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![HONEST 2nd FULL ALBUM [Going Growing]](./assets/img/pzca115.jpg)
SUMMER OF DEATH 2025

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2025年5月30日(金)22:00〜8月31日(日)23:59 まで
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― Interview Vol.01
―― 前作『HONEST』もメロディックパンク的アプローチに留まらない作品ではありましたけど、新作『Going Growing』はその懐がもっと深くなった印象あります。いろんな音楽や経験を食らってきたんだろうなとは思いますが、まずはその手応えについて教えていただけますか?
樋口浩太郎(G/Vo) 前作を発売してから新しい音楽をいっぱい知って、その中でも特にハードコアやポップパンクをたくさん聴くようになったんですよね。音楽の経験も増えていき、書きたいのが2ビートとか速い曲だけじゃなくなってきてて。あと、新曲はアメリカへ留学してるときに元ネタを作ってきたんですけど、留学してる間もライヴを観に行ったり、現地の友達と遊んでたりして。そこで自分が表現したい世界観が固まってきたのもあり、今回は作品としてちゃんと成長した姿が見せれたのかなと思ってます。
夏目拓実(Dr) 曲もそうですし、ドラムにおいてもパワーアップしてると感じてて。やっぱり、前作の段階だとバンドや音楽に対しての知識が足りなかったけど、そこからいろんなモノを吸収していったんですよ。それもあって、メロディックっぽくないフレーズも入れたり、自分の好きなようにいろいろやれたと思ってますね。
―― 新メンバーである岸田さんは加入から半年でフルアルバムの制作という慌ただしさもあったかと思いますが、出来上がってみていかがですか?
岸田奈央人(Ba/Cho) 練習も含めてやっていって、これでいいのか、っていう探り探りなところから始まったし、いざレコーディングしてみても正解なのか正直わからないところもあったんです。
―― 必死にでやっていたが故、客観的な判断ができなかったような。
岸田 ホントにそうでしたね。ただ、達成感は凄くあって。もともと前作もずっと聴いてたんで、2ビートだけじゃなくていわゆるメロコアから脱したカッコいい曲もいっぱいあったし、やってて楽しかったです。
―― というところで、新加入となった岸田さんが何者かというのを教えていただきたいのですが、もともと繋がり自体はあったんですか?
樋口 いや、まったく繋がりはなくて、ハードコアバンドをやってる共通の知り合いを介して紹介してもらったんですよ。いろんな人の力を借りて新メンバーを探してるときに、大阪に同い年のベーシストがいるよ、って。
岸田 ある日、たまたま遊んでたらその知り合いにあって、「ベースを探してるバンドがあるんやけど」と言われて「どんなバンドなん?」と聞いたら、まさかのHONESTだった、っていう。
―― HONESTのことは知ってたんですね。
岸田 知ってましたし、何ならファンでした(笑)。
樋口 大阪のライヴとか遊びに来てたみたいです(笑)。
岸田 だから、最初はビックリしましたね。とりあえず名古屋へ行って3人でスタジオに入ったんですけど、そこで意気投合しまして。名古屋へ行くたび、スタジオ以外でも一緒に遊んだり、夜の海へ行ったり(笑)。
樋口 行ったね(笑)。
―― 青春の1ページじゃないですか、それ(笑)。
岸田 ベースのプレイやコーラスに関してはまだまだの部分が多いと思うんですけど、人間的に凄く仲良くなって、そこで選んでもらえたんじゃないかな、って。
―― マインドが合わないヤツとは一緒にやっていけない、みたく樋口さんは話されてましたよね。
樋口 そう言ってたと思うんですけど……そんな尖った言い方してましたっけ?(笑)
一同 ハハハハ(笑)。
―― 言い方はディフォルメしてるかもしれないですけど(笑)、気持ちが通じてないとバンドはやれない、という話をしていたな、と思って。
樋口 どうしても同じ方向を向かないといけない部分があると思ってて、バンドでは。ひとりが別の方向を向いてるだけで動けなくなっちゃうし、仲の良い友達だからこそ、できることもあると考えてて。
―― たしかに人間的な部分で通じ合ってるからこそ、乗り越えられる場合もありますよね。
樋口 だから、まず(岸田)奈央人と初めて会ったときは技術がどうこうじゃなくて、どこまで仲良くなれるか、みたいなことを考えてたんです。そうしたら、奈央人は大阪の人だからなのか、すげえ接しやすく、どんどん仲良くなったんですよね。
―― 岸田さんはそれまでどんなバンドをやっていたんですか?
