![KUZIRA 3rd ALBUM [Smoke Life Away]](./assets/img/release-jkt.png)


SUMMER OF DEATH 2025

キャンペーン対象チェーンにて、対象となる3タイトル中、2タイトル以上を同時予約・購入いただいた方に先着で「SUMMER OF DEATH 2025 オリジナルビーチボール」をプレゼント!
キャンペーン実施期間
2025年5月30日(金)22:00〜8月31日(日)23:59 まで
※特典はなくなり次第終了いたします。
キャンペーン実施店舗
・タワーレコードオンライン
・Amazon.co.jp
※キャンペーン特典対象商品であることをお確かめのうえ、ご購入ください。
- Schedule -
w/ ONIONRING
w/ ONIONRING / SLACK
w/ See You Smile
w/ Northern19
w/ Northern19
w/ Northern19
w/ Some Life
w/ Some Life
w/ Some Life
w/ Some Life
w/ Some Life / NOT SO HARD WORK
w/ Some Life / FREE KICK
w/ Hawaiian6
w/ TENDOUJI / Moethein
w/ GOOD4NOTHING / OwL
w/ GOOD4NOTHING / OwL
w/ dustbox
w/ dustbox
w/ SUNSHINE DUB
w/ サバシスター
w/ サバシスター
w/ SPARK!!SOUND!!SHOW!!
w/ SPARK!!SOUND!!SHOW!!
w/ SPARK!!SOUND!!SHOW!!
w/ MACVES
w/ HERO COMPLEX
w/ HERO COMPLEX
w/ HERO COMPLEX
w/ THRASHOUT
w/ cinema staff
w/ Hump Back
w/ Suspended 4th
w/ ENTH / Thermostud
w/ ENTH / Thermostud
w/ COUNTRY YARD
w/ HONEST / STOMPIN'BIRD
w/ HONEST / サテライト
w/ KOTORI
w/ KOTORI
w/ FIVE STATE DRIVE
w/ FIVE STATE DRIVE
w/ FIVE STATE DRIVE
w/ Maki / MARIO2BLOCK
w/ Maki / MARIO2BLOCK
w/ Maki / MARIO2BLOCK
w/ Maki / MARIO2BLOCK
w/ Maki / MARIO2BLOCK
w/ Maki / MARIO2BLOCK
w/ Maki / MARIO2BLOCK
w/ かずき⼭盛り / RAINCOVER
w/ かずき⼭盛り / RAINCOVER
w/ dustbox
Interview Vol.01
―― 待望となる新作『Smoke Life Away』が完成しました。昨年2月に『Wasted Time』、今年1月に『Lunch Box』というシングルは発表したものの、フルアルバムとしては3年ぶり。この3年という長さはどう振り返りますか?
末武竜之介(Vo/G) いいモノができたらだそう、みたいな風にやってたんで、時間がかかったのかもしれないですね。
―― じゃあ、フルアルバム自体はずっと作りたいと考えていたという。
末武 ですね。フルがいちばんカッコいいと思ってるんで(笑)。
熊野和也(Ba/Vo) あと、(ライヴを)誘われることが多くなったから、というのもあるかな。それでスケジュールも埋まっていくし。
シャー:D(Dr) 加えて、これまでに出した曲をライヴでちゃんと育てよう、みたいなフェーズだった気もしますね。
―― 実際、2ndフルアルバム『Pacific』は1年のスパンで発表しましたし、その曲たちもより自分たちのモノのして、お客さんにもしっかり届けたい、みたいな。
熊野 とは言え、曲をじっくり作ってたとかなとは思います。
―― そうなると、末武さんはずっと制作を続けていたような。
末武 夢の中でも作ってましたね、この3年間は。
―― 3年となれば、今のシーンの流れからすると結構長い期間だとは思いつつ、KUZIRAが足踏みしていたような印象はないんですよ。それこそ、ライヴも観るたびにたくましさが増してると感じてますし。
シャー:D ショートツアーとか、結構やったりもしてて。自分ら発信でライヴを強くする、みたいな意識はめっちゃあったと思います。
熊野 たしかにそうだった。
―― それと末武さんがより堂々とした佇まいになってきたとも思ってて。ライヴのMCだったり、お客さんに言葉を投げかけるのは熊野さんが担ってる部分も大きいじゃないですか。
末武 それはめちゃめちゃありますね。
―― でも、あるときを境に末武さんの同じようなバランスで前へ出てきてるなと感じたもして。
末武 へぇ〜。
熊野 たしかに大きい舞台になればなるほど、竜(末武)のスイッチが深めに入るというか。言ったら、生意気な発言とかしたりするんですけど、それにオレとシャー:Dくんがアガって「行け!行け!」みたくなる瞬間がフェスとかだと結構ありますね。
―― 末武さんとしては自然と深くスイッチが入るようになってきた?
