルバムじゃないですか!
サワダ おお、やった!
ワシヤマ ありがとうございます!
―― シングル『SUNBURST』で見せた新たな側面が、ここまで大々的にフィーチャーされるのかと。裏をかかれた気分で、聴き終えたときは爽快でした。
ワシヤマ そう言ってもらえるとホッとしますね。
―― アルバムの話題に入る前に、同作を携えた5月のツアー『SUNBURST TOUR』についても聞いておきたくて。シングルに収録された2曲もここで披露されたかと思いますが、リアクション含めてお客さんの雰囲気っていかがでしたか?
ワシヤマ この2曲を引っ提げてやっていくという、僕らの意図は伝わったんじゃないかなと思っていて。このシングルを聴いた周りのミュージシャン仲間からも「『SUNBURST』、いいね! 刺さったよ!」って声が返ってきたので、ひとまずホッとしています。
フクダ 「ストラトキャスター・シーサイド」同様、ベースのスラップから始まるじゃないですか。なので、ライブにおけるお客さんの巻き込み方は共通しているものがあるなと思っていて。そういう意味では、いい感じで受け入れてもらえているのかなって印象ですね。
―― そういういい流れを経て、7月8日にリリースされる2ndフルアルバム『Goodbye My Roots』ですが、まずそのタイトルにドキッとされられます。
ワシヤマ ですよね(笑)。でも、まさにそういうテーマを持って制作に臨んだ1枚で。今までの曲もそうだし、演奏スタイルもそうだし、そういったものを全部吐き出してお別れするみたいな、そんなノリでアルバムタイトルに付けてみたいんです。
―― 曲作りの段階で、そのテーマはあった?
ワシヤマ 去年の夏頃、それこそ「SUNBURST」ができたぐらいにはそういうニュアンスのテーマが出てきて。なので、アルバムタイトルがほぼ決まった状態で、制作を進めていった感じです。
―― アルバムにはこれまでとは毛色の異なる楽曲も多いですが、そのへんも『Goodbye My Roots』というアルバムタイトルやテーマを意識して作ったところもあったのでしょうか。
ワシヤマ そうですね。自分らのルーツとしてあるものの、今まで出してこなかった部分……デカいところで言うとレッチリとか、そういうニュアンスが伝わったらいいなと思いながら作りました。
―― ほかの皆さんは『Goodbye My Roots』というタイトルやテーマを聞いたとき、最初はどう思いました?
フクダ すごくいいなと思って。というのは、ドラムが今の建ちゃんに替わって、いい感じに過渡期を終えようとしているこのタイミングに、今までのスタイルだったり積み重ねてきたものを一旦「手放す」ような、新たな章に行くぞという決意がタイトルからも感じ取れじゃないですか。あと、ワシヤマが30歳になったのも大きいと思うんですよ。いい感じに20代とお別れするみたいな……そういうのもあって、うってつけのタイトルだと思います。
サワダ 「手放す」ために必要な、それぞれが持っているルールが散りばめられているというコンセプトもあるので、そこは音源を聴いてもらえればたぶん感じ取ってもらえるんじゃないかな。結構わかりやすい仕掛けもいろいろあるので、ニヤッとしてもらえる回数も多いんじゃないかと思いますよ。
吉村 個人的な話をすると、アルバムの制作に入る前に自分がもっとも影響を受けたディアンジェロというアーティストが亡くなって。そういうレジェンドたちがどんどんこの世界からいなくなることに対して、僕的には彼らから受け取ったものを先に繋いでいく気持ちも強かったので、アルバムのテーマはそこともリンクしましたね。
―― このタイトルって「過去を捨てる」というネガティブな解釈もできると思うんですが、そこに対する懸念はありませんでしたか?