岸田 メロディック寄りのバンドをやってたんですけど、趣味程度というか、そんなに目立った動きはしてなかったんですね。かと言って、新しいバンドを探してるわけでもなく、この話があるまでは「就職するんかな?」と思ってたぐらい。今はもう全然就職は考えず(笑)、バンド全振りでやってますね。
―― 少し振り返ったことも聞きたいんですけど、前作が初めての正式音源でフルアルバム、しかも樋口さんがパンクロックを知るキッカケにもなったPIZZA OF DEATHからのリリースということもあり、反響も大きかったと思います。
樋口 大きかったですね。ツアーも当時の自分たちとしてはいちばん集客もできたし、盛り上がりました。
夏目 ただ、僕はバンドについてまだ知らないことだらけだったし、不安やプレッシャーも感じてて。いっぱいいっぱいなところもありましたね、当時は。
―― コロナ禍が明けて、通常運転となったライヴハウスを経験してみた感想は?
樋口 「こういう感じなんだ!?」って。オレがライヴハウスへ行き始めたところはもうコロナ禍だったし、ダイブとかモッシュを見たことがなかったんですよ。だから、実際に目の当たりにすると「危ない!」って思ったりとか(笑)。
一同 ハハハハ(笑)。
樋口 でも、やっとそれに触れることができて嬉しかったです。
―― そのリリースツアーのタイトルが“Create New Values”。日本語訳をすれば“新しい価値観の創造”となりますが、HONESTがバンドとして掲げるテーマにもなりました。
樋口 コロナ禍にひとりでギターを弾き始めて、HONESTが徐々に出来上がっていく中で出会ったTURNSTILEが“TURNSTILE LOVE CONNECTION”っていうテーマを掲げてて。他にも自分の好きなバンドはそういったことをしてることが多かったんです。自分たちで広げていく、という考えを貫いてるのがカッコいいと思ったし、じゃあHONESTがやっていきたいことは何だろうと考えた結果、新しい価値観を作りたいと気づいて。
―― その新しい価値観というのは?
樋口 メロディックパンクとか、そういうジャンルに縛られるんじゃなくて、自分たちがカッコいいと思うバンドはもちろん、いろんな表現者と繋がっていくことでHONESTはHONESTとして見られたい、そう考えて掲げたのが“Create New Values”なんですよ。
―― バンドとしてやっていきたいことがわかりやすく言語化できたような。
樋口 そうだと思います。そこで思いついたっていうより、ずっと感じてたことだったし。
―― それはバンドで話し合って決めたんですか?
樋口 いや、僕が勝手に言い出しました(笑)。
一同 ハハハハ(笑)。
夏目 知らない間にツアータイトルは決まってましたし(笑)。ただ、自分もいい言葉だと思ったんで。
岸田 (樋口)浩太郎は言うこと、言うことがカッコいいんですよ。ワードセンスもいいし。
―― 岸田さんは加入する以前からHONESTにはそういった匂いというか、何か生み出そうとしてる雰囲気は感じてましたか?
岸田 そうですね。前作を聴いて、友達から「樋口くんって同い年らしいよ」って教えてもらったときは「マジかよ!?」ってなりましたし。新しい時代というか、ここから音楽シーンを作っていくんかな、何なら作って欲しいなと思ってたぐらいやったんで。
―― 前作から考えると、今回の新作まで結構時間がかかりましたよね。今って短いスパンで1曲1曲を配信したり、MVを作ったり、とにかく動いてる感を出すのはスタンダードじゃないですか。そういったところで焦りを感じることはありませんでしたか?
樋口 めちゃめちゃ感じてたんですけど、アルバムってひとつの芸術作品だと思ってて。まあ、自分で芸術って言うのは口幅ったいところもあるんですけど、自分の人生を詰め込むモノじゃないですか。そう考えるとポンポン出して、バンドの動きを見せて、お客さんの目を気にして、売れる為に売れる為に、みたいなのは商業主義的というか。そういうと敵が増えるのかもしれないんですけど。
―― いやいや、わかりますよ。ビジネス的成功を優先しすぎて中身が追いつかないという場合も多いですからね。
樋口 そういうやり方じゃなくて、ちゃんと音楽と向き合って考えて、自分たち自身が納得できたときに出す。それが音楽に対していちばん誠実なんじゃないかな、とも思ってますね。
―― また、新曲に関するネタはアメリカへ留学してた際に作ったというお話でしたけど、そもそも留学は個人的に知見を広める為だったんですか? それともバンドとリンクしてたような?