末武 そうなんですかね……憶えてないっすね(笑)。
熊野 アーティストぶるなよ(笑)。
一同 ハハハハ(笑)。
末武 でも、どうなんだろう? あんま、わかんないっすね、自分のことだと。
熊野 ただ、やってやるぞ、みたいな気持ちは前よりも強くなったんじゃないかな。そこも感じてますね。
―― ここ数年だと、Ken Bandのツアーに同行することも多かったじゃないですか。そこでいろんな刺激や影響を食らったのかなとも想像してて。
末武 デカいっす。
熊野 めちゃくちゃデカいっすね。
末武 健さん、「お客さんはバカじゃないから。すぐバレるから」ってよく言ってて。だから、ステージ上ではウソをつきたくないな、という意識も強くなりましたね。
熊野 その話、オレもすげえ憶えてて。健さんのMCはオレも腑に落ちることが多いんですけど、最初は文才があるからなのかな、って思ってたんです。で、「言語化する力があるから伝わるんですよね」って健さんに話したら「バカだな。本気で言ってることはどんなに言葉が拙くても伝わんだよ」って。
―― 言葉選びも大事なんでしょうけど、やっぱり必要なのは本気ですよね。
シャー:D あと、(Ken Bandは)お客さんを置いてかないですよね。伝わりきってないな、というときはちゃんとMCをしてコミュニケーションを取るし。そういうのも観てて凄いなと思ってました。
―― Ken Bandのツアーは学びが多かったような。
熊野 多かったですね。
末武 学びばっかでしたよ。
熊野 そう言えば、この前、「Stickin' In My Eye」のときにJunさんがベースのイントロを弾いてる横で健さんがタバコ吸ってて。その後、そのタバコを灰皿に置いて演奏するんですけど、まだ煙が出てるのがめちゃめちゃカッコよくて。
末武 映画みたいだったね。
―― タバコで思い出しましたけど、健さんと話したいからめっちゃ喫煙所についていった、みたいな話もありましたよね。
熊野 オレですね。30歳から(タバコを)始めました(笑)。
―― でも、それぐらい触れたい、という。
熊野 そうっすね。麻雀は憶える気になれなかったんですけど(笑)。
―― アプリから始めましょうよ(笑)。
熊野 そう言われるんですけど、なかなかひとりではやれないですね(笑)。
―― そういった気づきをくれた健さんが新作のプロデュースをすることになったわけですけど、そもそもどういった経緯があったんですか?
熊野 元を正すと、(HEY-SMITHの)猪狩さんに頼んでみようか、という話がまずあったんですよ。
末武 そういうことを昨年の夏、Ken Bandのツアーへ同行したとき、健さんに相談してたら……
熊野 「オレならタダだよ。実績もあるし」って言ってくれて(笑)。
―― ハハハハ(笑)。言ってしまえば、猪狩さんは外部の人間で、ちゃんとプロデュース業も仕事としてされてて。健さんは内部の人間で融通が利くところもあるでしょうけど、らしい言い回しですね(笑)。
末武 実は猪狩さんにもお試しみたいな感じで1曲やってもらってるんですよ、2曲目の「Pizza Rocket」。
熊野 落ちサビみたいなところで「ベースの和音にした方がいいんじゃない?」とかは猪狩さんが言ってくれたことで。
―― ただ、健さんって頻繁にプロデュースをしてるわけでもないですよね。
末武 そうですね。DRADNATSぶりかな?
―― 健さんにお願いしたい、という気持ちもあったんですか?
熊野 いや、想像もしてなかったです。だから、「そんな手があるのか!?」みたいな。
シャー:D そんな風に言ってくれるとも思ってなかったですね。
―― 実際にプロデュースしてもらうことが決まったとき、嬉しさもありつつ、プレッシャーもあったんじゃないかと思ってて。それ相応のいいモノを提示しないとガッカリされちゃうんじゃないか、みたいな。
熊野 竜はあった?
末武 そんなになかったですね。
―― 自分たちがいいと思ってるモノを一緒に作っていければ、みたいな。
末武 そうでしたね。
―― プロデュースが決まった時点だと、新曲はどれぐらいあったんですか?
シャー:D 4、5曲はあったような。
末武 完成してたのはそれぐらいだったかな。ネタ自体はいっぱいありましたけど。
―― バンドによってプロデューサーとの関わり方って様々じゃないですか。制作はどういった流れで進んでいきました?