ワシヤマ むしろ、そう解釈してもらうことを望んでいたところもありました。建ちゃんが言ってるようなレジェンドアーティストって……それこそレッチリもそうですけど、年齢的にはもうおじいちゃんじゃないですか。そういう人たちがやってきた音楽もちゃんと継承できてるぜっていうことを提示したい思いもあった。と同時に、バンドとしてはどんどん新しいことにもトライして前進していきたい。だから、ポジティブにもネガティブにも受け取れるちょっと過激なこのタイトルを通して、みんながいろんな目線で聴いてくれたら嬉しいなというのが一番大きいですね。
―― ここまでストレートに言い切ってしまうことが、次のフェーズに進む上では必要な荒療治なのかもしれないと。
ワシヤマ まあそうですね。別に既存曲をやらないと言っているわけではないですし、僕たちはこういうマインドでアルバム制作に臨んだというだけのことです。
―― アルバムを聴いてもこれまで積み重ねてきた経験とか各々のルーツは絶対下地にあることは伝わるし、そもそも簡単に消し去ることはできるようなものではない。その下地があって、さらに新しいものを摂取していくとこうなるんだぞという、その現在進行形の姿がすごくわかりやすい形で見えるのが、今回のアルバムなのかなと思って。
ワシヤマ まさにその通りですね。
サワダ めっちゃいい形にまとめていただいた(笑)。
―― ここ数年にリリースされた過渡期の音源も聴いてきたからこそ、それがよりわかりやすく伝わるんですよ。
ワシヤマ うんうん。これまで取り組んでいたことが、ようやくこのアルバムで実り始めたみたいなことなのかな。というのも、このアルバムでやっていることが過渡期の頃から頭の中には正解としてあって。でも、それを具現化させるための技術も実力も、当時の自分たちにはなかった。正解にたどり着くためにはどんどん曲を作って、理想とするイメージに近づくために実力をつけなくちゃいけなかった。その一方で、作品のリリースは求められるので、完成していた過渡期の楽曲を世に出さざるを得なかったわけです。そういう取り組みがあったから、今この『Goodbye My Roots』があるので、このアルバムで初めてサスフォーに触れる人には、ぜひここに至る過程に当たる過渡期の作品も聴いてほしいですね。
―― このアルバムで表現したことが青写真としてずっと脳内に存在していたから、それを具現化させるための奮闘した数年間だったと。
ワシヤマ そうですね。そういう前提があって、実はかなりデカいことに取り組んできたことをこの場を借りて伝えたかったし、読んでくれた人への問いかけとして残したくて。そのへんは、建ちゃんが詳しく説明してくれると思うので(笑)。
吉村 えっ、俺なの?(笑)
ワシヤマ よろしくお願いします(笑)。
吉村 そうだなあ……めっちゃデカいことを言っちゃいますけど、僕は『Goodbye My Roots』とともに今の音楽シーンを次の時代に進めていきたいと思っていて。そのためには、自分たちの上にいる先輩たちに「その座ってる場所、空けてもらっていいっすか?」と蹴飛ばすぐらいの勢いで引導を渡したい。むしろ、僕らの世代はそれくらいのことをやらなくちゃいけないと思っていて。世界に出て行って、音楽的にもオリジナルな形で成功できた日本人って僕は坂本九ぐらいしか知らないし、それに続く存在ってこの50年前後でまだ出てきていないと思うんです。もちろん、今現在も世界に出て戦っている人たちもいるし、その中でちょっと苦戦することも多いんじゃないかと思うんですけど、そういう人たちとも自分たちが繋がって、みんなで外に出て行けたらいいっていう思いがあって。その思いが音楽を通じて届いてくれたら一番いいなと考えながら自分的にはやってきたんですけど、ワシヤマに関しては最初に演奏した時点からそこが通じ合えていたんです。
―― なるほど。
吉村 ちょっと話が前後しますけど、そもそも自分がサスフォーに加入しようと思ったきかっけも、その話と繋がっていて。僕は自分が音楽で表現したい世界観が、東京で音楽しているときはなかなか形にできなかったんです。で、あまりにできなさすぎて、不貞腐れちゃったんですよ。なので、そういう自分の胸の内側を正直に話して、それでも俺とやりたいって人がいたら一緒に音楽をしようと決めて。その直後にワシヤマと出会ったんですけど、音楽的な話をするよりも先に一緒にセッションしたら、「こいつ、話が通じる奴だ」と感じて、改めて自分が音楽で表現したいことについて話したら「それ、俺もずっとやりたいと思っていたことだから、だったら一緒にやろう」って話になったわけです。でも、サワダさんとむうさんにとっては、たぶん最初は「何言ってんの?」っていう感じだったと思うんです。だって、あまりにも抽象的な話だから。
サワダ マジで「黒船が来た!」って感じだったもん(笑)。
フクダ 「こういうことなのかな?」っていうのはうっすら感じ取ってはいたけど、自分の中では「これだ!」というものが見つけられない状態でしたね。
吉村 それを僕とワシヤマは演奏の中で表現することができるけど、4人で共有しながら演奏することは難しかった。自分ひとりでうまいことやっていてもしょうがないじゃないですか。やっぱり僕はみんなで面白いものを作りたいなと思っていたので、この2年間ぐらいは同じ方向をみんなで向いて取り組めるよう、いろいろトライしてきたわけです。
―― 吉村さんが「音楽で表現したい世界観」って、具体的にはどういったものだったんでしょう。
