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SAND [Spit on authority] リリース記念 インタビュー Part.03

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--SANDって、ニューヨーク・ハードコア・スタイルからの影響があるんだろうけれど、他のバンドには似てない、ちょっと変わったバンドじゃないですか。

Makoto たぶんメンバー全員田舎者なんで、小学校〜中学校あたりの思春期の時って、わけわかんないもの、いっぱい聴いちゃうじゃないすか。
ヤンキーの先輩とかからの影響もあるし。BOOWYとかブルーハーツとか、長渕剛、ブランキー・ジェット・シティとか、XやBUCK-TICKとか。で、ど田舎のくせにちょっとませてるツレがガンズ・アンド・ローゼズがどうたら言い出すと、もう頭パニックですよね(笑)
コロンたたいて、ニューヨークつってたら、スラッシュがソロアルバム出しただの、ピストルズがなんだだの、ツレん家でたまってて、ロックはシンナーよりハルシオンだろ!?とかってだれかがほざきだして、食ってギブソンでギャーン!ってやってたらとなりのババアが「うるせー!こらガキ!」ってな感じで。それでハルシオン食い過ぎて1週間寝たきりになったのは、SANDの元ギターのユウスケってやつなんですけど(笑)

--そういうのが全部混ざっちゃった感じですか?

Makoto そうすね。思春期にわけわかんないのいろいろ見たり聴いたりしすぎて(笑)。
単車だギターだなんだって、そんな中、いきなりジューダス・プリーストとか、パンテラとか聴いたら「なんだこりゃー」ってなっちゃうじゃないすか。田舎っぺだから。

--ちょいちょい取り入れてるんですね?

Makoto 無意識に出てるんですかね。わけわからずに、「何だこれスゲエぞーー!」みたいなノリですよ。「とんでもないの聴いたべ」みたいな。バイクでワーッとやるのも楽しかったんすけど、何もかもグチャグチャになってて、そんなのが入ってるんですかね。
アメリカはすっげーぞ!みたいな、行ったこともないのに(笑)小僧共が、田んぼのあぜ道で(笑)

--ヴォーカルは怒ってますよね。

Makoto 怒ってます(笑)今回、面白いことに気づいて。怒りすぎて、スゲエむかついてることをブワーッと書くんですけど、あとからよく見るとリリック、支離滅裂なんです。同じ 1曲の中なのに、例えば途中から標的が変わってたり(笑)。前半だっさいヤツのことを歌ってたのに、後半、「殺すぞチンピラ」みたいになってて(笑)。 何だこれ?って、後で気づいて。
直そうかなと思ったけど、まぁいいやと思って。ムカついてバーッと書いたものなんで。これもこれかなと。

--「I」なんて、レゲエの曲で意表を突いてきたのかと思いきや、ちゃんと青春の歌になっていて、キュンときますね。

Makoto リリックはそうですね、そん時はそれこそ長渕(剛)の歌詞の影響ですよ。「長渕か、ヤベエぞ」「ハイライト吸ってんだな」って。
「ありゃあ男だ」とか中学のクソガキが言ってるんすよ。(笑)Iって曲はスタジオの時に、ギターのIshiちゃんがジャムってて、「このフレーズはお前じゃ歌乗せれねえだろ!?」みたいな顔されたんで、イラーっときて。「歌乗せてやるよ。なめんなよ」っていう……

--でもあの曲よくできてます。

Makoto (笑)なにげに、いろんなパターン考えたんですけど、結局俺、歌上手くないんで、子供がラフに歌ってるような感じにしようと思って。
出来上がったあとで聞いてみるとバッドブレインズmeetsディバイスチェンジみたいな。好きなのが混ざってこうなったんですかね。

--「Vanilla Shake」ではラッパーのANARCHY(注:京都出身のラッパー。R-RATED RECORDSに所属)に参加してもらったのは?

Makoto 彼と会う時はいつも、「こんなことできたら面白いな」「最近そっちの方はどう?」とか、情報交換もしながら、「こういうのやったら面白くないすか?」とか、お互いしゃべってて。「次どんなのやるの?」「そっちは最近どんなんがいいんすか?」とか。面白くて。 普通にしゃべってる会話の中で、「またやりましょね」「またやろうよ」で、そのまま「こんなんやろうか」ってなって。

--あのビートでラップを乗せるのもスゴいですよ。

Makoto 絶対キメてくると思いました。「まかしてください」って言ってたんで。強烈でしたね。
レコーディング中にノッてきて、やる予定のフレーズの次の展開までいきなりラップのせだしたんで、ソレいいね!って。茶坊主どもはドン引きのリリックですね、育ちが悪い(笑)

--アルバムのラストで「Country Road」をカヴァーしたのは?