末武 完成した曲を聴いてもらって、アドバイスをもらって、を繰り返してましたね。
―― まずは3人でアレンジをして、という、
熊野 さっきもお話しましたけど、3年もあった分、曲を練る時間もあったし。
末武 めちゃくちゃやって、悩んでましたね。
熊野 だから、わりと完成したモノを聴いてもらってて。ただ、「21 Buck」なんかは凄く気に入ってくれて、アレンジをたくさん手伝ってもらいました。それで(雰囲気も)ガラッと変わったっす。
―― 曲を健さんに聴いてもらった結果、ボツになったりすることも?
末武 いや、「あんまり手を加えるところがねえな」ぐらいのことも多かったんですよ。オレららしさを尊重してくれたというか。
熊野 たぶん、健さんとしては「こうした方がいいんじゃねえかな?」みたいなこともたくさんあったと思うんです。でも、「これがKUZIRAなんだよな」みたく言ってくれて。
末武 例えば、「Lunch Box」とかは「短くね?」って言われたりもして。
―― 1分半ぐらいのショートチューンですよね。
末武 でも、「これがKUZIRAであって、KUZIRAのやりたいこともわかるからそのままでいこう」って。ホントにオレたちの視点を尊重してくれましたね。
―― じゃあ、関わり方としては引っ張ってもらうというより、支えてもらったような。
熊野 そうっすね。背中を押してくれるような感じだったかもしれないです。
―― そういう意味では自分たちの長所をさらに伸ばせた、みたいな感覚を手にしたようにも思います。
熊野 竜とかは嬉しかったんじゃない?
末武 すげえ嬉しかった記憶がある。
熊野 健さんってバンドをやってる人に対してしっかりリスペクトを持ってるということはわかりつつ、それにしても「このままでいいんだ?」ってことも多くて。もちろん、コードや音に関して「こっちの方がいいんじゃない?」とアドバイスしてくれて、それがバッチリと合うこともあったんですけど、基本的には全肯定というか。僕らの長所を伸ばしてくれたという感覚ががありますね。
―― 制作を振り返ってみて、停滞期みたいなときもありましたか?
シャー:D あったんじゃないかな……自分らでやってる段階のときでしたけど、作ってみたものの「やっぱ、何かちげえな」みたいなのは何回もあった気がするし。これでいいっしょ、ってなったのに、次の日にはしっくりこない、みたいな(笑)。
熊野 それはめちゃめちゃあった。
末武 めちゃくちゃやったもんね、この3年の間。
熊野 だから、「また、この曲のアレンジか……」みたいなときもあったし(笑)。
―― 1曲に対して、何パターンも試していくような。
シャー:D そうですね。めっちゃ前に出来上がったはずの曲をその1年後にアレンジし直す、みたいなこともあったと思います。
熊野 で、「ここは最初の方が良かったよね」っていうことにもなったり。KUZIRAは竜が家で作ってきてくれたモノに対して、スタジオでオレとシャー:Dくんが新しいアイデアを足すみたいな流れで作ってくんですけど、そのときに「ここ、どうしようか?」って10分ぐらいみんな黙っちゃうときもありましたからね(笑)。
シャー:D 選択肢をいっぱい増やして、そこからまた分岐させて、その中でずっと迷ってるような。
―― 試行錯誤を繰り返しながら制作をしていき、健さんからアドバイスも貰う中でこれはいいんじゃないか、と手応えを感じた曲はどのあたりになりますか?
熊野 シングルとして出した曲はそういう感覚があったかも。
シャー:D その中でも「21 Buck」がいちばんあったんじゃないかと思います。
―― 改めてMVも公開されましたけど、これはガラッと雰囲気が変わったという話でしたよね。
シャー:D 1番と2番が入れ替わったりしてて。
末武 「リフでこの音を使ってるから、このコードを入れた方が良い」とか言ってもらいましたね。
熊野 あと、個人的には「Wasted Time」もいい手応えがあって。ゲリラ的にリリースしたんですけど。
―― ライヴで告知して、いきなりリリースって流れでした。
熊野 そうです、そうです。急に物販に置いてある、みたいな。この曲を初めてやったのがその告知をした名古屋DIAMOND HALLのアンコールだったんですけど、初披露なのにお客さんのボルテージが凄く高まって、グッチャグチャになったんですよ。オレら、新曲があんまり盛り上がらなかったりもするんですけど。
―― 近年、どのバンドもそういう傾向があったりしますよね。
熊野 だから、久々の感覚だったというか、初披露であんな風になるのが。
シャー:D ホントにそんな感じでしたよ。
熊野 オレが憶えてる中だと、2018年に『Deep Down』ってアルバムを出してて、その1曲目の「In The Deep」はサーキットイベントかなんかでやった初披露からすげえ盛り上がってたんですけど、それ以来かも、っていう。(「Wasted Time」の)ベースと歌になって速くなったところからグワーッと(お客さんが)なって。
シャー:D なってた、なってた。
熊野 作ってる段階から、わかりやすく提示できるような曲になればいいな、と思ってたんで、それがしっかりできたんですよね、「Wasted Time」は。
interview by ヤコウリュウジ
Vol.02へ続く...
