(Mon)
渋谷CLUB QUATTRO
GUEST : HONEST
横山とMinamiが各楽曲に対する思いや解説をつづった
1万8000字におよぶライナーノーツが付属
Ken Yokoyama 「The Golden Age Of Punk Rock」の発売を記念して、レーベルキャンペーン「PIZZA OF DETH キャンペーン2024」の開催が決定!
キャンペーン対象店舗にて、2024年10月16日発売のKen Yokoyama「The Golden Age Of Punk Rock」とキャンペーン対象商品を1枚の計2枚を同時に予約購入の方に先着で「PIZZA OF DEATH折り畳みミニコンテナボックス」をプレゼント致します。
これまで実店舗でしか開催されていなかったレーベルキャンペーンが、Amazon(CD商品のみ対象)、タワーレコードオンラインでも開催が決定した今回のキャンペーン、この機会をお見逃しなく!
8月22日(木)19:00~10月20日(日)23:59まで
■タワーレコードオンライン / タワーレコード全店
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■Amazon.co.jp
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[PIZZA OF DEATH折り畳みミニコンテナボックス]
キャンペーン対象の商品は以下よりご確認ください
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渋谷CLUB QUATTRO
GUEST : HONEST
福岡 DRUM LOGOS
GUEST : BURL
岡山 CRAZYMAMA KINGDOM
GUEST : BURL
松山 WStudioRED
GUEST : GOOD4NOTHING
新潟 LOTS
GUEST : SHANK
仙台 RENSA
GUEST : SHANK
川崎 CLUB CITTA’
GUEST : OVER ARM THROW
大阪 GORILLA HALL
GUEST : DRADNATS
名古屋 DIAMOND HALL
GUEST : DRADNATS
江の島 OPPA-LA
ONEMAN
渋谷 Spotify O-EAST
GUEST : STOMPIN' BIRD
全公演共通前売4,800円
―― 横山さん自ら書かれたライナーノートによると、THE STAR CLUBが1987年にリリースした『GOD SAVE THE PUNK ROCK』という70’sパンクのカバーアルバムが、『The Golden Age Of Punk Rock』を作るインスピレーションの1つになったそうですね。THE STAR CLUBは『若き暗殺者』とか『SHUT UP』とか、高校生の頃よく聴いていたので、彼らの名前を目にして、とても懐かしかったです。
そうなんですか。
―― 当時、新宿LOFTがまだ小滝橋通りにあった頃、ライブを見に行ったことがあるんですけど。
へぇ~。
―― 前座のALLERGYが終わって、THE STAR CLUBが出てきたら、観客が盛り上がりすぎちゃって、後ろからどんどん押されて、前のほうからステージに上がらざるを得ない状況になっちゃったんですよ。そしたら「演奏できるか!」ってメンバーが怒って、2、3曲やっただけでライブが終わっちゃったんです。
そのエピソードは聞いたことがありました。THE STAR CLUBだったんですね。
―― ご存じでしたか。今思えば、ステージとフロアの間に柵もなかったし、「下がってください!」って言うスタッフもいなかったし。
だって、当時はそういうセキュリティ云々がまだ整備されていない時代ですもんね。
―― 最後にドラムのNO FUN PIGさんが怒鳴りながら、ビールか何かの缶をフロアに投げつけたっけとライナーノートを読みながらそんなことを思い出しました……といういきなり余談、それも僕個人の思い出を喋ってしまってすみません。
でも、僕の口からTHE STAR CLUBの名前が出てくるって意外かもしれないですよね。
―― そうかもしれません。
やっぱりHi-STANDARD時代から海外のバンドとコネクトしているイメージがどうしても強いと思うし、自分自身でもTHE BLUE HEARTS以外の日本のバンドの名前を引き合いに出したという記憶はあんまりないんですよ。全然ないってことはないですけどね。エレファントカシマシとか、好きなバンドはいたんで。
―― THE STAR CLUBのメンバーとは面識はあるんですか?