Makoto 疲れてるんですかね(笑)。普段はジョン・デンヴァーとかも聴いてたり。うちの親父がロック好きだったみたいで、ブラック・サバスやジミヘン、キングクリムゾン、ディープ・パープルやレッド・ツェッペリンなんかのレコードが実家にいっぱいあって「何なんこれ?」って
おっさんに聞いた時に、「ワシは昔、タイコ叩いとったんじゃ!」つってました。でレコード、勝手に聴いてたんですけど、最初はどれ聴いても気持ち悪い。(笑)
それこそブルーハーツとかを聴いてる時だから。「何だ、うちのおっさん、気色悪いの聴いてんな〜」とか思ってたんですけど、聴いてるうちになーんか、だんだん気になってきて、「ん!?ちょっとカッコいいな、このブラック・サバスとキングクリムゾンとかゆうヤツ」って。

--ジョン・デンヴァーもその中に入ってたんですか?

Makoto フォークのオッサン系の井上陽水、吉田拓郎なんかのレコードと並んであったと思います。んで、頭のどこかの記憶にあったんでしょうね。
それで「これ、何か好きだな」って思ってて。カバーした理由がソレ以外、何もないっていう(笑)

--Makoto以外のメンバーがどういう人たちなのかを聞きたいんですけど。

Makoto これは面白いですよ。こっちの話の方が面白いんじゃないかっていう(笑)。

--Ishi(G&Vo)。

Makoto Ishiちゃん伝説というのがあって、地元の若い子達に語り継がれてるんですけど。
10代後半になったら、車の免許とか取って、駅3つほど離れた繁華街に繰り出してたんです。これまたド田舎の田吾作なんで、駅をぐるぐる回ったりするわけですよ。イキがったセダンに乗って。みんなで集まって酒飲んではそういうのをやってて。

ある日も、同じように隣街に繰り出していって、その日ボクは、トシってやつと2人で、みんなとは完全に別行動で朝までやってたんで、すべて事後報告を朝きいて、爆笑した話なんですが、繁華街が地元のヤンキーと、4対2くらいでツレがケンカになったらしく。
バカだから、酔っぱらってて、相手をブッ飛ばしたあと、酒がまわったらしく、倒れてるそいつらの横に一緒にゲロはいて寝ちゃったらしいんすよ。
そしたら相手の4人が起きて、二人、綺麗にさらわれたらしく。「さらわれたらしいぞ!」ってなって、みんな一回集まって。さらったヤツがツレの携帯取り上げて、こっちに電話かけてきて。「おまえのツレさらってっから、助けに来い。ビブレの前だ」とか言って。
こっちも15人くらいいて、みんな何台かの車に乗り込んで勇んで現場行ったら、50人くらいいたらしく、ついでに完全に田舎ヤ●ザ丸出しの車が何台かw停まってたらしく、で、みんなイモって一回素通りしたみたいで。(笑)

みんな「マズイな〜」てなってた時に、泥酔したベロベロのIshiちゃんがフラフラ歩いて来て、「どうした」つって、みんなが事情を説明したら、Ishiちゃん、携帯取り上げて、まだ17、18才、のくそガキですよ。相手のヤ●ザに携帯で「ゴルァ!!」つってブチ切れて、「おまえ俺のツレさらってるらしいな〜今すぐ全員ブチ殺してやるから、どこおんのじゃコラ!」って言っちゃったらしく(笑)

相手の集団、ちょっと時間も経過してて、山奥まで拉致って移動してたみたいで。
「今から殺しいくから、腹くくって待っとけボケ!」つってIshiちゃん電話切って。唖然としてたみんなに、「おめえら、ツレがさらわれとってブルってんじゃねえ、バカが」とか言って、そのままバッとタクシー停めて、一人でさっと乗って、ビューンと行っちゃったらしいんです。みんなソレ見てどん引きだったと(笑)

Makoto それで、山奥の指定場所に着き、Ishiちゃんタクシー降りたら、100メートルくらい向こうの、ものスゴい台数の車からハイビームで照らされたらしく。
Ishiちゃん、タクシー降りて50メートルくらいのところで、照らされてまぶしすぎたのと、山道の悪路で目が回ってたのとで、ゲロ吐いたらしいすよ。
ブワーッて全部吐いて、もう一回パッと見たら100人くらいいたらしくて。(笑)で、真ん中に様子のおかしい角刈りやパンチパーマのスラックスのおっさんが何人かいたみたいで。それで100人くらいの前に血祭りにされてる僕らのツレがいるわけですよ。Ishiちゃん全部ゲロ吐いて、酒、抜けたらしく、 「ヤベエな」と気づいたらしいす。(笑)でももうしょうがないんで、そのままそいつらのとこまで歩いて行ったら、「兄ちゃん、さっきの電話、おめえかコラ!?」って言われて、Ishiちゃん、「どうやら、そうっすね」(笑)とか言って。
「俺残るんで、こいつら帰してもらっていいすか」って、シブい台詞を言ったらしく。でも、現実は漫画じゃないんで、あっさり「ダメ♥」って言われて。
そのままボッコボコにされて……3人ひどいツラで生きて帰ってきたっていう伝説です。でも Ishiちゃん、見た目が華奢じゃないですか。
地元の年下の子達が僕に言ってきたのが、「マコトさんと同じ代に100vs1でかました石橋さんという、ラオウみたいな方がいたらしいですね!?」って。 話ぶれてIshiちゃんは最終的に、ラオウになったみたいです(笑)。