樋口 バンドとリンクしてました。今、大学で英語を専攻してるんですけど、それも英語で歌詞を書くからですし、留学したいと考えたのも「いい曲が書けそうだな」と思ったからなんですよね。現地でライヴもいっぱい観て、友達も作って、そういうのも活かせるだろうし、って。
―― ただ、どうしてもバンド活動が止まる期間にはなってしまうじゃないですか。そういったところに対して夏目さんは不満もなく?
夏目 いや、そういうのはホントになくて。やっぱ、(樋口は)TURNSTILEとか、そういう海外のバンドやカルチャーから刺激を受けたりもしてたから、現地へ行けばバンドや曲に活かせる経験を積んでるだろうな、って思ってましたね。
―― 実際、新作は前作以上の広がりを持つ内容になりました。いい意味で欲張りセットみたいな感じもあります(笑)。
樋口 ハハハハ(笑)。でも、たしかにそうですね。
―― ミドルテンポの曲が増えたというだけじゃなく、メロディックチューンの中にハードコアなアプローチを取り入れていたり、軽快なポップパンクが鳴らされていたり、引っかかるポイントが散りばめられていると感じました。こういった広がりは当初からの想定通りなんでしょうか?
樋口 ちゃんと考えて「ここはこうしてみよう」みたく作ったところもあるんですけど、アメリカでライヴを観て、すげえなって感じたままギターを弾いて作ったりもしてたり。たくさんいろんな音楽に触れ、「これもカッコいい」や「あれも好き」みたいなのが増え、好きが広がった結果、自然とそういう曲も書けるようになったのが大きいかなと思ってます。
夏目 それこそ、アメリカから新曲のネタができるたびに送ってきてくれてて。この新作に入り切らなかった曲もいっぱいあるんですよ。
―― ただ、留学をしていたのって2023年夏から年末まででしたよね。そう考えると、リリースまでは結構時間がかかりましたよね。
樋口 そうですね。ホントは昨年の夏ぐらいにレコーディングして、年末には出してツアーも、と考えていたんですけど、メンバーの脱退や奈央人の加入。そういう状況の変化で時間がかかってしまったところもありますね。
―― となると、岸田さんと一緒に音を鳴らすようになってから、新曲も詰めていったような。
樋口 そんな感じでしたね。去年の夏かな?
岸田 新曲へ取り掛かった時期で言えば、昨年の10月ぐらいですね。
―― 前ベーシストの脱退がバンド内で決まり、新メンバーを探さなきゃ新曲の制作が進められない、みたいな。去年は去年でバタバタしてたんですね。
樋口 夏目と「どうしようか?」みたいな話もよくしてて。
夏目 新メンバーを探して、一緒にスタジオへ入った人もいたんですけど、結局いろいろあってダメになったり。バンドとしてたいへんではありましたね。
―― 岸田さんは正式加入に向けて既存曲も覚えつつ、新曲の制作も始まっていったような。
岸田 だから、めっちゃエグかったです(笑)。トータルでまず30曲近く一気に覚える、みたいな感じやったんで。尚且つ、これはHONESTの中では有名なんですけど、樋口進行っていうコード進行があって。それがあるからこそどの曲もカッコいいんですけど、レベルがだいぶ高くて、覚えるのに難儀しましたね。もう、必死でやりました。
樋口 で、その後のレコーディングもめちゃめちゃたいへんで。やっぱりこう、スタジオで磨き抜けてない部分もあったんですよ。ここのコードが当たってて間違ってる、とか。そこを修正しながらの作業だったので、エンジニアさんには感謝しかないですね。
―― もちろん、詰めきれてなかったところもあったんでしょうけど、それは細かいところまで気にするようになった、という成長の証なような気もします。
樋口 あぁ、なるほど。でも、たしかにそうかも……以前だったら気にしてなかったところもありますしね。
interview by ヤコウリュウジ
Vol.02へ続く...