吉村 ざっくり言うと、いわゆる洋楽なビートのニュアンスの音楽をやるのか、邦楽的な演奏でやるのかっていう2つのスタイルがあるとすると、僕は10代のうちにアメリカに行ったことで洋楽のビート感がルーツとしてあるわけで。その違いって、みんななんとなくは感じていると思うんですけど、特に日本にいるとはっきりここがこう違うと理解できていない人も多い。自分もそこをうまく言語化できていなかったから、東京にいた頃はうまく共有することができなかったわけです。でも、ちょっと説明できるようになってきたぐらいのタイミングにみんなと出会えた。そこからは、例えば同じ曲を日本人と海外の人が演奏しても、明らかに違う演奏の形になるっていうことをみんなと共有して、「何で違うんだろうね?」ってことを1つずつ掘り下げていくという作業を続けていったと。かなり手探りだったので、一度合ったと思った演奏を1週間後にまたやってみたら全然合わないこともあったりして。そういう一進一退の繰り返しだったので、そりゃあメンタルもやられるよなと思うわけです。でも、みんなすごく大人だったので、冷静に対応してくれて。もうちょっと若かったら、たぶん喧嘩してたんじゃないかと思うようなツッコミ方とかもしましたし。音楽の技術的な面もそうだし、みんなの人間性もあってここまでたどり着けたのかなと思います。
―― そうか、それが前作『SUNBURST』のインタビューでおっしゃっていた、フクダさんのスランプだったと。いろいろ繋がりました。
フクダ まさにその通りです(笑)。建ちゃんといろいろセッションしていく中で、なまじ頭で理解できるようになってくると、いざそれをプレイで表現しようとするとうまくできないというジレンマが生じて。そこで長いこと悩んで、「SUNBURST」で3000テイクもしちゃったわけです(苦笑)。
サワダ でも、本当にいろいろあったよね。これは読んだ人に穿った受け取り方をしてほしくはないんですけど……建ちゃんって一番最後に入ってきたメンバーじゃないですか。あとから入ってくるメンバーって、それまで作ってきたそのバンドのイメージにフィットするように、壊さないように振る舞う人が多いと思うんですよ。特にそのバンドのイメージが強ければ強いほど。でも、建ちゃんは自分がやりたいことに対する信念をストレートにぶつけてくれる素直な人。って、サスフォーのメンバー全員がそういう人間なんですけど、みんな素直が故に傷つけ合うこともあったりする。ただ、全員共通の目的としていい音楽を作りたいだけなので、そこだけでこの2年ぐらい繋がってやってこれたのかなと。で、それはこれからもそうなんだろうなっていう。まあ現在進行形で悩んでいることもまだありますし、そこは決してネガティブに悩んでるわけじゃなくて、もっと良くするためにはどうしたらいいんだろうっていうところで悩み続けている。そういう感じですかね。
ワシヤマ 建ちゃんはちょっと濁していたので、俺もデカいこと言いますけど……坂本九以降、洋楽的なこういうビートでやっている日本のバンド、っていうかそういう音楽が日本には存在しないので、それでこのアルバムは今までとは違った新しい感じになっているのかなと思うんです。これはほかのバンドの音楽がダメって言いたいわけじゃなくて、その自分たちはそういうものが正解であり、正解にしたいって思いでアルバムに取り組んだだけで。制作スタイル自体は、今までのサスフォーの作品とそこまで変わってはいないんですけど、演奏との向き合い方が変わったことで音質とか音楽の雰囲気がどういうふうに変わっているのかっていうところまで聴き込んでくれたら、このアルバムを作った甲斐があるなと思います。
interview by 西廣智一
Vol.02へ続く...
Interview Vol.02
―― 個人的には邦楽 / 洋楽で括るのはあまり好きではないですけど、『Goodbye My Roots』は今の海外のロックだとかメインストリームにある音楽を聴いている感覚にすごく近いんですよ。
ワシヤマ まさにそういう感覚になってほしくて。
―― だから、アルバム全体の尺もインタールード含めた14トラックで35分強、曲単位でも1分台から4分に満たないものまでと非常にコンパクト。本当に必要なものだけで構成されている感が強いのも、過去の作品と大きくことなります。聞きようによってはすごくぶっきらぼうに映るかもしれないけど、この唐突に終わる感じも含めてすごく今の洋楽っぽいなと思ったんです。
ワシヤマ そこは意識してますね。海外のアーティストが出すシングルって2分前後とか、めっちゃ尺が短いじゃないですか。そういう要素もサスフォーとしては持っておきたくて。
―― いわゆるサビにあたるリフレインも無理に入れることなく、そういうキャッチーなパートも1回しか出てこない場合も多い。J-POPやJ-ROCKにおけるフォーマット化した曲作りから離れた感が強い分、そこがすごく新鮮なんです。
フクダ 曲の構造的には昨今の邦ロックやJ-POPにあるような、すごく複雑なコード進行というものではなく、むしろ往年の洋楽にあるようなシンプルなコード進行だったり展開の少なさを持つ曲が多いので、そういった点で言うと、すごく覚えやすいしわかりやすさもあるなと思っていて。ただ、さっきから言っているように、ビート感の違いがね(苦笑)。邦楽で育ってきた人間にとっては、そもそもの根幹の概念とか捉え方から変えないといけないので、そこが難しいポイントですよね。だから、それを習得するために1回下手にならないといけなくて。
―― 下手に、ですか。
フクダ 今まで通りの捉え方で弾いちゃうと、どう頑張っても再現ができない。だから、そもそもの捉え方を1から見直す必要があって、それをするにあたって一度下手になる期間が必要で。新たに再構築するみたいな感覚で取り組んだ2年だったけど、2年かかってもまだ完成はしきっていない状態ではあるんですよね。
―― 目指していたその完成形に近づけてはいるけど、フクダさん的に納得いく及第点にはまだ届いていないと
ワシヤマ そうですね。いいときもあるけど、現状はあまりしっくりきてない点が多くて。そこをいかに馴染ませて、体にどんどん染み込ませて、これが普通になるレベルにまで到達させたいと思っているところです。
―― サワダさん、ギターに関してはどうでしょう。リフや刻みでのリズムの取り方とか、そのへん今までとの違いってありましたか?