--Koshin(G)。

Makoto メタルとかロックが好きで、なーんにもわけわかってないままハワイに住んで、いろいろおかしな経験していい感じに頭おかしくなって帰ってきた人なんじゃないですかね。頭と腕に刺青入れて帰ってきて。どうすんだよお前、みたいな。元々はIMMORTALITYというバンドにいて、どういう経緯か忘れたけど、(SANDに)入ることになりましたね。今、REDHOT STUDIOでレコーディング・エンジニアやってます。今回のレコーディングも彼がやっています。音楽はずっと好きで。まあ、いい感じのバカです。

--King(B)。

Makoto あいつはガキの頃、成長が早かったんで、身長が高いだけでちょっとイキがったヤンキーでしたね。一回、俺たちの同級生が、ちょうど中1の時に、中3の女と付き合いやがって生意気だ!みたいに彼が怒って。…意味不明なんですけどね(笑)あいつが「シメてやる」って言い出して。で、放課後に俺のとこ来て、「ヤキ入れるから付いてきてくれや!」とか言われて、「わかった」つって、ボク、帰り道反対方向なのに、わざわざついていってやったら、呼び出したヤツ、全然来なくて夜になっても、Kingぼーっとしてたんで、オレ…腹へったし帰るわ。って帰りました(笑)ヤツとは同じ幼稚園の時に『風の谷のナウシカ』を初めて幼稚園の中で観て、終わった後に俺が「ナウシカ超かわいいな〜」って言ってたら、「バカじゃねえの、マンガだし!」って言いやがったんで、殴ったんです。そっからの付き合いすね(笑)。そんな記憶です。

--Ryota(Dr)。

Makoto 大阪でライヴしてる時に、バカデカいヤツがピットで大暴れしてて。身長190ちょいあるんで、目立つじゃないですか。「何だあの巨人は?」と思ってて。 それで気づいたらうち入ってましたね。確かそのあとスタジオでばったり会って。「何だお前ドラムやってんの?」「ハイ、エヘヘ」みたいな、「普段は何してんの?」「鳶です、えぇ」「バカだろお前」「ハイ!ウヘヘ!」みたいな。それでちょうど「ドラムやる?」って言った ら「ハイ!」。つって(笑)。彼に関しては…以上です。

--ハードコアの魅力は何ですかね?

Makoto いまだにわかんないす(笑)。まあ、SANDなんて、寄せ集めのクズですね。今、自分で言ってて思いましたね。ゴミしかいねえなと思って(笑)

--でも地元の仲間とバンドを組んで、東京の仲間のNUMBと一緒にイベントやって、海外の仲間を招聘してるわけで、ハードコアを通してのユニティってあるじゃないですか。それも含めてハードコアの魅力とは?

Makoto いい意味で世界中、愛すべきクズ共ですよね(笑)。だって、あんな激しくて、本当はね、もっとみんなで一般の方にもアピールして、広げて、こんな音楽の遊びかたもあるって、共有したかったりするんだろうけど、ライヴが始まっちゃうと、みんなスイッチ入るから、ウワーーーッてやっちゃうじゃないですか。ちっとも気遣わねぇな、みたいな。
本当はみんな、もっと初めて見る人達にも楽しんでほしいし、「ハードコア、ヤバいね」っ て共感してほしいんですけど、いかんせんテンションあがるとスイッチ入っちゃうから、ムチャクチャ楽しむじゃないですか。んで気づいたら、ちょっとぶつかったり、激しそうにみえるの、そういうの苦手な方は…来なくなるじゃないですか(笑)。
なので、愛すべきクズどもですよね(笑)。悪気はないんですけどね。

--最後に、ハードコアを知らないみなさんに向けてのアピールをお願いします。

Makoto ライブに関しては、音やノリはハードなんですけど、別に来てくれてるお客さんたちに怒ってるわけでも何でもなくて。たまにワーワーMCであおりすぎて、自分でもライヴ中に訂正する時あるんですけど。「みんなに怒ってるわけじゃないんです」って。(お客さんが)本当に引いた顔してる時がたまにあるんで。来てくれてる人達とは一緒にライヴ楽しみたいだけ。他のジャンルのバンド、アーティストさんとかよりは、MCも下手くそだし、上手に愛情表現ができないんだと思うんです。昔と違って、今となっては変な暴力とかクソだとみんなわかってる。SANDのリリックに関しては、文句ばっかりですけど(笑)でも、たまにはいいんじゃないですか!?大衆歌謡とは真逆の怒りのサウンドがあっても。平穏な部分と怒りと。人間みんな両方持ってると思います。ボクもしかり。その怒りの部分のみを抽出して凝縮して爆発させた〜…ようはクソ野郎に「てめぇはクソだ」って言ってるだけなんで(笑)

--普通の人はピットを見たらヤバそうに思いますけどね。

Makoto 是非、田吾作クオリティを見に来てください(笑)。全力で愛を持ってライヴします。つって。(笑)

INTERVIEW BY Toshiya Ohno (FLJ)

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