― Interview Vol.02
―― 曲について伺っていきますが、まず1曲目でMVも公開された「Be Myself」。<I'll just be myself(僕は僕自身になるのさ)>という高らかな宣言から一気に駆け出していくナンバーです。
樋口 これは1曲目として作ろうと考えた曲でしたね。
夏目 みんなでそう話し合ってました。
樋口 ポップで聴きやすくて、ケツに向かってバーっとアガっていくスピード感があって。
岸田 「Be Myself」を1曲目に、というのは僕が加入した段階で決まってたんですけど、すげえ疾走感があるし、いいなと思いましたね。ただ、ベースとしてはいちばんと言っていいぐらい難しくて。かなり手こずりました。
樋口 難しいもんね、これ。
―― 勝手なイメージなんですけど、樋口さんってこういうノリがいい曲が作品の幕開けを飾るのを嫌がるタイプなのかな、と。前作のとき、「I Like You」を1曲目にするのは他のメンバーに押されて受け入れた、と話してましたし。
夏目 そんなこともありましたね(笑)。
樋口 もうね、そんなひねくれちゃいけないんですよ(笑)。
一同 ハハハハ(笑)。
―― そうか、素直になるところは素直になってんですね(笑)。
樋口 はい(笑)。ひねくれてるところは曲にいっぱいあるから、それ以上にひねくれて伝わらなかったらよくない、って考えるようにもなって。
夏目 (樋口は)めちゃめちゃ変わりましたよ。まず、人としての優しさも凄く出てきて。
樋口 ハハハハ(笑)。
夏目 いや、もともと優しいんですけど(笑)、伝え方とかに不器用さがあったりしてたんです。でも、いろんなことに対して視野が広くなったのか、成長したなって思います。
―― そこから力強い「Decide」へと続きますが、冒頭の2曲を聴いてまず思ったのが8ビートを主体にすることでメロディーが際立ってることでした。フロアが盛り上がるキッカケって2ビートなことも多いし、そこに頼りがちだったりもしますよね。でも、そういう甘えがないなと思って。
樋口 ホントにその通りです。これは勝手な樋口分析なんですけど、2ビートは疾走感が出る分、メロディーが聴こえづらいというか。どうしてもフィルやビート感に持ってかれることも多いし、お決まりの盛り上がるポイントでお客さんの心を掴んだりしてて。でも、そうじゃなくて、8ビートやミドルテンポの方が曲全体の良さやメロディーをまっすぐに届けられるな、と。やっぱり、僕らはメロディーがいいバンドだと思ってるし。
―― リズムのアプローチはドラマーとして提案したりもしたんですか?
夏目 そういうビートに関しては樋口くんが持ってきたデモが軸になってますね。AメロからBメロに変わるタイミングのフィルやサビ前のフレーズとかは完全に僕がやるような感じでした。
―― この曲に限らず、ドラムのプレイ的な変化を自己分析すると?
夏目 前作はもともとデモ盤で出てた曲だったり、ある程度完成してる曲も多かったし、メロディックの統一感を出すようにしてたんです。2ビート主体で、いい意味でわかりやすいフレーズやフィルも多かったし。でも、今回は8ビートとかいろんなテンポが増え、曲毎に複雑なフィルを入れたり、自分の持ってる引き出しを全部使っていきました。細かいところにもこだわりましたし、凄くバリエーションが増えたと思ってます。
―― アイデアを増やす為、改めていろんな音楽を聴き漁ったりも?
夏目 しましたね。聴く音楽もいっぱい増えて、それこそポップパンクとかも聴くようになったし。バンドだけじゃなく、ハイパーポップとかも聴きましたね。
―― また、そういった曲が増えたからこそ、「Fortune Favors The Bold」みたいな重みのある2ビートが鮮烈に響いたりもしてて。ちゃんと牙も研ぎ澄ましてることが伝わってきます。終盤のビートダウンもいいですよね。
樋口 モッシュパートって世間的にはよく言われるんですけど、あのビートダウンは海外のメロディックハードコアやはハードコアバンドから着想を得てるところがあって。好きで聴き込んでるから浅さもないと思うし、ちゃんと取り込めてると思ってます。
―― ライヴではあのパートでシンガロングが誘発される感もあって。ハイライトのひとつになりそうだなと感じました。
樋口 たしかにそこは意識したかもしれないです。あそこでお客さんがグチャグチャになって、2ステップを踏んで、ステージダイブして、みたいな。そういう終盤になったいいな、って。
―― 「Fortune Favors The Bold」はタイトル通り、前へ進む強い決意を綴ってますけど、今回は以前よりもポジティブな歌詞が増えた印象もあります。
樋口 あぁ、そうですね。ただ、自分としてはもがいてるイメージもあって。ポジティブに切り替えて前へ進むしかない、みたいな。沈んでくぐらいなら前へ進むことしか考えない、っていう。
―― たしかに今回は這い上がってやる、という強さがありますよね。前作でも前向きはことは歌ってましたけど、どちらかと言うと祈りに近いニュアンスでしたし。意識が切り替わったようなところも?