Interview Vol.02
―― では、作品として完成した手応えや印象についてはどうですか?
シャー:D いちばんいいかもしれないです、今回は。8ビートやミドルテンポの曲は僕も大好きなんで。
熊野 そう言えば、シャー:Dくんが(KUZIRAへ)入ってくれるときに「どの曲が好き?」って聞いたら、8ビートの曲を言ってたよね。
シャー:D やっぱ、気持ちいいなって。
熊野 オレはまたちょっと違ったというか。最初、バンドがパワーアップする為にはフロアの盛り上がりが想像しやすい曲が必要なんじゃないかと思ってて。竜にも「速い曲、出てこない?」って言ったりもしてたんですよ。
―― ライヴハウスにおいて、速いビートの曲は突破口にもなりますからね。
熊野 でも、曲が出揃ってみて改めてわかったのは、竜の良さはこっちなんだよな、っていうか。こういう方がメロディーも映えるし。それがKUZIRAの強みなんだなとわからせられちゃったんで、お客さんにもそこを伝えたいっていう考えになりましたね。
末武 制作でめっちゃ悩んでるとき、フェスの打ち上げみたいなので(ELLEGARDENの)細美さんに「お客さんを意識した曲って作るんですか?」って聞いたことがあったんです。そうしたら、「オレがお客さんを意識して作った曲、聴きたいと思う?」って言われて、「聴きたくないな」って(笑)。そこから作りたい曲を作ればいいんだと思い、ホントに作りたい曲をいっぱい作ったって感じなんですよ。やっぱり、2ビートの曲とかを求められるのかもしれないんですけど……そうっすね、自分が作りたい曲を作れたっすね。特に1曲目の「And Dance Going Nowhere」とか。
―― 今回、細かいところまで繊細に気を配ってる感じもあるし、バンドとして凄く進化も感じましたよ。幕開けとなる「And Dance Going Nowhere」もそうくるのか、って思いましたし。
シャー:D これ、1曲目の予定じゃなかったんですよ。録ってみて、めっちゃいいね、となり、これを後ろの方に持っていくのは勿体ないから「1曲目に持ってきたらどう?」みたいな話になって。
熊野 エンディングっぽさもあったんですよね、デモの段階だと。だから、最後を締めくくるの曲かなと思ってたんですけど、竜が「Family」を作ってきて。これ……完全にPIZZA OF DEATHのことなんですよ。「血の繋がりはないけど家族だ」って言ってくれた、みたいなことが書いてある。もう、最後の曲はこれしかないな、ってなって。「And Dance Going Nowhere」はエンディングっぽいけど1曲目だね、と。
―― 作品の1曲目というところだと、昔は速いビートのショートチューンを持ってきてましたよね。そこから『Pacific』では8ビートでKUZIRAのおいしいところを詰め込んだ「Control」になり、今回はさらに広がりを持つ曲になってる。ゆったりとした歌い出しから深く響かせて、シンプルな構成だけどスパイスもしっかり効かせてますよね。
末武 サビで爆発する曲を作りたいなと思ってやったんですけど、作ってるときの記憶があんまりないんですよね。ひと晩で何か気づいたらできてて。
―― そんなにバンドとして練ることもなく?
シャー:D 原型はずっと留めてました。
熊野 これ、デモ120だったね。
―― 120というのは?
末武 仮タイトルで120曲目っていう。全部合わせれば、もっと作ってるんですけど、今回は。
熊野 結局、いくつぐらいあったんだっけ?
