このサイトはJavaScriptがオンになっていないと正常に表示されません

Bands

COMEBACK MY DAUGHTERS

COMEBACK MY DAUGHTERS

高本 和英(Vo&Gt)
中津川 吾郎(Dr)
CHUN2(Gt)
小坂 裕亮(Key)
戸川琢磨(Ba)

Who ?

3rdアルバムの『EXPerience』のリリースが2008年10月だったから、いくつかのコンピレーション(『The Very Best of PIZZA OF DEATH II』など)への楽曲提供があったとはいえ、まさしく待望の新音源の到着である。そう、COMEBACK MY DAUGHTERS(以下CBMD)の4枚目に して、ベ-スに戸川琢磨(磯部正文バンドやHAWAIIAN6・YUTAの新バンド:The Yasuno N°5 Groupのサポートも務める敏腕ベーシスト)を迎えて初となるフル・アルバム『Outta Here』が遂に完成した。

本作において、バンドはかねてからの念願だった海外レコーディングを敢 行。Beastie BoysやSheryl Crowら錚々たるアーティストをクライアントに持つ、ニューヨークの「ONE EAST RECORDING」というスタジオ で、約2週間にわたって制作を行った(そのレコーディングの日々は、リリース情報サイト<http://cbmd-outtahere.com>にて随時更新)。マスタリングも同じくニューヨークの「マスターディスク」にて行われ、そのトップ・エンジニアであるScott Hull氏が担当。 Steely DanやJohn Mayerの作品で2度のグラミー受賞歴(!)を持つ氏の手腕は、CBMDの音楽に一層鮮やかな輪郭を与えている。

具体的な内容に触れていくと、まずトピックとして挙げるとすれば、これまでにも増して“フォーキーな色合いの強い作風”となったこ と。しかしそれは“変化作”というものではなく、古くからのCBMDリスナーには順当な流れに感じられるはず。つまり、登場時こそ歪んだ ツイン・ギターと滾るエモーションで疾走感に満ちたサウンドを奏でていた彼らだったが、2ndの『A Parade of Horses』(2006年2月リリ ース)で早くも成熟期に踏み入り、続く『EXPerience』ではバンジョーの導入などでよりナチュラルな、瑞々しくも鮮やかなサウンド・ス ケープを展開してみせたのだ。それは数多のリスナーを虜にし、キャリア最大となる渋谷AXワンマン(2009年3月)を大成功に収めたこと は未だ記憶に新しい。その延長線上に位置づけられる本作は、CBMDの核(コア)はいささかも揺らいでいないという意味で、ほとんど違和 感なく、むしろより親密に聴き手に届くだろうと思う。

必要最小限にして必要十分な音材で組み上げられた全11曲からは、彼らが敬愛してやまないUSインディ・ロックのエッセンスがそこここ に感じられる。例えば、躍進著しいFleet Foxesに通ずるフォークロアでポップな感じや、LOCAL NATIVESに代表されるサイケ・フォークの 色合い、そして今をときめくVAMPIRE WEEKENDさながらのアフロなポップさや、才人・Sufjan Stevensが得意とするハンド・メイドな手触り 、果てはBeach Boysライクな爽快なサーフ・ポップ感まで――。そういった時代性みたいなものがCBMDというフィルターを通して濾過され 、旺盛な創作欲と遊び心によって再構築された結果、時代を問わない、普遍的な“スタンダード・ソング集”として結実した。これみよが しな展開ではなく、徐々に熱を帯びながら高みへと導くようなVo.高本のコンポーズは特筆に値するだろう。

<夏が過ぎていった 冬が過ぎていった 歳をとっていった 僕の願いは叶わなかった それでも僕らの荷物は増えた それらを担いで 精一杯タフに見せてる>と「Yours Truly」の歌詞にもあるとおり、本作には心踊る瞬間だけでなく、グッド&オールド・デイズへの郷愁 や喪失感のようなものも多分に含まれている。そういった悲喜こもごもは、僕ら自身の抱える悲喜こもごもと密接に、ぴったりと呼応して いるように思える。なんと言うか、とても“身の丈にあった”音楽なのだ(平たく言って、めちゃめちゃ染みます!)。すみずみにまで心 の通ったサウンドは、きっと、より多くのリスナーに届くに違いない。リリース後には全国ツアーも控える5人のボーイズに、ぜひ注目し ていてほしい。


News

More News


Release


Others