サワダ 今まで話してきたことに取り組もうとすると、“おじさん遅く”なっちゃうんですよ。
―― “おじさん遅く”?
吉村 それはですね、例えば洋楽で……それこそさっき話したディアンジェロじゃないですけど、曲を聴いているとリラックスしている感じが伝わるんだけど、曲の構造自体にはすごく推進力があるという、相反するものが同居しているイメージがあると思うんです。で、“おじさん遅く”というのは僕らの間だけで通用する造語なんですけど、ある種のリラックス感を出そうとし過ぎちゃって、イケてるリラックス感っていうよりはおじいちゃんが散歩してるみたいな感じになってしまうことを指していて。自分のイメージだと都会的なリラックス感というよりは、もっといなたくてレイドバックしたようなビートが“おじさん遅く”。今の自分らはそこを目指してはいないから、いなたくなってくると「サワダさん、おじさん遅いです!」と指摘していたわけです。
―― ああ、その感覚はわかります。確かに違いますよね。
吉村 よかった、伝わった。
サワダ だから「落ち着く=遅い」じゃない、その捉え方の違いを追求しながらのレコーディングだったので、リズムがただ正確に揃ってるだけじゃないっていう演奏にできたのかなっていう。正確に揃っているだけの演奏だとせわしなくて、派手には聞こえるけどまとまっているようには聞こえてこないので、そうならないように、個々の演奏力っていうよりかはバンドの4人が出してる音がしっかり音楽になっている状態を大事にして、作品作りに取り組みました。
―― なるほど。ミディアムテンポでゆったりした曲調でもしっかり高揚感が伝わってくるところなど、このアルバムを聴いて感じた今までにない新しさや魅力的なポイントが、ここまでの説明を聞いて紐解けてきた気がしました。例えば、「Lost in Tokyo」みたいな曲でも聴いていると自然とテンションが上がってくるけど、タイトだとかグルーヴィーだとかそういった要素だけでは表現しきれないノリが伝わってきて。そこも吉村さんの説明を聞いて、めちゃくちゃ納得でした。
吉村 そう感じてもらえたなら、めっちゃ嬉しいです。ありがとうございます!
―― ここからは楽曲単位でいろいろ聞かせてください。アルバムのオープニングを飾る「Intermission #1」ですが、音楽好きならニヤニヤしてしまういろんな要素が詰め込まれていますよね。このあたりも『Goodbye My Roots』というタイトルやアルバムのテーマにも直結しているのかなと感じましたが。
ワシヤマ まさにそうですね。自分の身近にいるストリートのバンドの音源を、サンプリングして入れていて。自分が死ぬときにかかっていそうな音楽というイメージもあったので、自分の中ではこれは走馬灯のイメージですね(笑)。
―― そこから「Stray God」へと続く構成もすごく気持ちいいですし、かつその「Stray God」が1分半という短さにも驚かされます。
ワシヤマ 1分半とは思えないぐらいの情報量があるかなと思うんですけど、それはラップ的スタイルの歌にそういう要素があるのかなと個人的には思っていて。言葉数が多いので、 Aメロだけでお腹いっぱいになりますもんね。そういうヒップホップ的な要素も建ちゃんからいろいろ影響を受けたので、フロウだったり歌詞の内容だったり自分でも研究しつつトライしています。
―― 曲調的にはストレートなパンクチューンとして表現することもできたけど、言葉の選び方や韻の踏み方などヒップホップ由来のリズム感が加わることで、一筋縄でいかない仕上がりになりましたね。
ワシヤマ そうですね。しかも、意外とテクい曲なんですよ。それこそ、イントロからAメロにかけてサワダ氏が弾いてるギターリフは、某Rから始まる外タレバンドの「Can't〜」なんたらって曲のオマージュですし(笑)。モロパクリまではいかないですけど、ああいう雰囲気が漂うものにヒップホップの様子を入れるミクスチャーなカルチャーを継承したいという思いでやっています。
サワダ いやもう、あのギターリフに関してすごくスマートに説明してくれたので、付け加えることは特にないんですけど(笑)、レコーディングを思い返すと……前回のインタビューでむうくんと建ちゃんが半裸になって「SUNBURST」を録ったって話があったじゃないですか。今回は僕がこの曲で、上半身裸になって録ったんですよ(笑)。その状態にならないと出せないものがあるというか、合わないっていうか。ドラムとベースは同録で、ギターはあとから入れるスタイルだったので、彼らのテンション感についていくには同じ状態にならないと合ってる気がしないと感じたんです。
―― 「Stray God」から「SUNBURST」へと繋ぐ流れで、アルバムの掴みは完璧だと思いました。そんな中、個人的には6曲目の「What's the Move」がめちゃくちゃツボで。現時点では一番好きな曲です。
ワシヤマ わかります。
サワダ 僕も一番好きなんですよ。
フクダ 同じです。
吉村 わかるー!