末武 2億ぐらいかな(笑)。
一同 ハハハハ(笑)。
シャー:D いつもデモには数字のタイトルがついてて、150とか160まではあったような気がします。
―― じゃあ、ホントに選りすぐりの精鋭たちが収録されてるという。
末武 そうっすね。
熊野 オレらが聴いてないボツのメロディーとか、それはそれでめっちゃあって。
シャー:D 「Don’t Smoke Life Away」はそこから引っ張り出してます。
―― というと、2人でまとめたような。
熊野 そうですね。作曲の合宿でもないんですけど、竜の家に集まって作業してたとき、竜が寝た後もオレとシャー:Dくんで「これはAメロっぽいね」とか、そうやってメロディーをピックアップしていって。
シャー:D それに合わせてビートも作り、次の日にスタジオで合わせてみた、っていう。
―― へぇ、面白いアプローチで生まれた曲なんですね。
シャー:D そのとき、シンプルにしようって考えてたんで、こういう構成になってるんですよ。
熊野 高校生の子が初めて曲を作るみたいな気持ちでやってみよう、って。
シャー:D 終わり方も笑っちゃうようなアレンジですけど、「これだね!」となったし(笑)。
―― 「Don’t Smoke Life Away」って、サビの伸びやかさもいいし、ライヴハウスで鳴らしたら凄いスケール感が出そうだと感じてます。
熊野 オレもめっちゃ好きだし、「なんで、このメロディーがボツになってるんだ?」って思いましたよ。
―― 「Pizza Rocket」はHEY-SMITHの猪狩さんが関わったという話もありましたが、いいノリのある曲ですよね。
末武 熊本の風俗街へ行って、何かずっと彷徨ってたときにPizza Pocketsって店があったんですけど、それが最初Pizza Rocketに見えて。謎のテンションでその語感がめっちゃ気に入ったし、PIZZA OF DEATHにもかかってるし、そのときに口ずさんだメロディーから作っていった曲ですよ。
シャー:D だから、デモの段階から数字に加えて「Pizza Rocket」ってタイトルもついてました。
―― その語感の良さとイメージからこういうポップパンクテイストになっていったんですか?
末武 そうですね、タイトルから決めたというか。で、1曲目っぽいね、ともなってて。
熊野 王道でいくなら「Pizza Rocket」は1曲目になったんじゃないかな。
末武 『Pacific』のとき、(作品として)渋いみたいなことも言われたりしたのもあって、パコンって突き抜けるみたいなことも今回は意識したんですよ。
―― 結果、2曲目のポジションで良かったような印象もあります。
熊野 それしかない、ぐらいしっくりきてます。そう言えば、曲に関してめっちゃ憶えてるのが「Kicks」についてなんですけど、竜が最初に送ってくれたときは「これはAメロとBメロで、まだサビができてないんだな」って思って「この後にいい感じのサビがきたらいいね」って言ったら、「いや、これがサビ」って返ってきて(笑)。
―― 微妙な空気が流れそうですね、それ(笑)。
熊野 で、「あっ……ゴメン」みたいな(笑)。ただ、サビをBメロだと思っちゃったぐらいだし、オレはちょっと弱いかなとは感じてて。竜は物凄く気に入ってるけど、その後も「いや……弱くない?」みたいなことを言い続けてたらいい感じのCメロができたんです。そうしたら、その後のサビもめっちゃ映えるようになって、オレも大好きになりました。
末武 Green Dayってサビらしいサビがなかったりもするじゃないですか。そういうのが作りたかったんですよね。
―― たしかに、「Kicks」のサビはその部分だけ抜き出すとサビらしさはあんまりないですよね。でも、あのギターソロからの流れや歌のニュアンスがあると、凄く引っかかりなるサビになってるという。
熊野 わかります、めっちゃ。あのギターソロも良かったですね。
シャー:D この曲はメロディーを立てる為にドラムは何もしてないんですよ。ホントに邪魔しないよう、フィルもなるべく音数を少なくして。いちばん最後にちょっとだけあえて増やしてるぐらいの感じだし。
―― あと、再始動1発目にもなった配信シングル『Lunch Box』のタイトル曲でもある「Lunch Box」はホントにKUZIRAらしさが全開だなと思いました。
末武 活動休止明けの再出発感が欲しくて、3人の持ち味を出そうと考えたんです。全員ヴォーカル、掛け合い、シャー:Dくんにはめっちゃ派手なドラムのフィルもお願いして。で、(曲としても)短いっていう。
―― たしかにこのドラム、ガツンときますよね。
シャー:D 嬉しいっす。
熊野 ただ、活動再開のスタートになる曲は結構悩んでて。「Lunch Box」はそのシングルの1曲目ですけど、オレから歌い出してるんですよね。
―― そうですね。熊野さんから始まって、末武さんが追いかけてくるっていう。
熊野 バンド的に考えたら竜から始まった方がいいんじゃないかと思ったり。でも、あえてオレから歌い出して、シャー:Dくんにも派手なドラムを叩いてもらって、サビは竜がメロディーでガツンとくることで3人でやってるバンド感が出るのかな、って。
―― 2回目のAメロとか、めっちゃ派手なドラムを叩いてますよね。
シャー:D あそこですね、「何かやってください」って言われたの(笑)。
末武 あぁ、そうだった(笑)。
―― ああいうアクセントがあるから、AメロとBメロをただリピートしてるように聴こえないんですよね。
末武 それはどの曲でも意識してるところですね。1番と2番で同じことをしない、っていう。
熊野 健さんにも言われたね、「KUZIRAは同じことを繰り返さないよね」って。
―― 同じフレーズでリピートしても成り立つんでしょうけど、そこに甘えないんですね。
末武 もし、同じになるぐらいだったら2番はなくしますね。
熊野 諸説ありますけどね。同じことをやった方が耳に残りやすいんじゃないか、とか。でも、それは意味がないと思ってるし、削ぎ落としていくのがKUZIRA。あんまり平坦にならないように、っていうか。
―― 個人的に「Girl」もいいなと思ってて。
末武 シングルにしよう、みたいな案もあった曲ですね。2000年代のポップパンクを意識して作りました。
―― でも、そこを絶妙になぞってはいないですよね。KUZIRAらしい外し方もしてるし。あと、締めくくりのラララ〜♪ってところも下手するとダサくなりそうというか、いなたくなりそうなんですけど、この曲だとしっくりくる感じになってます。
シャー:D あぁ、そうっすね。そういうところだと1サビの始めと終わりのドラムもちょっといなたくなりがちだけど、あえてやって上手く落とし込めたかなと思ってます。
interview by ヤコウリュウジ
Vol.03へ続く...
