2005年暮れ、Beyonds が復活した。以前のメンバーからは健ちゃんと岡崎、新たにベースに元 Husking Bee のテッキン、ドラムに元 Number Girl/Zazen Boys のイナザワアヒト君だ。復活以来、オレはライブを観る機会に恵まれなかった。ただ観た人によると、「そのまんま Foul かな〜?」とか、「Foul プラス Zazen Boys。」といった感じらしかった。それを聞いて、オレは少し残念だった。 Foul も Zazen Boys も好きなのだが、やっぱり Beyonds という看板を掲げる以上、以前の様なサウンドを期待してしまうのが人情というモノだ…。しかし、オレはバンドマンだ。そんな観念的な部分を越えて、感じなきゃいけない部分がある。「…本人達が良ければ、それだけで良いじゃないか。」、そんな想いの方がすぐにオレを支配し始めた。
 …ここでこの文章の一番最初の部分に戻る。Punkrockers Bowl Vol.16の内容を考えている時、真っ先に思い浮かんだのが、「別モノ・Beyonds」なのだ。
 まず健ちゃんに電話してみた。オレからの電話にビックリした様子だったが、ライブの件はもちろん、いろいろなコトを話せた。時期を同じくして2人とも親になったのも、話を大きく弾ませた。ライブ参加も快諾してくれて、それから頻繁に連絡を取るようになった。そしてもう1バンド、Master Low を誘った。
 3000枚用意したチケットも即ソールド・アウトしたらしく、後は当日を迎えるだけとなった。

 当日、いろいろな想いを胸に、会場入りした。
 Ken Band の楽屋に Low‐IQ‐01が顔を見せ、ひとしきり世間話なんかをした。いつものムードだ。01が去り際に、唐突にオレに訊いた。
 「ケニー、今日さぁ、何か特別話そうとしてるコト、ある?」
 「今日?…バッチリあるよ。」
 「あーっ!多分ね、話かぶっちゃうね。オレも話すコトあるんだけどさ、多分ケニーが考えてるコトと同じ話だよ。」
 そう言い残して楽屋を出て行った。

 この日、1番手を Master Low に頼んだ。オレは一番後ろから観ていたけど、お客さんの期待をガッツリと受け止めた、貫禄あるショウだった。彼はエンターテイナーだ。その01が、ライブ中に言った。
 「実は13年前に、オレが前やってたバンドと、Beyonds、Hi‐Standard でやったコトがあるんだよ。後でケニーが同じ話すると思うんだけどさ、オレは今日ここに立てて嬉しいです。」
 …そうなのだ。そこに繋がって行くのだ。
 2番手は Beyonds。まず今年出したシングルから中心に、4〜5曲立て続けにプレイ。どうやらここから昔の曲を演るようだ。
 出番前、Beyonds の楽屋でセット・リストを見た。真ん中あたりに「芝生の逆襲」と書いてあった。そこに岡崎がいたので、オレは言った。
 「おーっ!『芝生』演るんだーっ!」
 「演るよー。『芝生』で通じちゃうのがイイねぇ!」
 「芝生の逆襲」とは英語だと「Revenge Of The Rawn」、そう、オレがリフを創った例の曲だ。メンバー内では「芝生」と呼ばれていた。通じないワケない。
 Beyonds の昔の曲コーナーは「芝生」で始まった。オレはステージ脇のモニターのところから観ていた。Low‐IQ‐01と並んで観ていた。何かノスタルジーとも違う、熱いモノがこみ上げてきた。次はオレの一番好きな曲、「I Can't Explain」、モニターの仕事の邪魔になるとは分かっていても、歌わずにはいられなかった。もちろんプレイヤーが違うのだから、サウンドも当時とは違う。でも曲は死なない。

 最後に Ken Band。ライブそのものは、当たり前、楽しかった。
 オレはみんなに話しかけた。
 「さっき Low‐IQ‐01も話してたけど、13年も前にオレ達一緒にライブしてるんだよ。01は Super Stupid の前にやってた Acrobat Banch、オレは Hi‐Standard、それから Beyonds で。」 Beyonds は同じバンド名で復活したけど、全然今とは違い、別バンドだと思ってるコトも話した。そして、更に話した。
 「だから今日は…生き残った者だけが立てるステージ…?」
 思わずそう言ってしまったのだが、補足させてもらう。Acrobat Banch、Super Stupid、昔の Beyonds、Hi‐Standard、Husking Bee、Number Girl、Zazen Boys、Wrestling Crime Master、Limp、…それぞれの他のメンバーだって生き残っている。音楽を辞めてしまった者もいるだろうけど、それぞれの人生と闘って生き残っている。環境と闘い音楽を続けるコト、もちろんそれはオレの心を大きく振るわすが、音楽をやれている人だけが闘っているワケじゃない。そこがキチンと説明できなかった自分が悔やまれる。

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