―― この曲、延々リピートしたくなるんですよ。
サワダ これは聴くといまだに笑えるっすね。
―― 今の4人のいいところが全部出ている1曲といいますか。
ワシヤマ 「What's the Move」のボーカルに関してはトークボックス(トーキング・モジュレーター)でトライしていて。これまでもストリートライブでトークボックスを使っていたんですけど……またデカことを言いますけど、自分、結構才能があって(笑)。
フクダ いや、トークボックスはマジでそう。
サワダ ガチでうまい。
ワシヤマ 練習時間も3時間くらいなんですけど、それでこのクオリティでやれるという。もちろんあれはギターを弾いて音を出しているんですけど、ギターの表現を広げる1曲になったらいいなという意味もありつつ、歌詞が付いていて歌の節がちゃんと成立しているから歌モノとして捉えてもらってもいいし。でも、自分の中ではインスト曲のイメージがあって、これから路上とかでバンバンやっていこうかなって感じの曲になってます。
―― この曲、ベースが前に出ている感の強いミックスだなと感じて。シンプルだけどすごく気持ちいいベースラインですよね。
ワシヤマ そうですね。もう男一発って感じで(笑)。
フクダ こういうビート感やグルーヴ感を表現するにあたっては、ベースが重要な役割を担っている割合が高いと思っていて。それもあって、アルバム全体を通しても特にベースがよく聞こえると思うんですよ。
ワシヤマ 特に今回は、全体的にベースとドラムの音量がボーカルと同じぐらい出ているイメージで。全体を100として、ボーカルが50、ベースとドラムによるリズムが40、ギターが10くらいの割合の音量感があると思うんです。で、必要に応じて押し引きが生じるという。なので、「What's the Move」をはじめビートを意識してほしいなっていう、そういう音があってミックスも結構重低音が強調されているので、大きいスピーカーで聴いたらとんでもなくローが感じられるんじゃないかな。
フクダ それこそ、この曲のミックスが終わってワシヤマが“ムラ”(ALUM SKY STUDIO)で聴かせてくれたんですけど、みんなテンションがぶち上がって、お祭りみたいな感じになってましたね。
サワダ 爆笑して、みんなで踊ってたもんね(笑)。
フクダ 踊ってた踊ってた。
サワダ 自分たちで作った音楽で踊れるっていう。めっちゃ幸せだなと思いました。
フクダ というのもこの曲、ワシヤマがトークボックスを入れる前の状態しか知らなかったんですよ。で、いざミックスしたものを聴かせてもらったら「なんか知らねえ音入ってるな。何これ?」みたいな。
ワシヤマ それこそDaft Punkとかそういうグルーヴモノのイメージで取り組んでいたので、「これは歌じゃねえな、トークボックスだな」と。そんな機転もあって、こういう形になりました。
フクダ いや、マジで天才だと思った。
―― まさに僕も聴いた瞬間、最初に頭に浮かんだのがDaft Punkで。エレクトロ系アーティストが生音でファンキーなことにトライする、あの感じに近しい印象を受けたんです。それでいて、ドラムのタイトな感じがちょっとロック的にも聞こえて。
ワシヤマ そうですね。エレクトロっぽいループ感もあるんだけど、演奏自体は全小節違うように聞こえるっていう。最近のヒップホップとか聴くと結構トークボックスを使ってることが多いんですけど、ロックという括りではトークボックスをこういう使い方をするバンドっていないなと思って。あるとしてもギタリストがワウのように使う、ああいう定番の形になっちゃうじゃないですか。なので、そこでもしっかりと現代的な形でアプローチできたかなと思います。
―― 曲中盤で、ドラム含めてキメが入る部分があるじゃないですか。あそこの気持ち良さは格別でした。
ワシヤマ ドラムとかベースとか、ハイのいい倍音がたくさんある状態で録ったので、カットするのはすごく心苦しかったんですけど、めちゃめちゃカットしました。
サワダ 僕あそこ、あそこ本当に好きで。バカデカい音が出たあとに、めっちゃ下に潜るじゃないですか。で、そのあとにビートインしてカッティングが入ってくるところ、何回聴いてもめっちゃアガるんですよね。
ワシヤマ ライブでもああいう形で表現できたらいいなと思っていて。この曲を知らない人でもああいう構成ってみんなノリやすいでしょうし。もちろん予習してくるのもありがたいですけど、逆に初見の状態で体験するというのもまたオツなんじゃないかなと思います。
interview by 西廣智一
Vol.03へ続く...