樋口 めっちゃ苦しいことや辛いこともいっぱいあるんですけど……いろんな出会いからの別れだったり、バイトを飛んじゃって怒られたり。
―― それは怒られましょう(笑)。
樋口 いや、それはホントに申し訳なかったんですけど(笑)、そこで潰れちゃダメだな、って。バンドとしてもこのままの状況でHONESTを終わらせたくない、自分たちで新しいことをしたい、って気持ちがたくさん増えてきて。どんなときでも前へ進もう、というスタンスで悩めるようになってきたんですよ。
―― 今の話に岸田さんは物凄く頷いてましたね。
岸田 そうですね。今、言ったようなことをめっちゃ感じてて。僕が加入してまだそんなに経ってないけど、浩太郎はメンタル的に凄く成長してると思いましたし。歌詞の通りに生きてる感じがしてますね。
夏目 そこは僕もめちゃめちゃ感じてます。
―― 「Daisy」はバンド張り裂けそうな恋心を適度なビート感で響かせるとして新たなステップを感じさせる1曲です。
樋口 今回、「Daisy」は凄く推したくて。DRUG CHURCHっていう海外のバンドだったり、そういう僕の好きなバンドって歌うようにパワーコードを使うというか。そのコード感もいいし、心地良いメロディーもある。そういう曲ができないかと思い、「Daisy」はリード曲ぐらいの勢いで作りましたね。歌詞にも凄くこだわって。主人公をひとり置いて、そこに自分の経験をくっつけていったんですけど、世界観にもこだわれたし、面白い曲になったな、と思ってます。
―― 他の曲もそうですけど、同じ歌詞のリピートが少なくて、ちゃんと流れがありますよね。繊細に表現したい世界観があるんだな、と。
樋口 そうなんですよ。ちゃんと1番と2番の流れを考えて、自分の中で落とし込んでます。
―― どちらかと言えばHONESTはショートチューン寄りな短めな曲も多かったけど、そういう部分でも奥行きが出てきました。
樋口 どういうことを伝えたいのか、とちゃんと構成も考えました。歌詞はだいたい後からつけるんですけど、言いたいことをしっかり詰め込もうとしたら自然とボリュームも増えていって。やっぱ、他のバンドと同じことをしたくない、っていうか。
―― ちゃんと拗れてるところは拗れてますね(笑)。
樋口 ハハハハ(笑)。1分とかでサッと終わるのもカッコいいけど、ちゃんと歌詞でも世界観でも音楽でも伝えたいな、って。
岸田 「Daisy」はいい違和感がありましたね、「こんな曲もやるんや!?」って。それまでのHONESTは速い曲ばっかのイメージもあったんですけど、新曲として「Daisy」を渡されたとき、「これは絶対に聴いてて楽しいヤツやな」ってすぐ感じたし。気持ちいいベースの入り方とか、あとはコーラスですね。めっちゃ練習したんですけど、リハでバチッと合ったときに浩太郎がこっちを見て「やべぇ!」みたいな顔をして。あの瞬間はすげえ嬉しかったです。
―― こういったテイストの曲はドラマーとしても腕の見せ所な気がします。
夏目 そうですね。2ビートよりもこういうミドルテンポの方が表現できる幅も広がると思うし。「Daisy」は速すぎず遅すぎずみたいな絶妙なテンポ感で結構メロディックっぽくないフレーズを使ってて、それもかなりこだわりました。レコーディングでは凄く難しかったんですけど楽しかったという思い出にもなり、お気に入りの曲ですね。
―― 「Chadwin」は軽快さと気だるさの塩梅がちょうどいいなと思った曲です。
樋口 やっぱり、ポップパンクを凄く聴くようになったのが大きいですね。この曲はアメリカへ留学したときにできた友達とお別れするのが嫌で書いた曲なんですけど、思い出を振り返ったときに自然と出てきたメロディーがこれ。だから……言葉にするのが難しいけど、いわゆるメロディックというところから自分が外れてきてるのかも、っていう。
―― ただ、今回も強烈なメロディックチューンも新曲としてあるわけで、新しい武器が増えただけ、とも思いますけどね。
樋口 あぁ、たしかに。そういうところでいろんなころができるようになってきたんだな、とも思いますね。
―― 人懐っこいメロディーもいい「One More Chance」はいろんな工夫が施されてますよね。