一緒にライブしたことはないですけど、THE MAD CAPSULE MARKETSのサポートをやってたギターのTORUxxxさんとは、会えばちょこっと話します。ボーカルのHIKAGEさんは僕らが使っているスタジオにたまにいらっしゃるんですよ。1年に1回、会うか会わないかですけど、お会いした時はご挨拶させていただきます。
―― なるほど。興味深いお話が聞けました。さて、今回、90’sパンクのカバーアルバムをリリースする動機や理由については、前述したように横山さんがご自身でライナーノートに書かれているので、ここでは改めては訊きませんが、代わりに横山さんと90’sパンクの出会いについて教えてもらえないでしょうか? もしかしたら、これまで何度もお話されているかもしれませんけど、この機会に改めて聞かせてください。
僕は1991年にハイスタを結成したんですね。その時、自分達の発想で、当時どことも似ていないと思えるようなパンクを鳴らし始めたんですよ。だから、90’sパンクのバンド達との出会いってなると、また別の話ですけど、90’sパンクそのものとの出会いって、ちょっとファンタジックな言い方になるけど、たぶんハイスタで初めてスタジオに入った瞬間じゃないですか? 今回のカバーアルバムにラインナップされている中には、当時すでに活動していたバンドもいるけど、僕が知ってたのはSnuffだけでした。
―― つまり、自分達で新しいスタイルのパンクを鳴らし始めた後に今回、カバーしているようなバンドも聴くようになったわけですね。どんなところに魅力を感じたのか聞かせてもらおうと思ったんですけど、同じようなことをやっているバンドが他にもいるんだという感覚もあったのではないですか?
そうですね。まだ形になってないバンドも含めて、同時多発的にそういう音楽的なアイデアを持った若者がいっぱいいたんでしょうね。僕達はメンバーそれぞれに別々のビジョンを持ってたんですよ。ツネちゃんからはそんなに聞いたことはないけど、ナンちゃんはちょっとイギリスのビートバンドっぽいことをやりたがってましたね、元々は。僕はちょっとアメリカンなスラッシーなものをやりたかった。ハイスタはそれの掛け合わせだったんですけど、ツネちゃんは結成当時まだ2ビートがあんまり叩けなくて、「そこにさ、1個バスドラを入れたらどうなる?」とかって僕らが言いながら、練習してました。Dischargeの、いわゆるDビートってものはこの世に存在してたんですけど、そこにキックをもっと多く入れるビートは、今ではもう誰でもじょうずにできると思うんですけど、当時はまだなかった。なので、自分達で開発して、ギターのストロークも、僕はもうBPMが速いと、ダダーダ・ダダーダって弾くんですけど、それってズンダズンズダン・ズンダズンズダンの省略形なんです。そういうことを、こうやったら速く弾けるんだとか、こうやって弾けばいいのかとか、自分達で発見していったって感じなんですけど、たぶん世界中のバンドが同じような経験をしたんじゃないかって気がします。もちろん、DESCENDENTS、NOFX、Bad Religion、Snuffといったちょっと先輩のバンドは別ですけど、すごくおもしろい経験をしたと思うし、今でもいろいろなことを憶えてますね。
―― そういう新しいパンクロックのスタイルを広めて、定着させたという自負もあるし、そういう90’sパンクがもう一度盛り上がってほしいという思いもあるしという。
いえ、盛り上がりに関しちゃ、それはそんなに思ってないんですよ。言ったら、メロディックパンクってもう古すぎて失笑されちゃうぐらいの音楽だと思うから、90’sパンクにとって、いい時代がもう一度、来るとは思ってない。だから、それは考えてないです。でもまぁそれもわかんないですよ?僕は80年代末の、時代遅れすぎてパンクが好きとは恥ずかしくて言えない時期を体験してますから。期待はしてませんが、なにが起こるかはわかんないですよ。ただこのアルバムに関しては、少なくともKen Yokoyamaの、ハイスタではなくてね、Ken Yokoyamaのルーツには、こういうバンド達がいるんだよってことは、僕達のライブに来るお客さんには教えてもいいんじゃないか。そんな気持ちで作りました。実は僕もどっぷりこの中の人間なんですよ。だって、今回のアルバムでカバーしたバンド達と鎬を削ってきたわけだから。
―― あー、そうか。そうでしたね。
僕らがいい時代を過ごした90年代の音楽って、こんなにかっこいいんだぜって気持ちは当然ありますけど、この楽曲達をこういうまとめ方して、世の中にぽんって提示できるのは、僕しかいないっていう自負もあります。他人では出ない説得力があるんじゃないかって思います。
―― なるほど。今、Ken Yokoyamaのライブに来ているお客さんの中にももしかしたら、90’sパンクを聴いていない人達はいるかもしれない。そういう人達に90’sパンクを聴いてもらって、どんなふうに感じてほしいと考えていますか?