Interview Vol.03
―― 「What's the Move」を起点に流れが変わっていきます。特に「Intermission #2」から始まるアルバム後半は、バンドとしても新境地といえるような楽曲が多く、中でも「Prince "Skyline" S54B」からの数曲からはセクシーさも伝わります。最高ですね。
ワシヤマ ありがとうございます。シンプルにこうロックするっていうことが、リフとか曲調だけじゃないってことを、ここでは提示したくて。一聴したらおしゃれに聞こえるようなものも、精神がロックであればロックになることを体現したくて、ここはそういうセクションにしてみました。
―― 「Prince "Skyline" S54B」も一聴するとシティポップの流れを汲むおしゃれな楽曲と捉えられるかもしれないけど、鳴らしている音含めてめっちゃロックだと思うんですよ。
ワシヤマ いわゆるシティポップの国に行ったら、エレピが入ってたりシーケンス的なフレーズがたくさん含まれていると思うんですけど、「Prince "Skyline" S54B」ではそういうものを全部ギターやベースのフレーズで表現することに注力したので、そこでちょっとした違和感みたいなものを作れたらなと思っていました。
―― 「Windows '98」の浮遊感もたまらないものがありますね。
ワシヤマ これはもうオートチェーンバリバリの外タレサウンドをイメージして作ったものです。リバーブをすごく使っているんですけど、それがある種シンセ的というか空間を埋めるパットとして使っていて、その中でファンキーなドラム、ギター、ベースがなっているという構図が意外とあるようでないのかなと。そういう新しいジャンルの扉を匂わせられたらいいなというイメージですね。
―― またそういう曲で、ドラムがめちゃくちゃスリリングでカッコいいですよね。
吉村 ありがとうございます。
ワシヤマ そうだ、「Prince "Skyline" S54B」のドラムの話も先にしておいたほうがいいのかな。実は「Prince "Skyline" S54B」って最初、アルバムに収録したテイクとは別のものを使っていたんですよ。というのも、最後の最後に聴かせるまで、建ちゃんが出したあるテイクが自分の中ではすごく嬉しくて。というのも、彼が以前サポートしていたキタニタツヤに「Rapport」という曲があるんですけど、「Prince "Skyline" S54B」のBメロで「Rapport」のイントロのような手順のフレーズを叩いてくれたんですよ。しかも、本人も「Rapport」に対して「東京でやっていた音楽の中でも、すごく手応えがあった」と言っていて、それを咄嗟に繰り出したところがすごく魅力的で。絶対にこのテイクを使いたいなと思っていたんですけど、本人がどういう気持ちで叩いているかわからないし「使わないで」って言われるのは嫌なので、隠しておいたんですよ。
吉村 そうだったの?(笑)
ワシヤマ そうなのよ。そもそもタイムの長さもピッチも違う感じなので、曲の雰囲気がガラッと変わっちゃうんですけど、それでもそのテイクを使いたいと思って、隠しておいて最後に使うっていう。裏側で起こっていたドラマチックなエピソードも、ぜひ掲載していただきたくて話してみました。
フクダ ロマンチックな奴だなあ(笑)。
ワシヤマ あと、建ちゃんがそれを叩いたときの気持ちもまだ聞けてないから、伝えてほしいなと思って。
吉村 自分の好きな音楽のルーツを感じるので、「Prince "Skyline" S54B」はこのアルバムの中で一番好きな曲なんですよ。でも、ワシヤマに言われるまで「Rapport」と同じことをしているなんて気づいていなくて。自分的には「こうきたら、こうだよな」みたいな、演奏における自分の中のルールみたいなのもあって、それこそさっき言ったみたいに、キタニのときは自分の持っているルールと楽曲の世界観自体がマッチできたんじゃないかなというのがあったし、実際すごく多くの人に聴いてもらえた曲なので、「Prince "Skyline" S54B」に関しても自分が持っているものを曲の世界観にうまく落とし込もうとした結果、出した答えがワシヤマが隠していたテイクだったのかな。だから、こうやってワシヤマから言われたことが、愛の告白みたいですごくドキドキしました(笑)。
一同 (笑)
サワダ こいつら仲良すぎるんだよな、初めて会ったときから(笑)。
吉村 仲良いっすね(笑)。