樋口 ラスサビで転調するんですけど、そこでドキッとした後、また元のメロディーに戻るっていう。「Daisy」や「Going Growing」なんかもそうですけど、そういう何かしら工夫はしてて。
夏目 雰囲気が変わるポイントがいろいろある、っていう。
樋口 そんなところも聴いてもらえると、僕らのひねくれ具合もそうだし(笑)、楽曲の意図もより伝わるのかな、って思ってます。
―― シリアスなトーンでドライブ感がある「Echo」は他の曲と色味が少し違うというか、心の闇や迷いを綴ってます。こういった曲があるからこそ、バンドとして信じられることにも繋がるんですけど、隠したい気持ちはないんですか?
樋口 弱さとかをですか?
―― やっぱり、恥ずかしかったり、情けなかったりもするし。
樋口 いや、HONESTなんで。
―― あぁ、バンド名通り、逃げも隠れもしない、っていう。
樋口 さっきも少し話しましたけど、オレは逃げちゃったり、隠しちゃったりして、怒られることも多いんです。だけど、音楽の中では自分の本当の気持ちを書きたいし。弱さも強さも全部を詰め込みたいから。
―― いろんな感情から曲は生まれると思いますが、ネガティブな部分を曲にして昇華してるようなところもあるんでしょうね。
樋口 あると思います。人と喋ってるとき、オレは本心が結構言えないタイプだったりもして。相手のことを考えすぎてあんまりぶっこめない、というか。だから、後から気持ちを整理して、その捌け口というか、本当の気持ちを綴る場所として音楽を使ってたりもするんですよね。
―― だからこそ、SNS社会で飛び交うくだらない誹謗中傷へNOを突きつける「I Know My Everything」も出てくるっていう。
樋口 あれはめちゃめちゃXとかで悪口を書いてる人がキモいなと感じて(笑)。音楽に切り替えられるから、こうやってぶつけられるんだと思いますね。
interview by ヤコウリュウジ
Vol.03へ続く...
― Interview Vol.03
―― 新作を締めくくるのがタイトル曲「Going Growing」です。
樋口 結構、2ビートとか速い曲で締めくくることも多いと思うけど、なんでミドルテンポで複雑なリズムチェンジやコードチェンジがある曲にしたかと言うと、この曲の歌詞は1曲目の「Be Myself」から11曲目の「April」で綴っている気持ちの波を経たモノになってるからなんです。オレはオレ自身になるんだ、ってがっつくときもあれば、不安になったり、楽しさを感じたり、いろいろあって、<Living life at my pace/I want to try to be alright(自分のペースで生きよう/大丈夫でありたいんだ)>っていう決心で終わる。凄く濃いモノができた感があります。
夏目 8ビート主体なんですけど、ラスサビ前のフレーズだったり、セクションが変わるタイミングでのフィルだったり、今までやってこなかったようなモノを入れてますね。こだわったポイントも多くて、ドラムにも注目して欲しい曲のひとつです。
―― リズムの流れもそうですし、決意への過程を忠実に綴っていることもあり、この曲で締めくくることによって新作が生活を表す1枚になってると感じました。
樋口 だから、『Going Growing』というタイトル通りになってると思ってて。文法的には『Growing Going』の方が正しいらしいんですよ。成長した結果、進む、っていう。でも、勝手なフィーリングなんですけど、僕らっぽいのは決断して前へ進んだ結果、成長した、みたいな。
―― HONESTはいろいろ考えてるのに、結局は不器用なバンドな気もするんですよね。
樋口 あぁ、そうっすね。
―― 今どきのバンドみたく上手い立ち回りができないというか。
樋口 MCでカッコつけたことを言うと失敗しますから(笑)。完璧になりきれてない中、それでもいろんなことを考えながら進んでる、それがオレらしさなんじゃないかな、って。この新作を改めて聴いて思ったりもしましたよ。
―― 快活なメロディックチューンである「Everything’s Gonna Be Alright」では、ただ大丈夫だよ、って歌うわけじゃなくて、その中での気づきを歌ってて。
樋口 大丈夫だよ、って言ってくるヤツ、嫌いみたいなこと言ってますしね(笑)。