Interview Vol.03
―― 「21 Buck」は重みのある1曲だなと感じました。
熊野 竜が留置所から出てきて、その翌々日ぐらいかな、「21 Buck」と「Family」がポンって送られてきて。書けて良かったなと思ったし、竜にもそう伝えました。
末武 スマホは触れないんで、その2曲はもう忘れないようにずっと頭の中でリピートして染み込ませて、出た後にすぐ送った気がします。
―― 頭の中で完成させて、それを音にすぐ起こしたみたいな。
末武 そんな感じっす。中でノートは買えるんで歌詞を書くことはできるんですけど、持って出ることができないんで、それは熊野へ郵送して。
熊野 オレん家に手紙が届きましたね。
―― 歌詞の話だと、やるべきことや自分の存在価値を見つめ直すという気持ちが滲み出てる曲が多いと思いました。
末武 そうっすね……結構、捕まったこと、去年アメリカへ2週間ぐらい行ったこと、その2つが大きくて。変わりましたね、歌詞は。
―― 『Super Spin』のときは怒りが根底にあって、『Pacific』では守りたいモノがあるからこそ怒りは生まれるんだというところから平和へ目を向けてて。今回は自問自答した先の決意を感じたんですけど、それは自然に出てきたモノだったんですか?
末武 本心というか……うん、自然でしたね。スラスラと出てきたモノが多かったです。
―― 「Lunch Box」でも<Have a feeling now's the time to change/Time to give back the love(今こそ変わる時が来たんだ/愛を返していくんだ)>という言葉があったり。なかなか口に出せない、気恥ずかしさもあるメッセージにもグッときましたよ。
熊野 たしかに今まで竜がそういう歌詞を書いてたとしても……オレ、10年ぐらい竜と一緒にいますけど、話してて後ろに本体がいるような、その本体が目の前にいる竜を操っているような感覚もあったんです。でも、今はホントに思ってるんだな、というのがめっちゃ伝わってきてて。
末武 そこは英語の歌詞で歌ってる理由のひとつでもあるというか。日本語だと照れくさいけど、英語ならストレートに伝わらない分、素直に書けるし。それが今回は多いですね。
―― シャー:Dさんもそこは良かったなと思うことも?
シャー:D ありますね。上手く言葉にしづらいんですけど……ちゃんと糧にできてるというか。
熊野 ホントにたくさんの人がフォローしてくれたんですよ、バンドマンも関係者も。
シャー:D こんなにバンドのことを思ってくれる人がお客さんにもいるんだな、って改めて気づかされたところもあったし。
―― そういったところはお二人の方が感じてるのかもしれないですね。
熊野 ああいう状況になったとき、竜はスマホを見れる状態じゃなかったですし。オレらはすげえそれを目の当たりにしてて。飛ばしちゃったイベントへ挨拶に行ったりもしたんですけど……FOMARE大陸へ行ったとき、ホントはハッピーなイベントにしたかったはずなのにしんぽん(アマダシンスケ)とかすげえ言葉を選んでて、苦しそうなライヴもさせちゃったし。同世代のハルカミライも明言はしないけど、「一度の失敗で終わりになる世の中は嫌だな」と言ってくれたり、直接的な絡みがなかったSaucy Dogもオレらについて触れてくれてて、愛されてるなって感じましたよ。
末武 そういった話をずっと面会のときに聞いてました。
シャー:D SHANKもまったく関係ない北海道のライヴでオレらのことを話してくれてたり。
―― SHANKはZepp DiverCityのライヴでも触れてましたね、「待ってるよ」って。
熊野 他にも、dustboxのKOSHIROCK GALAXY 2024へ出演できなくなって、その穴埋めをしてくれたのがSUGAさんの弾き語りだったんですけど、そこでオレらのカバーをしてくれてて。その動画をJOJIさんが「待ってるよ」という言葉を添えて送ってくれましたね。
―― もう判決が下されたことだから、とは簡単に言えないでしょうけど、まずはそういった気持ちに応えていくしかないですよね。
末武 音楽を作ることでしか返せないですし、意識も凄く変わりました。
―― リリースツアーも控えていますが、最近のライヴに関してはどう感じていますか?