ワシヤマ 俺もキタニタツヤの曲は好きだし、中でも建ちゃんが叩いていた時代の曲はより好きだしね。それこそ、「どういうドラムが入ってくるか」みたいな新入りの状態のときに、彼のドラムを研究する1つの材料でもあったし。なので、東京でたくさん苦しんでいたという思いを聞いたのちに、そのフレーズを出すってことは、「Rapport」にはすごく自信があったんだなとわかって。で、そういうストーリーのあるテイクって、DAW上ですごく輝いて見えるんですよ。
吉村 ありがたい話です(笑)。
ワシヤマ で、「Windows '98」もそこに通ずるものがあって。ベースとドラムの絡み的にR&Bを基調としたテイクなんだけど、ちゃんとサスフォーのロックな部分を大事にしてくれているという、そんな印象があるんです。
―― なるほど。あと、アルバム後半だと「Floating Cow Farm」。これは音でめちゃくちゃ遊んでますね。
ワシヤマ これはもう「やれるだけやろう、詰め込めるだけ詰め込もう」の精神で。特に俺が好きなものを詰め込んでいて、現代ロックのカオスな部分を全面に出したくて、ここまでぐちゃぐちゃにしてみました。
―― ベースの音色もとても個性的です。
フクダ これはベースシンセのエフェクターを使ってます。
―― ドラムはトリガーを使っているのか、生音っぽくないですよね。
ワシヤマ Slate DigitalというメーカーのSSDっていうドラム音源にチャド・スミスっぽいやつがあって(笑)。それが刺さっています。
サワダ この音源が上がってきたとき、みんな「えっ、チャドやん!」って言ってたんですよ(笑)。
―― これぞミクスチャーのお手本みたいな1曲ですよね。
ワシヤマ やりすぎなくらいですけどね(笑)。
サワダ そこは『Goodbye My Roots』ですから。
ワシヤマ 「Lost in Tokyo」からの流れとして、J-POPに中指立てるじゃないですけど「嘘でしたー」みたいな俺の恥ずかしがり屋な一面も垣間見えるという(笑)。
フクダ 確かにね(笑)。
ワシヤマ あと、鍵盤が鳴るっていうことが、だいぶみんな忘れてきた頃かなと思って。その1曲目が鍵盤で始まるっていうのも自分の中では大事にしてるので、そういう部分でも結構意味のある曲順で置けたかなっていう手応えもあります。
―― 「Floating Cow Farm」のドラムはなかなか派手にやってますね。
吉村 そうですね。Aメロのフレーズとかもそうだし、それこそ最初にジャズみたいない演奏が挟まっているんですけど、それについてワシヤマが「これは建ちゃんがニューヨークに行くための曲や。高速シンバルレガートをやれ!」とか言っていて。確かにニューヨークは行きたいなと思っていたので、頑張りました(笑)。
ワシヤマ 最初は「えーっ、無理だよ」って言っていて。「無理じゃねえだろ、ニューヨークに行くんだろ?」っていう、そういうセクションですね。
―― (笑)。ここまで一筋縄でいかない流れでしたけど、終盤に王道感の強い「BORDERLESS」があるとちょっとホッとしますね。ただ、サウンド的にはこれまでの流れを汲んでいるものの、表現のタッチは今までとは違うものがあるなと。そういうところに、この2年の積み重ねがしっかり表れていると思いました。
ワシヤマ それこそ「SLEEPLESS」とか「DYNAMIX」とかを録っていた頃のミックスのフローと、今の方向性がうまく調和した仕上がりになったかなと、手応えも感じています。
―― ギターソロもとてもクールだなと思って。
ワシヤマ これ、俺が弾いているんですけど、実はデモで適当に弾いたテイクをそのまま使っていて。そのテイクがすごく良かったものの、デモをそのまま使うのはどうなのかなと思って、最後まであがいていたんですけど、初期衝動的なギターソロには勝てないなということで、パンツを脱ぐくらいの決断でした(笑)。ほかの演奏と比べるとクオリティも低いし、ミスタッチも多分入っていると思うけど、こうやって自分の腹の中を全部出していかなきゃ、人に伝わるものが乖離していっちゃうなと感じていて。その曲を作った瞬間のギターソロのほうが自分が伝えたいことが詰まっているので、これを採用しています。
―― そこから「Intermission #3」を挟んで、ラストナンバー「Pocketful Songs」へ到達します。じっくり聴かせる、いい締めくくりだと思いましたよ。
ワシヤマ これは自分的なジミヘンの現代的な解釈というか。「Bold As Love」(※The Jimi Hendrix Experienceの2ndアルバム『Axis: Bold As Love』のラストナンバー)的な、アルバム最後のバラードをサイケな感じに仕上げることをテーマに作った曲です。