―― でも、やっぱり大丈夫だよ、っていう言葉の必要性はあるっていう。
樋口 そうなんですよ。まあ、人にそう言うんじゃなくて、オレは自分に言い聞かせるけどね、ってことではあるんですけど……なんで、こんなにひねくれてしまったんだろう、とは思います(笑)。
―― ハハハハ(笑)。ただ、「Be Myself」も「オレはこうするけど、どうなの?」っていうアプローチだったりもして。そういう姿勢はブレてないと思います。
樋口 常に人へ対して指示したくないんですよ。みんなで同じ考えを持とう、とは思わなくて。オレはオレだし、人は人だし、別に違ってもいいじゃないか、みたいな。そういう価値観があるから、「オレはいっぱいやるけどどうするの?」っていう気持ちになるんだろうな、と。
岸田 浩太郎は悪い意味じゃなく、我が強いんですけど、そこに助けられてる部分もあって。
―― バンドとして、樋口さんが無理やり引っ張ってるようなところはない、と。
夏目 僕も樋口くんと一緒というか、型にハマったことをするより、自分らにしかできないモノや新しいモノを作っていきたいんです。だから、やりづらさはないし、むしろ本心から「いいね、それ!」って思うし。曲に関しても、素直にいいモノを提供してくれますからね。
―― そして、ライヴについても聞かせてください。今年3月にこの3人による新生HONESTとしての初ライヴを自主企画で行いました。いいスタートを切ったようにも見えましたが、振り返ってみていかがですか?
樋口 めちゃくちゃ緊張したんですよ。
夏目 しましたね。
樋口 その中でも奈央人がいちばん緊張してて。
岸田 吐き出しそうでした(笑)。
―― そこはキャリアの違いがあったというか。
岸田 大阪で以前やってたバンドでもライヴというモノ自体はしてたんですけど、やっぱりそれとは違って。目の前にはお客さんがいっぱいいるし、凄く緊張しました。ただ、実際にライヴが始まれば緊張がちょっとずつほぐれるところもあり、最終的には楽しいと思えるようにはなって。
―― バンドとしてバランスに変化は生じましたか?
夏目 だいぶ変化したんじゃないか、と。
樋口 見え方としては、前ベースがワーって暴れるタイプだったんで、かなり変わったと思うんですよね。ただ、オレも以前より堂々とできるようにもなったし、そこがマイナスだとは考えてなくて。
―― 新作のリリースツアーとして16都道府県19本が予定されています。前作ではリリースツアーは4本でしたし、こういったツアーらしいツアーはバンドとしても初めてになりますよね。
樋口 こうやって日程を出して大きく全国をまわるのは初めてです。
―― 期待と不安が入り混じってるようにも思いますが、そのあたりは?
樋口 めちゃくちゃ楽しみ……いや、たしかに入り混じってるな(笑)。
夏目 今のところ、凄く楽しみです。ツアーが近づいてきたら不安が出てくるかも、ですけど(笑)。
岸田 僕はめっちゃ楽しみにしてます。
―― 頼もしい言葉が出てきましたね。
岸田 もちろん、わからないこともたくさんあると思うんです。ただ、そこは2人を信頼して、まずは楽しむことから始めたいし。で、その中で自分にしかできひんことを見つけていって。個人的な目標としてはそれがありますね。HONESTとしての自分とは何か、を探したいし。
樋口 そのツアーで見つけるっていうのは、バンドとしてもそうで。オレらが始まった上前津Club Zionから始まって、今、戦いに行ってる東京でファイナルを迎えるんですけど、新代田FEVERは自分たちの規模からしたらちょっと大きめの会場なんです。だから、そういったところでもバンドがどうなっていくのかが見えるのかな、って。
―― ツアーファイナルが東京というのはチャレンジではありますよね。
樋口 名古屋でファイナルを迎えるっていう考えもあったんですけど、地元やローカルにこだわりながらも、やっぱりオレたちは広げたいんです。その為にはやっぱ東京かな、と。
―― シンプルに人の数も多いですし、情報の中心地ではありますし。
樋口 そういうところでちゃんと届けて、ライヴをぶちかまして、めちゃくちゃいい日にできたら、絶対に次へ繋がると思うし。もちろん、それは全会場に通じることなんですけど。
―― 各地、一緒にまわるようなバンドもいるんですか?