Ken Yokoyamaというバンドの源流がここにあるということを伝えたいんです。そういう行為って、最近、少なくなったと思うんですよね。インタビューで語ることはあっても、こうやって作品としてバンと力強くステートメントとして出すことってないと思うんですよ。そこを見てもらいたい。つまり、僕としてはお客さんに音楽をディグってもらいたいんです。だから、今回のアルバムに対して、どう思ってもらいたいかということよりも、その行為を誘発することのほうが大事と言うか。
―― それはライナーノートにも書かれていらっしゃいましたね。
だから、このアルバムを聴いて、あらぬ方向に行っちゃってもいいんですよ。
―― あらぬ方向、ですか?
どういうことが考えられるかな。そうだな。たとえば、Less Than Jakeの曲がかっこよかったと聴いた人が思ったとするじゃないですか。
―― はい。
それで、これはスカコアって言うんだって知って、そこからスカコアを聴きあさって、そのうちにオーセンティックなスカにハマっちゃって、2トーンの人間になっちゃってもいいんですよ。とにかく、そんなふうに音楽を芋づる式にディグって、自分のカルチャーとか、ライフスタイルとかをもっと音楽主導で作っていってもらいたいんです。
―― 最近、サブスクの影響なのか、音楽を聴きながら、何て言うのかな。横には広がるんですけど、深くルーツを辿っていくみたいな聴き方があまりされていないような気がして。
僕もそう思います。文章としてもないんですよ、最近は。昔はミュージシャンのインタビューでも、音楽評論家の文章でも必ずと言っていいほど、古い音楽と紐付けるところがあったんですけど、今はそこがすごく軽視されてると思うんですよね。そもそも、みんな、自分の好きなバンドのルーツがどこにあるのか気にしてないでしょ。たとえば、最近人気のバンドって言ったら誰がいるかな。うーん、サバシスターしか思い浮かばない(笑)。海外でもいいか。じゃあ、たとえばMåneskinって日本でも人気があるじゃないですか。でも、彼らがどういった音楽を好んで、現在のサウンドやアティチュードになったのかってことは以前のバンド達ほど注目されてないですよね。
―― つまり、自分の好きなバンドのルーツをディグるような音楽の聴き方が日本における音楽の聴かれ方を豊かにすると横山さんは考えている、と?
はい。これは音楽に限らず、当然のことだと思いますが。みんなそんなにヒマじゃないと思いますけど、そういうものを1人1人がやるべきなんですよ。音楽が好きだと言うのならば。
―― SNSでバズっている音楽だけを聴いているだけではもったいない、と。
TikTokか何かでビュッと使われて、それに合わせて踊って、何万回再生とか、そんなんで喜んでんじゃねえよって思いますけど、それがその人達の楽しみなら、別にいいんですけどね。
―― いや、本当にそうなんですよ。別にいいんですけどね(笑)。ただ、少なくともKen Yokoyamaのファンには、さっき言ったような音楽の聴き方をして、そこに何らかの哲学を見つけてほしい。そういう思いを込めたカバーアルバムだ、と。
そういうことですね。
interview by 山口智男
Vol.02へ続く...