―― なるほど。途中、ゴスペル調のコーラスも加わってきて、単なるサイケデリックなアレンジで終わらないところも今のサスフォーらしいなと思いました。
ワシヤマ ジミヘンのバンドにQueenの4人がバックコーラスで参加するみたいなイメージですよね(笑)。これはロック好き男子の妄想というか、「俺の考えた最強のドリームバンド」みたいなものを再現したくて、こういうセクションが増えていったという。
―― で、そのコーラスパートの歌詞に〈The galaxies hum a tune I know〉というフレーズが出てきます。いろいろ繋がってくるんだなと、最後の最後で感じました。
ワシヤマ ありがとうございます。言いたいことはそこで全部言えたかなと思っていて。まあ敢えて具体的に言う必要ないかなということで、結局宇宙に行っちゃうという。
サワダ この曲、このアルバムの締めくくりにめっちゃぴったりな曲ですよね。歌い出しの〈長い月日をかけて作った〉といい、ラストの〈優しく 静かに 幕を降ろす〉といい、綺麗に締まっていて。で、アルバムをループで再生していたら、また「Intermission #1」のピアノが始まるっていう。これ、いつ止めたらいいんだろうって思っちゃうようなアルバムになっていて、本当にずっと聴いていられるんですよね。
―― わかります。「Pocketful Songs」の余韻に浸っていると、また「Intermission #1」のピアノが聴こえてきて、そのまま自然な形で2周目に突入してしまうという。
ワシヤマ アルバムの構造として、始まりのダイナミクスと終わりのダイナミクスが一緒なので、それが地続きになってる要素なのかなと。どうしてもそういうふうにしたかったので、ギターのソロで終わりたいなというぼんやりしたものをうまく再現できたのかなと思います。
―― あと、1stフルアルバム『Travel The Galaxy』のタイトル曲で〈銀河にハレルヤ〉〈爆破しろ〉と叫んでいた人が、このアルバムでは〈星を並べ替えて / 新しい宇宙を作ろう〉と歌っているのも興味深くて。
一同 (爆笑)
フクダ デカくなってる!(笑)
サワダ 地球から脱出して、新しい宇宙を作るのはヤバいですね(笑)。
ワシヤマ ギャラクシーをトラベルした結果、宇宙を作る方向になっちゃったという感じですね(笑)。まあ、そこはちょっと意識はしていました。1stアルバムに「Galaxy」というワードが入っていたので、「ありがとう、この太陽系よ、銀河よ」とある種の『Goodbye My Roots』でもあるのかなと。「俺たちは別の宇宙に行くぜ」みたいな。
サワダ いや、本当にそうなったよね。
―― この濃厚な内容が約36分に収まっている事実も、改めてすごいなと思います。
ワシヤマ 逆に、36分以上にできなかったですよね。実は16曲入れる予定だったんですけど、最終的に2曲削ることになり。というのも、冒頭にも話したような取り組みがなかなかうまく進まず、アウトプットできない状態だったんです。だから、今出せる最大限がこの14曲というわけです。
―― でも、バンドとしての進化や変化がわかりやすい形で伝わりましたし、全体としてもすごくギュッと締まった内容になったので、結果的にはこの14曲で正解だったと思いますよ。
ワシヤマ だから、早くこれを多くの人に聴いてほしいんですよ。自分らもこのアルバムが世に出るまで、なかなか手応えを感じられないというか。ここまでの自分たちの研究結果というか、やってきたことを発表できる場が控えていることで、本当にウズウズしているので。
―― かつ、バンドとしてはまだ進化の過程にあるわけですものね。
ワシヤマ そうですね。今はまだこれぐらいの解像度でしか語れないけど、アルバムを聴けば明確に違いを体感してもらえるはずなので。これこそが俺が個人的に作った問いかけですからね。それこそ、アルバムに収録され「SUNBURST」と「My Syntax」は、シングル収録バージョンとミックスのフローとかテイクは一緒なんですけど、ちょっとだけエディットしていて。そのエディットを通じていわゆる洋楽的なものになる要素を見つけて、それを当てがったことでだいぶ曲調が変わったり、サウンド自体も全然違ったものとして捉えてもらえるかなと思うので、聴き比べてもらうと俺らが何に悩んでいたのか、何を見据えているのかが、わかる人にはわかってもらえるのかなと思うんです。ちょっと難しい問いかけですけど、音楽上でそういうことを察知してくれたらめっちゃ嬉しいし、幸せだなって思います。
interview by 西廣智一

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