末武 意識してるわけじゃないんですけど、「風格が出てきたな」みたいなことも言われたりして。
シャー:D あぁ、言われるね。「大きいステージが似合うようになってきた」とか、この前のFREEDOM NAGOYAでもそういう話をしてもらったり。
―― 何かキッカケがあったり、やり方を変えたりということは?
末武 というのは、特にないんですよ。
シャー:D こうしよう、って変えたところもないし。バンバンやったのが良かったのかな、ツアーを。
熊野 でも、たしかに……逮捕されて大炎上してお客さんが誰もついてこなくなって、となったとしても、DIAMOND HALLでやれないならZionでやればいいんじゃないか、って。ポケモンとか1回クリアして、また最初から始めても面白いんですよ。KUZIRAがやってきたことが全部無駄になるわけじゃないし、今まで戦ってきた曲もあるし、これから出す曲もあるし、全部なくなってもまたイチからやろうよ、みたいな気持ちになって。そういったところでよりひとつになった感じはあったと思うんですよね。
―― 覚悟がさらに決まったような。
熊野 そうですね。だから、そういう部分がいい方向に出てるのかもしれないです。ホントにいろんな人のおかげなんですけど、ありがたく迎え入れてもらってて。お客さんが離れたっていう感じもないし。それどころか、もっと色が濃くなった感じすらある。すげえ聴き込んでくれたのか、以前より盛り上がるようになった曲も多かったり。
末武 たしかにそれは感じますね。
―― 今年2月から4月にかけて、改めて気持ちを伝える再出発ツアーをやりましたけど、まだまだ会えてない人たちもいるわけで。そういった人たちにも会いに行く、より強い気持ちを持ったツアーになりそうですね。
熊野 今回のツアーで決めてることがあって。できるだけ寝ないでようと思ってるんですよ。
―― というのは?
熊野 ツアーでは一緒にやりたいし、もっともっと仲良くなりたいバンドを誘うじゃないですか。で、そういうバンドと朝日が昇るまで一緒に過ごすと仲も深まるし、その街のこともより好きになるんですよ。前乗りをしてたら、竜はノドのこともあるし、あんまり出歩けないかもしれないけど、オレとシャー:Dくんは寝ずに遊んでくれるバンドがいたら、最後までいって、思い出を作っていきたいし。そうしたら、その街でやるライヴにも当然気合いが入る。今回、47都道府県ツアーになるんで、すべての場所でその思い出が作れたら、もうどこでも気合いが入りまくることになるじゃないですか。ただ、オレはそこまで体力がないんで(笑)、できる限りって感じではあるんですけど。
シャー:D 今、完全にオレも巻き込まれました(笑)。
一同 ハハハハ(笑)。
熊野 シャー:Dくんは疲れないんで大丈夫です(笑)。
―― 新日本プロレスの棚橋弘至みたいなことを言ってますけど(笑)、そうやってすべての土地を特別な場所にしたい、っていう。
シャー:D あと、これまでのライヴでちょっと悔しかった場所もあるので、それは上書きしたいですね。動員的にも内容的にも、ですけど。
―― しかし、47都道府県ツアーですからね。体力的にはもちろん、精神的にもたいへんなツアーにはなると思います。
末武 地方の人から「来てください!」ってすげえ言われるんですけど、その気持ち、オレも岐阜に住んでるからわかるんです。やっぱり、自分の地元に来て欲しいし。だから、47都道府県、そんなに言うなら行くよ、と。で、自分も(岐阜に)来いよ、とも言いたいです(笑)。
熊野 それって、対等じゃないですか。
―― お互いに地元へ行く、っていう。そこで生まれる想いはまた格別だと思います。
熊野 オレらだったら、岐阜ANTSに来てくれるバンドのこと、何か好きになるんですよ。SHANKをめっちゃ好きになったのもANTSにすげえ来てくれてたからな気がするし。音楽をCDで聴くにも好きですけど、地元に来てくれたらライヴを観れるわけで。どんな人たちがやってるのか、っていうのを知るともう一段階好きになるんです。今の流れを否定するつもりもないんですけど、東名阪だけでツアーを済ませちゃうバンドも多くて。
―― 近年、特に増えましたよね。細かくいろんな土地へ行くんじゃなく、ある程度の範囲をカバーできる大きな会場でやる、みたいな。