樋口 いろんなバンドをブッキングしてる最中です。自分たちの好きなバンドに声をかけてて、メロディックな日もあれば、ハードコアな日もあれば、オレたちが好きなカルチャーが詰まった日もあれば、みたいな。各地でいろんな景色が観れるツアーになると思ってます。
―― いろんな土地で“Create New Values”をやっていく、という。
樋口 そうですね。ちゃんと体現していきたいです。
―― その“Create New Values”はバンドが続く限り、ずっと掲げていくモノだとは思いますが、どんなことが掴めたら、達成感みたいなモノが生まれるんでしょうか?
樋口 自分たちの道が開けたときがそう、というか。オレたちはPIZZA OF DEATHからリリースしてて、(横山)健さんに憧れてバンドを始めたけれど、後ろを追っていくつもりはないんですよ。それこそ、従来のメロディックバンドの王道を進んでいくつもりもまったくないし。
―― そうなると、ロールモデルになるような存在もいない?
樋口 う〜ん……やっぱ、TURNSTILEはカッコいいなと思うけど……来日公演を東京へ観に行って、ヤバすぎてそのライヴ終わりに大阪のチケットも取りましたから(笑)。でも、TURNSTILEだけじゃなく、DRUG CHURCH、Angel Du$tとか、日本だったらTIVEっていう大阪のハードコアバンドだったり、DIYで面白いことをやってる人たちは参考にしてますね。
―― まずは目の前のリリースツアーだとは思いますが、それ以外で何かやってみたいことはありますか?
樋口 ワンマンツアーをまわる、というのはひとつの指標というか、目標にはしてて。3ヶ所とかでもいいから、っていう。自分たちが好きな憧れのバンドを呼んで、2マンなり、3マンなりのイベントもやりたいし、名古屋DIAMOND HALLで自分たちの企画を打ちたい、っていう目標もありますね。Ken bandと初めて対バンしたのがDIAMOND HALLだったんですけど、そのときはまだコロナ禍で人数制限もあって、みんなマスクもしてたんです。だから、オレたちがお客さんを呼んで、みんなが歌ってグチャグチャになって、っていうのをステージから観たいな、と。
―― 話を聞いてて感じるのが、とにかく自分たちが責任を持った状態で何かをやっていきたい、っていう。
樋口 あぁ、そうかもしれないです。
―― そうなると、気が早いかもしれませんが、HONEST主催のフェスを観たいなとも思いました。
樋口 それこそ、3人でそういうことを話したりもしてますね。オレ、名古屋の大高って街で生まれ育ってて、FREEDOM NAGOYAをやってる大高緑地が地元なんです。毎年、何か外でやってるな、って小さいころから思ってて、小6ぐらいから実際に行ってるんですけど、「オレらも大高緑地でフェスをやれたら最高だよね」ってずっと言ってて。
―― 樋口さんと同じ高校だった夏目さんにとって思い入れがある土地のような。
夏目 何なら、僕も大高緑地は近所なんです。FREEDOM NAGOYAも観に行ってるし、それこそ中学生のときは大高緑地で遊んでたり(笑)。いろんな思い出が詰まってる場所なんですよね。
岸田 僕もやってみたいと思ってます。名古屋へ足を運ぶようになって、浩太郎に「ここがオレの地元だよ」って教えてもらって、こんなん言ったらおこがましいですけど、大高が第2の地元的な場所になってきてるし。
―― HONESTが旗を掲げたフェスが実現したら、“Create New Values”のわかりやすい結果のひとつになると思います。
樋口 そうですね。海外ツアーもしたいし、憧れてる海外のバンドともやりたいし。いろんな目標がたくさんありますね。
interview by ヤコウリュウジ