熊野 東京みたいな都市でやってるバンドがそうするのは理解できるところもあるんですけど、ローカルでやってるオレたちがやることじゃない、というか。ローカルの強みも知ってるつもりだし。名古屋だけじゃなくて岐阜にも来て欲しいと思ってるオレらだからこそ、九州も福岡だけ行って終わりじゃなくて、全部の県に行きたいと思うし。例え、人が入らなくてもそうしなきゃ、とずっと思ってるかもしれないですね。
―― その街、ライヴハウス、対バン、お客さんともう一歩も二歩も近くなって、作りたい関係性や景色を形にするツアーになりそうですね。
熊野 ツアーって、仲間を作りに行くわけじゃないですか。『Pacific』ツアーのときって、全部がグレーだったんです。自分たち次第で白にも黒にもなる状態。オレたちはマス目から動かずに声を出さずにやるんじゃなくて、やっぱりみんなの感情やグワッとなるフロアが見たいけど、っていう。
―― あの時期は微妙でしたよね。
熊野 というところで、ライヴハウスの人たちに「気合いの入ったお客さんがガッとなっちゃうかもしれないです」と話をしてたんですけど、それはその街で守ってきたモノを壊しちゃう可能性もある。別にそこを壊したいわけじゃないから、これ以上はやめてくれ、っていう段階になったら照明を落としてもいいし、音を止めてもいい。そこからオレたちがどうにかコントロールするんで、見逃せるところは見逃してください、と伝えてたんです。そうしたら、どこのライヴハウスにもパンクの精神があるんでしょうね、1回も止められることがなくて。それはデカかったですね。そこで深まったモノもあるし、こういうことをやっていかないといけないんだ、って。だったら、もう47都道府県、全部行った方がいいわけだし。北海道でも6本とかやりますしね。
―― 今どきって言ったらあれですけど、かなり珍しいですよ。
熊野 もう、行ったことがないところはみんな行こう、みたいな。北海道のバンドも好きですし、竜のモチベーションも凄く高かったし。ただ、今になって竜は後悔してますけどね、ライヴ入れ過ぎた、って(笑)。
一同 ハハハハ(笑)。
シャー:D 9月とかヤバいっすからね。
熊野 たぶん、1週間ぐらいしか自分の家にいないっす(笑)。もう今年は他に予定を入れれないぐらいになってますね。でも、たくさんライヴしたいんですよ。
末武 したい!
―― KUZIRAというバンドにとって、ターニングポイントになるツアーかもしれない。
熊野 そういう年にしたいっすね。あと、ちょっと最後に言いたいのが、竜が今までだったら絶対に言わないようなことを最近のライヴで言うようになってて。ずっと頑張れとかやればできるとか、そういうメッセージの曲を竜は書いてきてなくて。
―― ただ応援するみたいな曲は嘘っぽくて好きじゃない、っていう話でしたよね。
熊野 そういうのは無責任だし、(曲は)自分の為にすべて書いてるっていう人間だったんですけど、たくさんの人から愛されてる実感を得て、みんなの為にも歌いたいって言うようになってきてて。それはめっちゃ変化だな、と。
末武 別に頑張れとか夢は叶うとか言いたくないんですけど、何だろう……バンドって答えを教えるモノじゃないと思ってて。困難や難題を解決する力はバンドにはないだろうし。ただ、問題提起というか、考えるキッカケになって後は自分次第みたいなことはできる。そうなってくれたらいいな、とは思うようになったんですよ。
―― 自分たちが音楽やバンドを好きだからやってることに変わりはないんでしょうけど、それを一生懸命にやった結果、誰かの何かの為になったらいいな、という。
末武 あぁ、そんな感じかも……「And Dance Going Nowhere」みたいなことですね。
interview by ヤコウリュウジ

![KUZIRA 3rd ALBUM [Smoke Life Away]](./assets/img/fv-title.png)


![KUZIRA 3rd ALBUM [Smoke Life Away] 2025.07.23(水)発売! Code: PZCA-114 / Price: 2,500yen(+tax)](./assets/img/release-meta.png)










![KUZIRA 3rd ALBUM [Smoke Life Away] Official Interview](./assets/img/ttl-interview.png)